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ロボサムライ駆ける■第25回

2017年11月06日 | ロボサムライ駆ける

ロボサムライ駆ける■第25回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 you tube manga_training 


第四章 剣闘士1)
 ゆっくりと主水の意識が戻ってきた。
両眼が開く。
体の下の冷たさが感じられた。
「気が付いたかね」

 見知らぬロボットの顔が主水の前にある。
「ここは」
 周りを見る。ぼんやりと薄暗い冷たい石の壁。蛍光灯の照明が、天井からぶら下がって揺れていた。
厳重な扉がロボットの後ろに見える。

このロボットは僧服をきていた。
 死二三郎に切り取られた左腕はそのままで、応急に処置されているだけだ。
着物も剥ぎ取られていた。まるで奴隷扱いだ。

「ここか。ここは機械城の中だ」
 相手は高飛車に言う。

「お主は」

「私か。自己紹介しよう。私はロボット懐柔師サイモンだ」

「懐柔師だと、止めてくれ、私は由緒正しいロボザムライだ」

 懐柔師とは、品行の良くないロボットを悔い改めさせるロボットである。聖職であった。
「これは、これは、世迷い事を、お主言っておるのう。どこにその証拠がある」
 サイモンは驚きながら言う。

「この私の右肩にある桜吹雪マークと、製造コードを調べてくれればわかる」マークとコードはロボットのアイデンティである。

 サイモンは念入りに主水の体を自分を見てみる。
「そのようなものはない」
「そんなはずは」主水も調べる。確かにない。
 マークとコードは知らぬ間に削り取られている。身分を証明するものがないのだ。さらに、主水は続けた。

「新京都ホテルにお泊まりになっておられる、落合レイモン閣下に連絡をとってくれれば、すべてはわかる」

 サイモンは連絡を取るために外に出て行ったが、やがて戻ってきた。
「レイモン閣下のご一行は、すでに京都を離れ、東日本に帰られたと聞いている。東日本政府にも連絡をとったが、早乙女主水なるロボザムライ、現在、東京市にいるとの連絡があった。我々に無駄な労力をかけさせたな。このお返しはたっぷりとしてくれる」

 サイモンは、冷たく笑った。
「待ってくだされ。それは何かの間違いでござる。今一度、お調べくだされ」
 サイモンは無言で、別のロボットに主水を引き渡した。

「こやつを例のところへ」
 主水は、機械城の地下にあるロボ獄につれていかれる。
ロボット専用の獄舎である。

 暗い。照明がない。太陽の光りも差し込んでこない。
機械油のすえた匂いがした。
加えて、何かが腐敗しているようだ。

 獄の中には数体のロボットがすでに入っている。
「ここで待っておれ、いずれご沙汰がある」

 ロボットは言い置いた。
獄の中は、不法を働いたロボットで一杯だった。
ここに連れ込まれる折、手荒なことをされたらしく、各々のボディはかなり痛んでいる。手足のもぎ取られているロボットも何体かある。

「お前さん、どんな悪事を働いたのかね」
 ドアが閉まると一人のロボットが擦り寄って話しかけてきた。

「失礼ながら、貴公は」
「貴公ときたか、お前さん、服装を剥ぎ取られているからわからないが、お侍さんかい」
「さようじゃ」
「へっへっへっ、よけいにかわいそうにね」
 言葉の裏には何かを隠しているようだ。

「待て、その笑いはどういう意味だ」
「知らないのかね。かわいそうにね」
 はっきりとは答えぬ。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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