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アイランド■第11回■

2014年03月26日 |  アイランド
アイランド■第11回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 「マンガ家になる塾」ドリル
 
 ザタワーは、サンチェス島上空にあったキラー衛星の消失を確
認していた。

 首相室に今度は、シモンズが呼びだされた。

 「シモンズ君、君のあの大言壮語はどうしたのかね」
 「首相、申しわけありません。潜水艦の方からも連絡がないのです」
 「話によると、サンチェス島は、レインツリーの要員、コロラドの
領地と聞いているが」

 「おっしゃる通りです。サンチェス島は、コロラドに、ポズナニ戦
役の、その論功行賞として、彼に与えられた戦士領地です」
「コロラドという男はどうしたのだ」

 「それも不明なのです」
 「シモンズ君、君の話はまったく要領を得ないね、ひきとりたまえ」

 シモンズは、首相室のドアから出る時、クレアとはちあわせた。
クレアはあわれむ様にシモンズを陪る。

「シモンズ君、また我々に光があたってきたがね」
「クレア君、まあせいぜい失敗しない事だね。あの生物を甘くみる
と失敗するぞ」
 シモンズは首相の前に立つと、挙手をした。
 「全機動兵団、出発準備完了いたしました」

 「シモンズ君、今度は、失敗はないだろうね」
 「もちろんです、首相」

 サンチェス島は、機動兵の飛行艇で被われていた。上空をゆきか
う飛行艇からは、機動兵が降下してゆく。

「機動兵魂を見せろ」

 副官ハインドが皆を元気づけていた。
「相手は、女、子供だ」

 上空から降下してくる機動兵の姿を腿ながら、コロラドは、また
過去を思い出す。


 あの時、クワノンの生体ミサイルを自分の力で防ごうとした。自分
の力を過信していたのだ。その結果が、石くれの町なのだ。

 コロラドは今度こそ、最善をつくそうと思った。この時にベスト
をつくさないとしたら、何のために生きてきたのかわからなくなる。

つまりは、私はこの時のために生まれてきたのだ。
そうコロラドは思った。

 アリスとビィーは新世界への種子となるのだろう。

 海は凪いでいた。
、雲の切れ間からの光が、まるで天国からの光の
様に、彼女らを照らし出していた。

聖家族の様だった。

 これからの戦いの幕あけにふさわしい。

 俺は敵の機動兵の前に立ちふさがろう。
コロラドは考える。
彼の心臓は高なっていた。

心臓のドクドクという音がコロラドの耳朶の奥で響いていた。

 我々は滅ぶべき生物なのだろう。

 コロラドはビィーを抱きしめ、ほおずりをした。ビィーはキスを
かえした。コロラドはビィーの顔を少しも冷たくは感じなかった。
コロラドのほおをなま温いものがつたっている。

「我が子よ」
コロラドは思わず叫んでいた。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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