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消滅の光景 第13回 セクター連邦軍情報部のチヒロ中尉は、視政官グルドが行方不明になった折の宿屋に、現地派遣部隊のルッカ少佐と向い、同じ宿屋に泊まることになる。そして夜に。

2020年10月14日 | 消滅の光景
SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ
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消滅の光景 第13回 セクター連邦軍情報部のチヒロ中尉は、視政官グルドが行方不明になった折の宿屋に、現地派遣部隊のルッカ少佐と向い、同じ宿屋に泊まることになる。そして夜に。
 

消滅の光景 第13回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

地球現地派遣部隊の司令官、ムッカ少佐は、情報部チヒロ中尉に嘆願した。

 

「チヒロ中尉、お願いです。情報省のあなたの手で、至急、援軍を

.呼んで下さい。あなたの口添えがあれば、一軍団が来てくれるはず

です。今、この星は、ミレニアム信仰の消滅現象で、ほとんどパニック状態にあります。

まして司令官のビット大佐が消えた今となっては手の打ちようがありません」

 

 

 「少佐、わかっている。今少し、この地球の現状を把握したいのだ。

もう少し待ってくれ。先に視政官の件だ。さあ、連れていってくれ、そのキムの宿屋へ」

 

 

 キムの宿屋は、到底、連邦軍エア・カーの入っていけない露地の奥にあ

 った。

 

 「よし、わかった。歩いていく。君たちはついてこなくてもよい。私だけで調べる」

チヒロ中尉は、心配するムッカ少佐を同行させ、他のセクター連邦現地派遣軍退院を無視して

歩いていく。

 

タルマシロ通りは、ぼろをまとった人々が2人の行手をさえぎっていた。人垣をかき

分け、二人は進んでいく。今にもくずれそうな建物がキムの宿屋だ

った。 

 

 先刻から二人の姿に気付いていたキムは知らぬそぶりをしていた。

 カウンターの中から今、気づいたように大声をあげた。

 

 「こりタ、連邦軍の旦那方。犯罪人なんか泊めちゃあいませんぜ。こ

 の宿屋はきれいなもんだ。一等地にありますからね」

 

  チヒロは口を開いた。

 「10日程前に、グルドという男が泊ったろう」

 

 「グルドねえ、ここにはたくさんのお客さまが泊まりますからねえ」

  ムッカ少佐が.怒り声をおげた。

 「先日、俺が尋ねた時、お前は何と答えた」 

 

 「憶えでおりません。私は記憶が悪いもので」

  チヒロは黙って、銀河クレジットをキムのひじをつくカウンターの上に拡げ

 た。

 

「あ、覚えておりますとも」

  キムの態度が変った。

 

 「そうそう、確か宇宙商人の方、たしか、グルド様がお泊りになりましたか。塔の事を

気にしておいででしたよ。こちらのムッカ少佐にもお話したように夜中に

お出掛けになったきりです。私の考えでは、ミリアム信徒に殺され

たんじタないですかね」

 

 「いいかげんな事を言うな、ミリアム信徒が人を殺す意志を持って

いるわけがない」ムッカ少佐が怒鳴る。

 

 「わかった。夜中にグルドが出て行くところをお前は見ていたのだ

な」チヒロが否めた。

 

 「そうです」

 

 「何か、変な所以感じなかったか」

 

 「そう言われてみれば、ふらふらした夢見心地というかそんな感じで、そう、何かに操られ

ているような感じでした」

 

 「おやじ、今夜はここに泊るぞ」チヒロが宣言した。

ムッカ少佐がいなめる動作をするが、それを無視して

 

 チヒロはカウンターに再びクレジット貨を積み上げた。

 「毎度ありがとうございます。ささ、こちらです」

 

 「グルドが泊フていたのと同じ部屋を頼む。ムッカ少佐、すまないが、今

晩は、ここに泊る。基地のカド博士達にそう伝えてくれ」

 

 夜の帳が降りた。

 

ミリアム信徒達は宿をとらず、ろうじの大地の上にその`まままどろんでいる。

 

しかし。宿屋の部屋のベッド上で鳶がっていたチヒロは逆らいようのない力に、

操られていた。

 

体が自らの意志に従わないのだ。彼は.部屋を出て、廊下を歩き始める。

 

キムは、薄あかりの下、ドアをわずかに開け、チヒロの様子を見

 ていた。

 

静かにドアを閉め、やれやれと胸を撫でおろした。そして何も見なかったようにペッドに潜

り込んでいた。

 

消滅の光景 第13回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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