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打楽器は楽しい!オモロイ!ホンマやで。

打楽器奏者山本毅が、打楽器について、音楽について、その他いろいろ順不同で語ります。

ロール(右手と左手)

2007年05月19日 21時21分47秒 | テクニック
ロール(右手と左手)

2006年11月20日

ロール習得のコツを書いてた。
なんか前回がずいぶん昔のような気がする。

その三 「左右を同じにしようと思わないこと」ってところから再開。

よいロールとは左右の音量音質それに時間(タイミング)がきっちりそろっているものだと普通は思うだろう。
ぼくもそう思いこんでいた。

しかし、左右の音をきっちり同じにしようとして練習していると落とし穴にはまる。
はまるだけではなくそこから抜け出ることができなくなることもありうる。

まず、ぼくたちは人間だ。右手と左手が同じになることはない。
ないと断言しても多分大丈夫だ。
いまだかつて右手と左手がまったく同じって人には出会ったことがないから・・・・。

ぼくは左手を鍛えようと思って、学生時代からずっと、原則左手で箸を持っている。
魚の骨はずしとか、豆をつまむのだってお手のものだ。
左手一本で大体のものは食える。
左手でも全然不自由はない・・・・・・と言いたいところだ。

でも、やっぱり左手は左手だ。

左手ではどうしても難しいテクニックもある。
例えば、お茶漬けを掻き込むってなんてことは意外にムツカシイ。

というか、普通左手でお茶碗を持ち、右手で混ぜたり掻き込んだりという作業、つまり、右手と左手が共同作業をするような場面では、左手に箸を持つってのはすごくムツカシイ。

やはり、右手と左手、というか、利き手とそうでない方の手は役割が違うということなんだ。

で、話題を戻そう。

右手と左手の音を音質も音量もタイミングも同じにしようと四苦八苦していた頃、
ヴィオラ奏者である家内がその練習を見るともなしに、聴くともなしにボーッと(かどうかは知らないが・・・・実際には注意深くかもしれないが)見ていた(聴いていた)。

で、突然彼女が言った。
「あなた、右手と左手を同じにしようとしていない?
それでは良いトレモロは絶対できないと思うわ。
弦楽器でもトレモロがあるけど、ダウンとアップは絶対同じにならないわ。
ダウンとアップは役割が違うのよ。打楽器でも右手と左手は役割が違うはずよ。
右手をまず主体に考えて、左手で右手をフォローするようにしたらどう?
そして、右手と左手が互いに助け合って一つのサウンドを造るようにしてあげるのよ。

それに、あなたは打撃音を細かく揃えていってトレモロをきれいに造ろうとしているでしょ?
打撃音をいくら細かくきれいにつなげようとしてもそれは音楽には使えないわ。
音と音の間にある響きを聴いて、その響きをつなげていくようにしなくては。
響きがつながっていけば、打撃音がそろっていなくても、きれいなトレモロができるわよ。
音楽は響きで造るものよ。打撃音はいくら磨いても、揃えても、それは単なる音よ。」

そのことばを聴いて、ぼくは発想を変えた。(ああ、なんて素直な忠実な夫だろうか・・・・!)

カスタネットのトレモロを思いだしてほしい。
フラメンコカスタネット、
あれ、右手と左手に違う音の楽器を持つわけだ。
そして、確か右手が三回打って左手が一回(もしかして逆かも)っていう風に、たたく回数も右と左と違う。

それでも、彼らのたたき出すロールはすごくきれいだ。

右手と左手が同じでなくても美しいロールが造れることは、このことですでに歴史的に証明されている。

というわけで、ぼくは今、右手と左手を同じにしようという練習はしていない。

右手は右手の個性を伸ばし、左手は左手らしさを伸ばすように考えて練習している。
で、ロールはまず楽器を響かせることを第一に考え、響きをつなげていくように考えて演奏している。

こんな風に発想を変えて練習し始めてから、スネアのロールはずいぶん楽になり、良い結果も出始めた。

いろんな場面で「山本さん、ロールきれいですね」といってくれる人がちょくちょく現われるようになり始めた。

今でも、実際はそんなにロールが上手なわけではないと思う。
でも、ロールコンプレックスはもはやない。

楽器がちゃんと響いていることを実感しながら演奏できるようになっているからだ。

楽器の響きが自分の耳で捕えられていれば、多少音の粒がそろってなくても、あまり動揺しないでロールを演奏できる。

この感覚、そう簡単に体感できるわけではないと思う。
ぼくもずいぶん時間がかかった。

でも、このことは頭のどこかにインプットしてメモリーしておいてほしい。
必ずあなたの役に立つだろう。

では、ロール習得に向けて奮闘中の皆さん、
がんばってください!努力し続ければいつか必ず結果が出ます。

シャローム、God bless you!



ところで、
今日は家内の誕生日だ。

おめでとう!



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
右手と左手 (ceci)
2006-11-22 00:04:56
役割が違うって、確かにそうですよね。

音楽の話ではなく、日常生活での話ですが。

去年、左胸を手術して、左腕に3キロ以上の負荷をかけないように、という注意を受けて退院しました。

左は利き手じゃないから、何とかなる・・と思いきや。

利き手じゃないほうの手って、本当はすごく活躍していて、結構重いものを持っているのは利き手じゃないほうだ、ということに、初めて気がつきました。

結局、神様がお創りになった体に、無駄はないということですよね。

金曜日のコンサート、何とか行けそうです。
楽しみにしております。
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Unknown (おおえ)
2006-11-27 17:41:56
久しぶりに来ました。いっぱい読みました!!!
ここが一番納得・・・というか、私でも何とか理解できた唯一の講義でありました。
打楽器と弦楽器の距離が縮まったように感じますね。
いつか、マリンバチーム・ヴィオラチーム(勝手に入るつもりでいる。)の共演なんか出来たら夢のようであります。
奥様お誕生日おめでとう御座います!!
急にケーキ食べたくなってきました・・・
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