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封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●

2013年12月11日 | 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)


封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回

一つの恒星がある。
名前を「タンホイザー=ゲイト」という。

星の中心部に緑色の液体で充たされた空間があった。
 そこに巨大な″木″が浮遊していた。
″木″は意思の集合体であり、自らをハーモナイザーと呼んでいた。
虚空からの信号をハーモナイザーは受けた。
彼はその信号を分析し、推理した。その信号は小球にある「生命球」
の消滅を意味していた。
同時に一つの決意が、彼の意識の中で生まれた。

ハーモナイザーの末端部へ、中央神経叢を通じ、一つの刺激が送られた。

ハーモナイザーの末端部には、数多くの個性群体が付着していた。

それぞれは、小さな球体であり、それがまるで根に付着しているように群体を構成していた。
個性群体のひとつである「アー・ヘブン」は夢みていた。

たゆとう羊水の中で夢みる事を楽しんでいた。

アー・ヘブンの個性がいつ、どこの星で生まれ、また、いつハーモナ
イザーに同化されたのか、その記憶は消え去っている。

『アー・ヘブン、目ざめよ』
突然、声がアー・ヘブンの体の中に響いていた。
誰だ。この快いまどろみの中で私をめざめさせるものは。

アー・ヘブンは怒りを感じた。
『アー・ヘブン。使命を与える。すぐに旅立つのだ』

使命を与えるだと、
誰が、いったい、何の権利があって、
私を目ざめさせるのだ。
おまけに旅に出ろだと、何を言っているのだ。

『アー・ヘブン、それが、お前の運命なのだ』
運命だと、そんなものなど、とっくの昔に忘れてしまった。
私に何をさせようというのだ。
『アー・ヘブン。お前は一つの世界を作るのだ、私の代理人として』

世界だと、
世界とは何だ。
それにそんなに価値を持つものなのか、世界を作ることが。

『アー・ヘブン。動け。分前が自ら動こうとしないのなら、私が動かす』

あー、やめてくれ、私はこの羊水から離れたくがいのだ。
しかし、無情にもアー・ヘブンの球体は末端部から切り放され、ハーモナイ
ザーの導管に吸い込まれた。上へ上へと扱いあげられる。

 アー・ヘブンの球体の上から何かが、かぶせられたのを、アー・ヘブンの意識は感じた。

 何かをかぶせられたまま、導管の内にあるアー・ヘブンの体は急激に加速
度を増し、羊水の外、さらにはタンホイザー・ゲイトの外へとはじきとばされた。

 アー・ヘブンの体を包んでいるのは「胞子」と呼ばれる飛翔体だった。
アー・ヘブンの体は、タンホイザー・ゲイトから離れてゆく。

アー・ヘブンは、自分の故郷、タンホイザー=ゲイトを観察する。真中に緑色の輝きが見えた。

羊水湖の輝きだった。

私はあの中で眠っていたのだ。できれば戻りたい。そうアー・ヘブンは思った。

しかし、「胞子」は回転しながら、太陽光流に乗り、銀河を横切って行く。
 長い旅路になるだろう。
そうアー・ヘブンは感じていた。そして、自らの体を冬眠状態においた。
 アー・ヘブンも、また一つの運命を荷っていた。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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