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アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第22回

2017年12月03日 | アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産

アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第22回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「俺はお前の顔をしっている」
独立装甲兵団に占領された宇宙連邦軍・監視機構の船長は言った。
 腐敗惑星の監視衛星に行く途上で、船が彼らの艦タイコンデガに拉致されていた。

宇宙連邦軍第2348軍区派遣団の船指令室も独立装甲兵団で一杯だ。
「それは光栄だね。私も有名になったものだ」
「トポール大佐、君たちは、何をしょうというのか」
「いい質問です。あなたの代わりに腐敗惑星に行くつもりです」

「ばかなことをいうな。あそこ腐敗惑星は、観察によっては破壊も可能との指令がすでにでている」
「ホホッ、ありがたい情報ですね。参考にさせていただきます」

「ともかく、船長、腐敗惑星の「監視衛星フライトデッキに到着するためのデータ、コードナンバーを教えていただきたい」
 情報が聞き出せた後、トポール大佐は、ほほの傷あとをさわる。

「それでは残念ですが、皆さんとはここでお別れです」
「やれっ」
監視機構全員の生命維持装置に毒ガスが注入された。
「あとのことはご心配なく、我々がうまくやりますから」
死体に向かって、トポール大佐をつぶやく。

 独立装甲兵団とは傭兵のあつまりである。
彼らの戦歴は恐るべきもので、ある星系の政治形態の変化があるとすれば、彼らの存在がうわさされていた。

特に独立装甲兵団のトポール大佐は、通常の宇宙連邦軍の将軍よりも優れているとの評価もあった。
 トポールは過去の戦歴、経験から、自らの肩の両サイドに補助頭脳を埋め込んでいた。
この補助頭脳には各生物の全戦歴、戦史がインプットされていた。
 また、独立装甲兵団のヘッドギアにはそれぞれ、
補助頭脳が装着され、視覚、聴覚などの6感能力が機械の力をかりて研ぎ澄まされ、
増幅されていた。
トポールを始め独立装甲兵団の頚部には情報端子があり、この部分で頭脳と結ばれていた。



 ■
腐敗惑星の「監視衛星フライトデッキ」に船が到着していた。
着艦部分から船のコックピット部位がこのコントロール室まで転がってきた。
 ミラー伍長とラフラタ中尉は下の活動に夢中になっていた。
 コックピット部位から装甲服で身をかためた1人の男が出てきた。
 ラフラタ中尉に挙手する。ヘッドギアをはずして言った。

「連邦軍第2348軍区派遣団です。監視機構から依頼されてまいりました。
このディスクが証明書と指令書です。私は指揮官のトポール大佐です

 続いて13名の装甲兵がハッチからでてきた。

「私は、腐敗惑星の…、いや失礼しました。監視機構所属のデッキマン、ラフラタ中尉です。
こちらはウォッチマンのミラー伍長です」

 ラフラタは、本星から来たトポールに緊張しながら握手をした。
「現況はどうなっていますか、中尉」
精悍な顔つきのトポールは尋ねた。
「遺憾ながら、事件が発生しています。地下に残っていた羊宮から生物が発生したようです」
「生物が」
「それも古代のこの星の女性幼体の姿をしています」
「何か問題をおこしましたか」

「現在のところは、が、どうやら彼女は禁忌エリアに潜入したようなのです」
「何かをさがしているようなのです」
 このトポール大とミラー伍長が目くばせをしたように、見えたのは、私の気のせいだろうか。
ラクラタ大尉は思った。
「ラフラタ大尉、我々全員が地上へ降ります」
「何ですって、気でも違ったのですか。トポール大佐。ここは腐敗惑星なのですよ。
あなたの体が腐敗してしまう。そしてこの星の生態系に影響を与えかねない」

「そんな事はわかっていますよ、ラフラタ大尉、協力願いたいものです」
ミラー伍長が、背後からラフラタ大尉に銃をつきつけていた。
「きさま、ミラー伍長、何を考えている。トポール大佐、こやつを止めて下さい」
「残念ながら、ラフラタ大尉くん、彼ミラー伍長は我々の味方だ」
「何だと、すると君たちは」
「そう、残念ながら、星庁・監視機構から派遣された正規の宇宙連邦軍ではない。独立装甲兵団だ」

「では、本来の船は」
「存在しない」
「きさまら…、そうか、トポール大佐、君たちはこの星・腐敗惑星の銀河最大級と言われる資産を盗みに来たのだな」
「そうだ。ご明察のとうりだ。我々は禁断の実、別名黄金のリンゴをいただきにきた」

「しかし、この星に降下すれば、体が腐敗するぞ」
「おきずかいは無用、ご心配なく、それよりもあなたの身の方を気づかう方がいいですね」
「きさまら、宇宙連邦に対する反乱罪で、全員処刑だ」
「それはあなたの方だ、ラフラタ大尉、我々を妨害しょうとするならばね」
「後悔するぞ」
「それはどうかな」
「ともかく、ラフラタ大尉。俺は、あなたの訳知り顔を今日からみなくてもすむ。観察には飽き飽きした」
ミラー伍長が言う。
「よし、用意ができたら、見張りを残して全員降下だ。
ラム中尉、君はここに残ってバックアップをたのむ。ミラー伍長、現況を手短に報告してくれ」
「わかりました」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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