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ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回

2006年03月31日 | SF小説と歴史小説

ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/


■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回■
■銀河辺境惑星ナーダ77。至世歴100年

 地獄船の船員は、歴戦の兵(つわもの)だ。次々と入れかわり立ちかわり鋭いつきをかけてくる。最初人間樹の間を逃げまわっていたガーディアンのヘルムは、ようやく船員の一人を倒し、レイーサーベルを手にした。
 互角に戦い始める。さらに樹園上空に飛来したフライング・キャッスルヘテレパシーを先程から送っていたが、どうやらタリスに通じたようだ。いい兆候だ。
 しかし、有翼人も戦列に加わってきた。彼らはハープに似た楽器をかき鳴らし始める。
その音に同調し人間樹がざわめく。楽器にあやつられ、近接する入間樹が、ヘルムに向かってきた。見ただけで気か遠くなる数だ。片手でレイーサーベルを使い船員達を相手にする。さらに片手でレイ・ガンを構え、盲撃ちを始める。次にはテレパシーで手近かの人間樹をあやつり、他の入間樹に対立させる。
 人間樹が動き出したので、動きがとれなくなった船員達は、有翼人の助けを借りて、空へのがれた。
「うわっ、助けてくれ」
 メモリーマン、シータは数体の人間樹に踏みつけられた。有翼人が急いで助けあげたが、虫の息だった。
 番人小屋の中で休んでいた人間樹の番人ビックは、時ならぬ楽器の音に驚いた。しかもこの音は、、。
ビックは、自分の任務を果たす時がきたと思った。これから演技力を要求されるぞ。ビッグは身をひきしめた。小屋の側の入間樹に袋をかける。昨日、有翼人からISSSN-一丸○九、すなわちグレイを植えかえるように命令された時から用意してあった袋だ。袋をかける前に入間樹の顔にふれる。完璧だ。これなら見やぶれまい。ビックは小屋へもどり、床下から箱を引きずむ出す。スイッチを入れて、言った。
「よし、行動をおこせ」
 一方、上空のフライング・キャッスルの中でも異変か起こっていた。心理分析室に監禁されていたガーデイアン、タリスが目ざめた。タリスも自らの力を発揮する時がきたのだ。
 『タリJ、起きろ、起きてくれ。助けか必要なんか』
 ヘルムのテレパシーか届く範囲にうまくフライング・キャッスルが入ってきた。ヘルムのテレパシーが、タリスに通じた。ヘルムの精神力がクリスの筋力系に大きく作用する。
大いなる力がクリスの体中にみなぎる。
 タリスは部屋のドアを体当たりで開け、側にいた有翼入の腕をへし折り、レイ・ガンを奪った。回廊にいた有翼入をレイ・ガンでなぎたかしながら、操縦室へ向かう。ヘルムのテレパシーがその位置を教えてくれるのだ。
 操縦室へ突入し、有真人に反撃の機会を与えずK数秒で全員をかたずけてしまった。部屋のドアを内側からロックした。
 ヘルムを助けるためにフライング・キャッスルを降下させようとした。
「伺をするつもりだ」
 声が部屋全体から聞こえてくる。タリでほある事に気がついた。部屋のあちこちを見渡す。どこかに弱点があるはずだ。タリスは盲めっぽぅにパネルを破壊し始めた。
「やめろ、やめてくれ」
 声は哀願した。
「頼む、やめてくれ。体を破壊するのはやめてぐれ。それは私の神経システムの中枢々のだ」
「お前は誰なのだ」
 タリスは手を止めて尋ねた。
「私はナーダ77の領主だ」
 このフライング・キャッスルがそれ自体一つの生命体だったのだ。そして領主だった。
「しばらくの間、言うことをきいてもらえるかね。そうすれば私も乱暴は働かないよ、あんたの体にはね」
「わかった。お前の思う通りにする。しばらくはお前の勝ちだ」
 声はとぎれた。
 タリスは、フライングーキャッスルをヘルムの頭上に停止させた。地上すれすれた。
