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ロボサムライ駆ける■第39回

2015年12月28日 | ロボサムライ駆ける
ロボサムライ駆ける■第39回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
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 大仏は地下大空洞の中へ落ち込んでいく。
続いて後を追って飛び込む主水。

主水は何とか地面に立っていた。
「ここがお主と私の死のリングぞ」
 黄金大仏に叫ぶ主水である。

 空いた穴から光りがさしこむだけで後は真っ暗である。

大仏はゆっくりと立ち上がる。足元はかなり窪んでいる。

ゆっくり、暗渠の中を見渡し、ようやく主水を見つけた。
 にやりと笑ったようでもあった。法衣の裾さばきも良く、ぐいぐいと主水の方に近づいて来る。身長三十メートル。主水の体が小さくて、目に入らぬのではないかと思うくらいである。急に腰を屈めてくる。

 足が跳んで来た。踏みつぶそうというのか。主水は真上に剣を突き上げた。刀が何かの中に入っていく。
 大仏の足の裏に突き刺さっていた。一瞬の後、主水は足の先より逃げていた。

「ぐわっ、ぐわっ」
 大袈裟な反応が大仏ロボットより返ってくる。
無論タイ語でしゃべっているのであろう。
おや、思ったより、皮膚が柔らかいらしい。

 ハイチタンではないようだ。二本目の刀、愛刀ムラマサをもって、目の前にある足の上を、刀の刀頂を支点にして飛び越してみる。

「ぐわっああ」
 すっぱりと,刀ムラマサの通った後に傷が残っている。

 見かけ倒しだ。

痛点があちこちにあるらしい。主水は右足から臑、大腿部と続けて飛び上がる。

 大仏はすばやく動く主水を見つけられないようだ。
 よろしい、それならと、背中から首もとへ。主水は動く。

左右の手を背中にまわそうとする大仏ロボット。だが、
「かゆいところへ手は届かぬ」ではないが、肩のジョイント部分が正常に作動しない。手が回り切らないのだ。
 主水を探す左手のひらを再び刀で切り下ろしてみる。大仏の手のひらに生命線が切り刻まれている。
「大仏よ、お前の生命線が長くはないぞ」
 つぶやく主水。

 背中から首へ飛び上がった主水は、首の痛点に刀を差し入れる。

 よくよく考えれば、大仏は武器を持っていないのだ

。大仏の武器はその体なのである。

伸びる指にすばやく指紋を刀で刺される。大仏との闘いは、ほとんど主水のペースであった。
 これには当のロセンデールですら、気もつかなかったであろう。

「くそっ、タイの大仏はこんな不良品だったのですか。単なるでくの坊じゃないですか」
 ロセンデールは歯がみする。
「いや、大仏ならぬおだぶつですよ」

 まわりにいたクルトフがなれぬシャレを言う。クルトフもやけくそである。
「クルトフ、君まで」

 ついに顔のうえで飛び上がった主水の剣ムラマサは、耳、鼻を切り落とした。
 とどめに両眼を突き刺す主水。まるで生身の体をもつ大仏はゆらゆらと揺れ、ドウと大地に倒れた。

 大仏の体は、どろりと、ゆっくり分解する。

大仏の体は、バイオコプターの機体集合体となり、それもくずれ、バイオコプター飛行士の体がどさりと出てくる。

 主水は片手で死体を拝む。

このタイの大仏は、小型バイオコプター40機が合体してできていたのである。それゆえ、移動も簡単なのであった。

「大仏ロボットやぶったり」
 主水は雄叫びを上げた。

(続く)
ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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