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日本人の日序章 第4回 日本抹殺計画は秘密裏に進められている。事情を聴いたケンは、日本領事館へ向かおうとするが、バルボア研究所が爆破された。

2020年12月29日 | 日本人の日序章(1980年)
日本人の日 序章■ある財閥が世界の経済と政治状況における一国の役割を分析。その一人の男は その国が存在しないと仮定し、世界分析を行う。結果は、男の推論どおりである。その国の名は。
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日本人の日序章 第4回 日本抹殺計画は秘密裏に進められている。事情を聴いたケンは、日本領事館へ向かおうとするが、バルボア研究所が爆破された。
 

「日本人の日序章 第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

「なぜなんですか、なぜ日本が」ケンは、恩師バルボアの研究所で

今聞いて衝撃の音声データに関して叫んでいた。

 

「ケン、私は、このテープを聞いたあと、政府筋に探りをいれてみ

た。しかし、恐るべき事に、彼らはすべて、この件に関してはノー

コメントと言った。さらに逆にその件をどこで知ったのかと聞かれ

た。ケッ、日本抹殺プランの可能性はほぼ100%だ。これはトップシ

ークレットだ」

 

 「パパ、どうにかならないの。一国が抹殺されてしまうなんて」

ケンの恋人、バルボアの娘のジュンが尋ねた。

 

 「いいかね、ジュン、それにケンも聞いてほしい。君達もハイスク

ールで習ったと思うが、地球の人類発生後の歴史という物は、国の

興亡史だ。いかなる国も永遠の生命を持つ事はできん。さらに過去

に幾多の民族が地球上から消え去っている」

 

 

 「しかし、先生、今は21世紀の中庸なんですよ」

 ケンがくぐもった声でいう。

 

 

「残念ながら、最近の日本の国家行動だ。それが原因だ。

ケン、日本人は世界じゅうから嫌われたのだよ。アローガント(傲

慢な)ジャップとしてな。それに現在の世界情勢が、填罪の羊スケ

ープゴーツ、を求めたんだよ。どこかの国が、世界じゅうのうらみ

をI身にうけて滅んでいくわけだ」

 

「この事を日本の領事館へ知らせます」

 

「無駄な事だと思う。が君の気の済むようにしたまえ」

バルボアはあきらめてつぶやく。

 

「ケン、気をつけてね」

 ケンは、今、立っている大地が崩れおちそうな気がした。うそだ

ろう。うそに違いない。そうあってほしい。彼は日本に住んでいる

両親と妹の事を考えた。一体、この世の中は、世界はどうなってし

まったんだ。

 

 このどこまでも続く青空が作りもののハリボテの様にケンは感じた。

 

 駐車場の車に乗り。研究所を出る。(イウェイへ出て、日本領事

館へ行こうとした。

 

 こんな事が許されてたまるものか。とにかく日本政府へ連絡して

もらおう。しかし信じてもらえるだろうかケンが気がふれたとしか思わ

れないかもしれない。

 

 運転しているケンの耳に轟音が響いた。

 

 何だ。ケンは車を駐車ラインへ持っていく。

 

車からおりて、後ろを見た。

 

煙があかっていた。バルボア博士の研究所の方だ。再び轟

音が響く。間違いなくバルボア博士の研究所だ。

 

ケンは車の流れに逆らって、センターラインを突き切って、逆方

向に乗りかえた。バルボアの研究所へ猛スピードでむかう。

 

研究所が燃えあかっている。建物の原形はとどめていない。

 「ジュン 博士!」

近くで車を止め、ケンは声を限りに叫んでいた。

 

消防車が、後から続々とやってきて、放水していた。続いて救急

車がやってくる。

 

負傷者を担架で運んでいる。ケンはジュンと博士

の姿がないかどうか、救急車の間を歩きまわっている。

 

やがて、二人の警官が、博士の秘書を連れて、ケンの方に歩いて

きた。秘書がケンを指さす。

 

 大男の警官が、ケンに言う。

 

「ケン=アサガ、研究所の爆破事件の参考人として、署に来てもらおう」

 

「何を言っているんだ、僕は関係ないぞ」

 

もう1人のやせた警官が、秘書に尋ねた。

「この男に間違いないかね、ミス=グリーン」

「ええ、この人です。よく、ジュンの所へ来ていた人です。この人

が帰ったあと、爆発が……」

 

秘書は泣き崩れる。

 

「OK、ミス=グリーン。ありがとう」

大男の警官がいう。

「とにかく、君の帰ったすぐあとで、バルボア研究所が爆破された

んだ、とにかく事情をきかせてもらおう」

 

「僕は今、急いでるんだ」

 

「いいか、日本人め、お前はこの事件の容疑者なんだぞ」

 やせた方の警官がいう。

 

日本人の日序章 第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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