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源義経黄金伝説■第40回

2017年09月24日 | 源義経黄金伝説

源義経黄金伝説■第40回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第4章 一一八六年 足利の荘・御矢山みさやま

■5 一一八六年文治2年 足利の荘・御矢山みさやま

足利の荘、御矢山は、1日前の御矢山祭りの喧噪がうそのようにしずまり
かえっている。

何人かの鎌倉の物見が、姿を見せずにいるようだが、

西行と十蔵は、御矢山祭に参加していたご家人衆が、領地に急いで帰るの

を、のんびりと見て、時間を過ごしていた。

すでに、西行は、伝説の人になってはいる、領地に帰る武士どもが尊敬

のまなざしでとうりすぎる、

「西行様、これからは私の出番もお作りくださせ」

「ふふ、十蔵殿、ワシははしゃぎすぎたかな」

「おひとりだけ、目立っておられましたぞ」

「困ったことに」

「何でございましょう」

「試合で体がほぐれた、今度は刀のさばきをみせたいものだ」

「いいかげんにされませ。私が重源様からおこられます」

「そうだのう、たまには、十蔵殿の見せ場もつくらなければのう」

「ふふ」

黒田悪党たちは、1つ手前の宿場で、待っている。

御矢山祭り騒動があった事は、街道を行く商人や武士の郎党たちの話から感
じていた。

「何やら、西行が鎌倉殿を相手の大立ち回りをしたようぞ。いかがか、

鳥海殿」

悪党首魁の太郎左が、そばにいる破戒僧、鳥海にたづねた。

「ふふつ、太郎左殿、お気の小さい事を。聞くには及ぶまい。たかが流鏑

馬。古式からの儀式。我らは、源平の戦を生きのびし歴戦の強者」

「そうだぞ、兄者、所詮は、京都後白河法王に気に入られし歌詠みの坊主。

まして、大江様からは何の指示もない」

「それよ、次郎左、そこが怪しいぞ」

「何を、兄じゃ、それは、約定とうり砂金を奪い取れという事であろうさ」

と次郎座が笑い飛ばした。

それを受け、他の者どもも

「ふふつ、70歳の歌詠坊主、左手一本でひねりつぶすわ」

「鎌倉殿も、我々の襲撃を見て見ぬ振りをするという約束ではなかったか」

「幸い、ここまでは、京の検非違使の手は回ってはいまい」

と、濁酒をはむ悪党は、あくまでも威勢のより集団であった


 御矢山には、今、人影はない。

続く2010改訂
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