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封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●

2018年01月21日 | 飛鳥京香 小説工房

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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北の詩人は、目ざめる。

あるいは 意識が戻ったという方がいいのだろうか。

とにかく、その時、彼はユニコーン(一角獣の背中にのっている。

突然、どこかの世界から、この世界へ転移されたような気分だった。

まわりは、ユニーコンだらけだ。ユニコーンの集団の中にいる。

ユニコーンの背中の乗りごこちは気持よく、首すじの毛をそっとさわってみた。

ぞくっとする。

何とやわらかな手ざわりなのだろう。北の詩人は、ユニコーンに言った。

「さあ、ユニコーン、行っておくれ、君の望む方向に」

群れから、外れて、歩きはじめる。

なぜ、この生物がユニコーンという名前なのか、とにかく、北の詩人の口を通じて出た最初の言葉だった。



目の前に、別のユニコーンがこちらを見て立ちはだかっているのに気づく。

そのユニコーンは、詩人が乗っているユニコーンとは異なっていて、

悪意というものが感じられた。

北の詩人は、立ち止まったユニコーンからゆっくりと降りる。

北の詩人には、自分が乗っていいるユニコーンのコードネームが

、新機類「ルウ502」であり、ハーモナイザーの観察機械、というイメージが

浮かび上がってくる。

しかし、意味自体は、北の詩人には、コードしかわからない。

その言葉の意味は理解できなかった。

その、悪意を持つ「ユニコーン」は、背後から、急速に接近してきた、10メートルはある列車そっくりの生物体、ゴーストトレインにはじきとばされた。



ゴーストトレインは、倒れたユニコーンの側へもどってきて、死体を

確かめ、ユニコーンをうまそうに食べ始めた。

その姿に、北の詩人は思わず顔をそむけた。

どれくらい、時がたったのだろう。

北の詩人は、暗い鉄表で被われた大球の上をユニコーンと一緒に移動し、やがて、一つの穴の前にたった。

生物体、ゴーストトレインは、この穴から、出てきたようなのだ。

その穴は、空間にのびていて、どうやら小球という大球の衛星へと続く道の様なのだ。

コードだった。



 北の詩人とユニコーンは、その穴へと人っていった。

なぜ自分がここを歩いているのか自分自身でも理解していなかった。

 記憶なのだろうか、北の詩人の心を激しくとらえたのは、ユニコーンが、ゴーストトレインの餌食となったのをながめた瞬間の、胸をしめつける感覚なのだ。

 その視覚イメージに触発されて、詩人の頭の内で何かが爆発し、言葉という古い記号が、

自分自身のイメージ脳の泉から湧きあがってくるのを感じていた。

 さらに奇妙なのは、詩人の情感が、何かわけのわからない巨大々存在に

吸い取られているような気がすることであった。

 北の詩人はイメージする。

 私は何かの感覚の末端であり、情報を、視覚と、

それから誘発される言語記号で、巨大なものに伝えているだけの存在ではないだろうか。




空気というものが、濃密にたまり、流れ、それが 風 という記号で呼ばれている事を、詩人は思い出していた。

 風は、詩人が行くべき方向を示しているようでもあった。

大きな洞穴の地下道のようだ。その道は、コードのように遠くまで続いている。

道は、血脈のようなもので被われていて、天井には、その血脈から派生した網もはりめぐらされている。

 詩人は再び乗っているユニコーンに言った。

「さあ、風の吹いてくる方向に向かっておくれ」

 ユニコーンと北の詩人は、「大球」と結ばれている「小球」への道 を歩み始めていた。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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