スキャヅグ達、地虫は、ある入物の指令により攻撃を開始していた。地下トンネルのもちらこちらから勢いよく飛び出した。樹園の方々から火災放射罫による火が燃えあがってくる。有算入は地虫を見つけ、反撃を始める。
ヘルムは、思いきり跳躍し、フライング・キャッスルの底部にとりついた、タリスに合図をテレパシーでかくる。タリスは急速にキャッスルを上昇させた。
この任務は失敗に終わりそうだ。グレイをどうしても県つけなければとヘルムはあせった。
ヘルムは、フライング・キャッスルの底部にいるのが自分だけでないことに気がついた。
小さな子供だった。
ビックだった。ビックは何とかヘルムに助けられ、フライングキャッスルの下部ハッチから内へ人った。ハッチはタリスが開けてくれた。有翼入はあらわれなかった。タリスがフライング・キャッスルの中枢、操縦室を押さえているので、うかつに手を出せないのだ。
ヘルムは少年に尋ねた。
「お前は誰だ?」
「僕はピッタだ。人間樹の番人さ。おじさん、グレイさんを捜しにきたんだろう」
[そうだ、なぜ、それを知っている』
ヘルムはテレパシーでビックに尋ねた。
「昨日、有翼入からグレイさんを植えかえるように言われたからさ。あんなことは初めてだからね。何かあると思ったんだ」
「それじゃ、お前はグレイが今植えられている所を知っているんだな」
「そうだよヽ僕が植えたんだからね」
「すまんか、さっそくそこへ連れて行ってもら分うか」
「その前に、一つ頼みがあるんだよ」
「何だ、言ってみろ」
 ビックはポケットから小型の箱をとりだす。
「おっと、無理やり、僕の頭からその場所をテレパシーで探ろうとしてもダメだよ。そんなことをすればグレイさんは死んでしまうよ。グレイさんの足もとに爆弾を埋めてあるんだ。このスイッを押せば総て終わりさ」
「悪賢いガキだ。わかった早く言え」
「僕も地球に連れていっておくれよ」
「何、お前をか」
ヘルムはピックの姿を見まわす。
「そうだ。僕はナーダ77で小さい時から育った。たから一度も地球を昆た事が々い。地球の事はグレイさんから色々聞いた。行ってみたいんだ。お願い、連れて行って分くれよ」
「わかった。連れていってやる。早く、グレイの居場所を教えてくれ。火がまわってくるぞ」
「本当に、地球に連れていってくれるんだね。まちがいないね」
「ああ、たから早く教えてくれ」
フライング・キャッスルの窓からピッタは指さした。
「あすこだよ。あそこにみえるあの番人小屋の近くだよ。早く、このフーライング・キャッスルを偏に降ろしてよ」
フライン″キャッスルは番人小屋の真上で静止した。タリスも操縦室から出てきて、三人でフライング・キャッスルから飛び降りた。
小屋の横に袋に包まれている人間樹があった。ビックはそれを示した。
「これた。これがグレイさんだ」
ヘルムは袋を破き、グレイの顔を確かめる。テレパシーで呼びかけるか、返事はない。
「どうやら、グレイのようだな。しかし心は閉じられている」
「よし、さっそく、フライング・キャッスルヘもどろう」
フラインダ・キャッスルはもう彼らの自由にはならなかった。領主が蘇ったのだ。それは三人を押しつぶそうとして急速に落下してきた。大地が震える。フラインキャッスルのために小屋は粉々にたたきつぶされた。さらに有翼人も飛来してきた。
『スキャッグ、助けてくれ。ここまで地下トンネルを掘ってくれ』
 ヘルムは必死でテレパシーによりスキャッグを呼ぶ。
 なんとか、スキャッグには通じた。
 フライング・キャッスルは再び大空へ舞い上り、また急激に三人の方へ落下してきた。
地面がゆれる。どうにか三人は走りつづけ逃れる。グレイの体を抱えて走るのはかなり危険だ。
[早く、スキャッグ、俺達はフライング・キャッスルに押しつぶされてしまう』
 空からは有翼人がレイ・ガンを撃ってきた。その時突然走っている前の地面が割れた。
地虫の、スキャッグが顔を出した。
「早くしろ!」
■ガーディアンルポ02「人間樹の星」第5回■(1985年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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