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ロボサムライ駆ける■第55回

2014年06月20日 | ロボサムライ駆ける
ロボサムライ駆ける■第55回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■第七章 血闘場(3-2)
「それではお相手申す。ロセンデール殿」
 夜叉丸の姿が急に大きくなったような気がした。

「あやつは、霊人間、このおはしら様より預かった人じゃ」
 レイモンが小さく呟く。
「ロセンデール、もう後がないぞ」
 夜叉丸が呻いた。

「まだまだよな、私はまけぬよ。夜叉丸くん」
「夜叉丸くん、レイモンを見たまえ」
 レイモンをシュトルフがつかまえていた。

「君の泣きどころは、レイモンでしょう」
「くそっ、ひきょうだぞ。ロセンデール」
 ロセンデールが主水の方へ走り込み、主水の首にサーベルの切っ先をつける。

「夜叉丸くん、君のような、化け物は私が相手にするより、他の人間に相手させます。わたしの柄じゃない。その前に、主水君、君の生命の流れを止めてあげましょう。私一人が死ぬ訳にはいきませんからねえ」

「やめろ」
 観戦していた群衆の中から飛び出して来る男がいる。足毛布博士だった。
見る間に主水の体に取り付いている。

「そいつは私の息子だ」
 先刻とは顔色が変わっている。

「助けてくれ、お願いだ。変わりに私を殺せ」
 主水の上に覆いかぶさり庇う。ロセンデールに対して睨みをきかす。

「おやおや美しい親子の愛情ですねえ。だが、足毛布博士、主水君一人を助けたところで流れは変わりませんよ」
 ロセンデールは二人をコバカにしている。

足毛布博士は、ロセンデールのしゃべりを聞きながら、気付かれぬように、主水の胸のある一点を、指で押していた。

 嘘のように、主水の意識が回復する。渾身の力がみなぎって来る。どうやら、どさくさに紛れて、足毛布博士は主水の体にある、足毛布博士しか知らぬ回復点を押したようだ。

「足毛布博士、おどきください。あなたを殺す訳にはいきません。あなたはこれからのヨーロッパ奴隷ロボット制確立にかかせない方ですからね。主水君をやれば、後の反乱ロボットは烏合の衆です」

「できるかな、ロセンデール卿」
 足毛布博士がにやりと笑い、主水の体から撥ね跳んだ。

 主水が、クサナギの剣を力強く掴み、すっくと立ち上がっていた。
「主水くん、き、君は」
 あまりのことに驚くロセンデール。

瞬間、ロセンデールに隙が生じる。
「と…っ」
 渾身の力を込めて、主水はクサナギの剣を振り下ろす。

クサナギの剣が、ロセンデールの首と胴をみごと切り離していた。

 鮮血が飛び散る。ロセンデールの赤い血が、祭壇に花のように咲いたのだ。
 そんなばかなという顔を、ロセンデールはしてよろけた。ゲルマンの剣は手からゆっくり離れ、床に突き刺さる。

「ロセンデール、仕留めたり」
 主水が叫ぶ。右手高くクサナギの剣が差し上げられている。
 
が、ロセンデールの首が床に落ちる一瞬、拾いあげた者がいる。マリアだった。
「う…」
 人々の間からどよめきが上がる。

皆が知らない間にマリアではなく、マリア=リキュールが復活していた。

「マリア=リキュール、お前、流体ロボットか」
 主水が信じられないものを見るように言う。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(3)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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