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源義経黄金伝説■第65回

2013年01月14日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第65回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
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 1199年(正治2年) 鎌倉

「大江広元様、この鎌倉の政権を取りたくはございませぬか」
磯禅師が告げた。
鎌倉広元の屋敷である。

幕府成立後七年がすぎている、
静の舞からも十三年がすぎている。
大江広元が京都から鎌倉に来てすでに十六年が過ぎ去っていた。
「何を言うか。この鎌倉には、頼朝様が、征夷大将軍に任務じられてとしてお
られる」
「大江広元様、この鎌倉幕府の仕組みを考えられたのは、他ならぬ眼の前にお
られる広元様ではございませぬか」

 大江広元は世の仕組みを作る、言わばフレームワークを行っていた。また法律という国の根本を考えだし、関東の武士たちに一定の秩序を与えたのは、頼朝で
はなく、すべてこの広元の「さいづち頭」から出ていた。つまり、広元が鎌倉
幕府の全システムを考え出していたのである。

「大江広元様は、元はと言えば京都の公家でございましょう。京都にも知り合いが多くございましょう」
「無論だ」
「で、お知り合いの方々を、この鎌倉の要所要所につけなされ」
「禅師、、、お主は、この鎌倉を、京都にしようというのか」
「その通りでございます。これは法皇様も、関白様も認めておられること」

「……」
 大江広元は、頭の中に新しき血を巡らせていた。
「よろしゅうございますか。源氏の血を将軍職からなくし、京都の公家、いや
天皇の血を入れるのです。無論、政事をなさるのは、関東の武士の方がよいと
思われます」
「具体的には誰だ」

「北条氏でございます」
「北条政子様のててご北条時政、兄上とか…」
「そういうことでございます。そうしなければ、この関東の武者どもが黙って
おきますまい。まず広元様、北条氏の方々の力を蓄えさせることに力を注がれ
ませ」
「ということは、北条以外の有力なる武将をすべて葬れと…」
「大江様ほどのお方なら、中国、唐の歴史をご存じでしょう」

大江は、禅師の言葉に疑問がうかぶ、こうしゃべらしているのは、京都のだれ
なのだ。いや、京都の貴族全体かもしれぬ。大江広元の体に寒気が走った。
「無論、が磯禅師、お前はそのような知識をいずこで」

「禅師は、京都の闇の組織に通じております。この闇の組織は公家様の知識を
集めたもの、そのくらいお分かりにならない大江様ではございますまい」

「で、唐の歴史とは。、、、、そうか、そういうことか」
大江広元は、京都にうごめく古来から連綿とつづく恐ろしさを見たような気がし
た。
「さようでございましょう。王朝が変われば国の統一のために手助けした者、
武将、ことごとく新しい王のために葬り去られましょう」
「が、禅師、俺は武将ではないぞ」

「それゆえ、策略を巡りやすいとの考えもありましょうぞ。中国が三国のと
き、諸葛孔明の例もございましょう」

大江広元は、考える。いかに禅師といえど、この考えは

「禅師、その考え、まさか、後白河法皇様の…」
「いえ、滅相もございませぬ。これは京の公家の方々の総意とお考えください
ませ。よろしゅうございますか、大江広元様。源頼朝様の動きを逐一お教えくだされませ。そして、もし機会があれば…」
「お主たちが、大殿様を殺すという訳か」

「さようでございます。さすれば大江広元殿、鎌倉幕府にてもっと大きな位置を占められましょう」
「それが私にとって、よいかどうか」

「何を気弱な。よろしゅうございますか。頼朝様亡くなれば幕府は、烏合の衆。大江広元様が操ることもたやすうございましょう」
「所詮、北条政子殿も、親父、北条時政殿も伊豆の田舎者という訳か」
 
禅師は、にんまりとうなずいた。

(続く)
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