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アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第10回

2013年12月31日 | アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産
アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー第10回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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探査ポッドは、謎の男をのせたまま、腐敗惑星生存層に突入する。
そこは、腐敗臭に満ちている。

「まだ、彼女のいるエリアではないな」
男はひとりごちた。

見たこともない不思議な生物が、彼の方を見ていた。

その生物は炎の眼を持ち、頭に一角が生えていた。
一角獣だ。
それが探査ポッドにいる彼の方へ向かって走ってくる。
「おいおい、あやつは私を攻撃するつもりか」

 が、男はそれを相手にせず、さらに下層に。
探査ポッド内にある降下レバーを下げ、ポッドをくぐらせた。
腐肉の中を、ポッドが腐肉下層へ沈んでいく。

 探査ポッドは、星の表面から地下へ侵入する機能は本来ないのだ。

不思議なことに、男は、この探査ポッドを自分の思うがまま操っていた。

「彼女のいるにおいがする」

 男の体をつつみ、ポッドは流線形に姿をかえ、固体層を突き破り進んでゆく。この世界は何層にも積み重ねられた不思議な世界だ。


 彼の眼の前に、温点が見えていた。

そのあたりの地層が温度変化をおこしている。
 『彼女に違いない』
 彼は確信をもつ。

 闇の中で、、
 彼女の姿は輝いていた。


(続く)20111210改定
(トリニテイ・イン・腐敗惑星・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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