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アイランド■第4回

2017年11月15日 |  アイランド

アイランド■第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所


 ザ=タワーでは処理におおわらわだった。機動兵の隊長エリエッ
ト=クレア大将が、地球連邦首相室に呼びだされていた。

 首相室には、他に一人の男がいることに、クレア大将は気づいた。
「クレア、どういう管理体制をひいているのかね。君は、ここザ
タワーは地球最高の要塞だとは言わなかったかね。

それが何んてざまなのだ。アリスファームは死体の山だ。おまけに、アリス全員を
クリーンニングしてしまった。当分、バイオノイドの戦士の増産が
できないではないか」

 クレアは首相の罵声の前に首をうなだれるしかなかった。
 「マイケル軍曹がいい所まで働いてくれたのですが」

 クレア大将は小さな声で言う。
 「が、失敗した事にはかわりはないだろう」

 首相の陰から、一人の男が言った。男は椅子から立ちあがり、リ
ゲル量産のタバコを吸い始めた。クレアはその男が誰か気がついた。

『レインツリー』の長官、シモンズだった。
「シモンズ君、それじゃ、君があのアリスを処分してくれるという
のかね」
 言葉の戦いである。
「もちろん、そうだ。すでに首相の承諾は得ているからね」

「どういう事ですか、首相」クレアは首相にかみついた。
これからの処置は、シモンズ君が言った通りだ。すべてをレイン
ツリーにまかせる」

 クレアは顔を真っ赤にさせている。
「しかし、レインツリーは暗殺者組織ですよ」

 クレアには機動兵のプライドがある。
「だから、まかせたのだ」
 首相は冷たく言い放つ。
「その内、泣きを吃る事になりますよ」
「泣きを腿るのはそちらだろうが、クレア君」
 シモンズがさげすむ眼ざしで言った。
「失礼します」
 クレアは、顔を上気させながら、首相の部屋を出た。

 「クレア君、始末書を忘れるなよ」追討ちに部屋から首相の声がひ
びいてきた。
 「くそっ、何んて事だ。よりにもよって、レインツリーだと。首相
は何を考えているんだ」。

 クレアは機動兵長官室にもどると、副官のハインドを呼んだ。
 「いいか、ハインド、我々機動兵の名誉にかかわることだ…」
「そのいん星がどうしたと言うのだ」

「そのいん星は、地球を汚染させる」
「汚染させるだと、まさか、またクワノンのミサイルと言うわけで
はないだろうな」
 コロラドはボーンに念を押した。

「正確にはミサイルではない。ミサイル以上に悪い。」
「というと」
「そのニュータイプの飛行体は、スカイウォッチャーズと同化した
んだ」

「同化した。どういう意味だ」
「普通のスカイウォッチャーズなら、石球と化すはずだ。がそのバ
イオノイドは、クワノンごと、地球の防衛圈を突破したのだ」

「そのバイオノイドがこのサンチェス島に落下したというのか」
「それなら、話は簡単だ」

 「バイオノイドではないのか」
 「バイオノイドの人工胎宮にいるんだ。つまりはバイオノイド・マ
 マの中に彼はいるんだ」


 バイオノイド=ママだって、コロラドは悪い予感がした。
「どうしたんだ、コロラド」

「いいや、何でもない、ボーン。もう今日は日が暮れてしまった。
夜の闇では動きはとれまい。俺の屋敷に泊ってもらおうか」
 「コロラド、おかしな奴だな。クワノyの侵人者なんだぞ、お前の
家族と、この島の大部分を石化させた奴らだぞ」

 「わかった、ボーン。この大プルトゥーをつけてやる。勝手に探し
てくれ。プルトゥーは防禦システムの一部だ、いん石の落下場所を
割り出せる」
 「お前はどうするつもりだ」

 「俺か、…」
 コロラドは言葉につまった。どうごまかせばいいのか。相手はプ
ロ、しかし、こちらもプロなんだ。
 「俺も別の方法で探す」

 「お前、おかしいんじゃないか、どうかしたのか。クワノンなんだ
ぞ、この地球を滅ぼそうとする異生物だぞ」
 「が、俺はやる事がある」

 「コロラド、お前はこの島では腰抜けなのか、わかった。このプル
トゥーは借りていく」

 ホーンは、プルトゥーを連れて、島の内部へと入っていった。
 さて、コロラドは、自分の屋敷へ急いで戻る。プルトゥーに時間
をかせいでもらわなくてはなるまい。

 屋敷へ戻り、SD2のコンソールにすわり、プルトゥー向けの
コマンドを打ち込む。
 それから、コロラドは、急いで、二日前のいん石落下位置をディ
スプレイに呼びだしてみた。

 ミスギ谷。そうディスプレイに出た。

 彼は急いで、外へ出た。ボーンより先に、辿りつかなければなる
まい。
「おい、プルトゥーさんよ、道が間違っちゃいないか」
「いえ、この道が近道なんです」
 ボーンは、防禦システムの一端子プルトゥーに疑問をなげかけて
いた。
 ボーンはある程度の位置を情報として与えられていた。もちろん、
島全体の図面も、彼の頭の中に刷り込まれている。

 潜水艦の中での、ブリーフィングでも、アリス達の位置をほぼ、
確認していた。

 プルトゥーはまわり道をして、時間をかせごうとしているようだ。
何のために。ボーンは、コロラドの意図が測りかねていた。あいつ
は何を考えているんだ。しかし、まさか、クワノンを助けるわけは
ない。

が まてよ、侵入者はバィオノィド=ママの姿をしている。確
か、コロラドは、宇宙連邦軍重装歩兵だったはずだ。

くそっ、 コロラドは、バィオノィド=ママ、アリスを知っているんだ。
 ホーンはすばやく行動した。

 プルトゥーに反動のチャンスを与えず、空手でプルトゥーの首の
部分を一撃した。プルトゥーの頭を割る。ボーンは頭脳につながる

コードをひきずりだした。

 自分の右手につなぐ。ボーンの右手には電子頭脳解読コード用の
ジャックがついていた。

 「くそっ、ミスギ谷か、コロラド、待っていろよ」
 ボーンはプルトッーの亡骸を唆たえて、ミスギ谷に向けて走り始
めた。

 SDIIの示した通りだった。コロラドの予感はあたっていた。
 やはり、アリスだ。おまけにアリスは小さな子供を抱いていた。
場所はミスギ谷の谷間にある小さな洞窟だ。

 「アリス!!」
 コロラドは、名前を叫んでいた。
(続く)



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