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ロボサムライ駆ける■第27回

2015年12月04日 | ロボサムライ駆ける

ロボサムライ駆ける■第27回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
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第四章 剣闘士 (2)
 東京島。

 『鉄』が再び主水の部屋を訪れてようとしていた。
エレベーターに乗っている。
 主水の屋敷は旗本ロボットが居住している公国アパートである。
ストリップエレベーターからは、遠く、静岡や房総半島などが眺められる。

 間取りは一二畳、一二畳、六畳、バス・トイレ付である。
家賃は200万円。家賃は徳川公からの給与から差し引かれている。

 ロボットにバス・トイレが必要かという疑問があるが、ロボットは体の外部、内部の洗浄が常に必要であった。
 押し入れには、体の各部分の部品の予備が常備されているのである。

 ロボットは食事はしない。が、かわりに栄養液が必要であり、そのため水道の蛇口と並んで、栄養チューブが常備されていた。

 家具も必要ないと思われるであろう。
が、ロボット標準設備としては、修理用ベッド、自己精製用コックピット、レーダー精製装置、武器・弾薬整備セット、油圧調整モジュールなど、人間の家具より重量があり、かつ容積を取る家具が必要なのである。

当然、ロボット整備中の爆発事件も微量ではあるが起こるので各部屋の壁・床は合金システムとなっている。

 マリアは、整備用のベットで眠っていたようだった。

「何か御用ですか、鉄さん」
「だって姐さん、だんなが西日本へ行って日数が立ちやすんで、何か伝言が情報モジュールにでも入ってやしないかと思いましてね」

「鉄さん、あなた、主人思いの方ですよね。でも、まさかホモ友ってわけじゃないですわね」
「マリアねえさん。め、めっそうなこと、いっちゃいけませんぜ」

 と、いいながら、顔を赤らめる鉄であった。ロボット顔面には人工皮膚が使用されており、人間と変わりがないほどの表情を示すことができる。

「まあ、そうおっしゃるのなら調べて見ましょう」
 
マリアは、奥の部屋にある情報モジュールを操作してみる。
 情報モジュールには、インターネットは始め、電話、FAX、パソコン、オーディオ、ラジオ、有線放送などすべての情報ラインが纏めてある。モニターには情報が入っていなかった。

「何の情報も入ってはいませんわ。お生憎様ですわね、鉄さん」
「だって、姐さん、何の心配もなさらないんですかい」

「じゃまいたすぞ」
 そのとき、玄関先で声が聞こえる。
「悪いけど、お客様を見て来てくださる」
「へい、がってん」

 が、急にマリアの元に戻って来る鉄。
「て、ていへんだよ、姐さん」
「どうしたのですか、そんなにあわてておられて。まあ、あなたのあわて者ぶりはロボット界じゃ有名ですけれど」

「これが驚かずにいられますかってんだーい」
「ラブ・ミー・テンダー」
 それを受けてマリアが言った。

「姐さん、俺のしゃれを先に言っちゃいけねえよ」
 急に不機嫌になる鉄。

「そんなことをいってる場合じゃないんだ、殿様がここへお出でなんで」
「じゃまするぞ、マリア」
 徳川公廣だった。供の者を2名連れている。
徳川家康そっくりの笑顔をして入ってくる。

「ええ、汚い、狭いところですが。どうぞ、殿様」
 鉄が答える。
「おやおや、何をおしゃられるの。ここはあたしの家ですよ」

「苦労をかけるのお、マリア。こんなアパート暮らしをロボ旗本たちにさせたくないのじゃが、いかんせん、徳川公国の予算というものがあってのう」

「いや、お上の言葉、ありがとうございます。あたしどもはお上からそう言っていただけましたら、何の悩みもございません。本当にいい殿様にお仕えさせていただき、ありがたき幸せ」

「ちょっと、鉄さん。何をおっしゃってるの。それを言うのは私ですよ」
 今度はマリアが怒った。

「まあ、よいではないか、マリア。ところでそちは日本の暮らしになれたかの」

「ええ、ありがとうございます、お陰様で大分。それに主水様がよくしてくれます。それとこの鉄もよく仕えてくれますので、何の不満などありますものか…」

「また、鉄さん、先走りするんじゃありませんことよ」

「で、殿様。今日は何の御用で、このあばらやへ」
「あばらやでわるうございましたわね」
 マリアが鉄の顔をゆっくりとぐっとつねる。
「いていて、あっしの家じゃないからよござんしょ」
「よけいにわるうございます」

「ちと、困ったことが起こってのう」
 二人の戯れを見ながら徳川公は顔を曇らせた。
「どうしたんですかい、だんなが何か」
「これこれ、鉄。先を急がすものではない。実は…」

「実は…何なんですかい。徳川公国が借金のかたに東京島から追い出されるとか」

「鉄さん、言って良いことと悪いことがございます」
 マリアが、鉄の頭に洗浄皿を投げ付けた。

「実は、主水が行方不明になったのじゃ」徳川公が呟く。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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