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打楽器は楽しい!オモロイ!ホンマやで。

打楽器奏者山本毅が、打楽器について、音楽について、その他いろいろ順不同で語ります。

いい教則本が見つかった

2007年09月08日 16時45分15秒 | 楽譜
いい教則本が見つかったので紹介しよう。

Portraits in Rhythm Study Guide (COMPLETE)
Cirone著

The Portraits in Rhythm Study Guide contains a detailed analysis of the fifty snare drum etudes from Portraits in Rhythm. The observations and interpretations represent many years of performing and teaching. This comprehensive study guide gives you the author's insight on how to maximize the exercises, and it inspires skills which will carry over to other compositions and performances

言わずと知れたポートレイト・イン・リズムの解説本だ。
このエチュードを書いた本人が解説してくれているのだから、絶対に目を通しておくべきものだ。

一曲一曲に詳細な解説がついている。
Steve Weissで19ドルくらいで買える。

ところで、スティーブ・ヴァイスって店は便利だ。
先日、注文したら、それからたった4日で配達されてきた。
関税とかを自宅玄関で運送業者に払ってすぐに受け取れる。

注文にはクレジットカードが必要だが、ファックスで簡単に注文できる。
いい時代になったなあ・・・。

その時、かのナンシーゼルツマン女史のマリンバメソッドも買ったのだが、これもいい本だった。
マリンバ奏者は必読!

全てそのとおりする必要はないが、彼女の考えを知ることは自分の考えを検証するのにすごく助けになるだろう。

ただ、英語だからぼくにはきつい。はっきり言って細部はようわからん。

でも、なんとなくでも、多少なりでも、読まないよりは読んだ方がいいに決まってる。

それに、高校生にはいい英語教材になるだろう。
内容にそれほど興味をもてない教科書の英文教材より、自分の大好きなマリンバという楽器について、音楽について書いてある英文を読むほうが、英語力のアップに役立つのは間違いない。


「Four-Mallet Marimba Playing」 Nancy Zeltsman

2007年08月27日 09時47分15秒 | 楽譜
「Four-Mallet Marimba Playing」 Nancy Zeltsman

2007年8月27日

ぼくのかつての教え子(今は同僚)のブログを見ていると有益そうな情報があったので勝手に転載。
多分著作権侵害で訴えられることはないと思うが、もしもの時は裁判費用カンパお願いします!

『ナンシー・ゼルツマン先生が著作and出版された、全てのレベルに対応可能なマリンバのための教則本、「Four-Mallet Marimba Playing」という本を・・・。

マリンバを弾かれる全ての方に言いたいです!!!この本は本当に本当にブラボー!!!!!です。
普段私たちが気にも留めずにやっていることが、素晴らしい表現で、言葉として書かれているので本当に考えさせられます。
練習曲もたくさん載っていて(そのほとんどはナンシー先生が作曲されました!)、
その一つ一つの練習曲に、この練習曲をやれば何が上達するのか、何を気を付けて練習しないといけないのかが驚くくらい細かく載ってます。
だから私は練習室にいても、マリンバを弾いてる時間より、その説明を理解しようと奮闘している時間のほうが長いんですが…(笑;)

日本でも今やすぐに手に入るので、興味があれば是非購入されることを強く薦めます。』

ということなんだが、

ここでの重要ポイントは、我々が何かをするとき、その目的をしっかり意識しているのといないのでは、得られる成果が全く違うということだ。

今やっているエキササイズとかの目的は何か?そのためには何に注意して練習すればいいのか?達成すべきレベルはどこにあるのか?などをしっかり意識してやらないと、泥沼にはまる恐れもある。

特に、音階練習とかスティックコントロールのような基本的なエチュードとかは、完璧に仕上げようとすると一生かかってもできないので、下手すると自信喪失自己嫌悪に陥り音楽家生命にかかわる事態になりかねない・・・・というのは、大げさだけど。

今、自分が何をしているのか?何のためにしているのか?どこまですすまなければならないのか?(今日は、一週間後は、一ヵ月後は、一年後は?)と意識して取り組むことが絶対に大切だ。

特に音階練習、これは音階を覚えるのが目的ではない。

マリンバを弾くための身体と耳を造ること、呼吸を整えることが目的だ。・・・と思う。
それを忘れると、単なる早や弾きの練習、自己満足エキササイズになってしまう。

小太鼓の基礎練習もそうだ。
別にパラディドルとかのテクを覚えるのが目的ではない。そんな技術はぼくたちがブラスト入りとかを目指すのでなければ実際に使うことはまれだ。
でも、パラディドルの練習は大事だ。それは太鼓たたきとしての身体と耳を造るのに非常に有益だからだ。

だから、ぼくは基礎練習のとき、何よりも耳を含めて身体の神経を敏感にすることに気を遣う。

また、時にはあえて耳から注意を離して身体の神経に集中して練習するときもある。

また、何より筋肉と関節をリラックスさせることを目的に練習するときもある。
そんなときには、英会話のCDとか、神学校の授業の録音をかけて聞き流しながら練習するときもある。

要は、今していることの目的をしっかり意識して、そのためにすべきことと、しなくてもいい事を把握することだ。


あると便利なエチュード

2007年05月19日 20時57分06秒 | 楽譜
あると便利なエチュード

2006-02-15 21:43:53

以前ぼくが使ってる教則本を紹介したとき、忘れてたのがあった。
思い出した。あまりに日常的に使ってるので、逆に思い出せなかった。

それは「スティック・コントロール」というエチュードだ。

あまりに有名で、知らない人はいないといわれるほどだ。
有名になるだけあって、このエチュードの効果は絶大だ。

ただし、用い方にはコツがある。

まず注意したいことは、どのページもリラックスした状態で取り組むことだ。
体も、心もだ。当然、結果として出てくる音もリラックスしているはずだ。
自然な響き、のびのあるリラックスした響きである必要がある。

しゃかりきになって、カチコチの姿勢と手の状態、もちろん音もガチガチ・・・・って事では、効果が半減どころか、逆にマイナスかも知れない。

次に気をつけるべき事は、あまり速いテンポではやらないって事だ。
速いテンポ、限界のテンポでは耳を開いて音をチェックしながらってのは難しい。

音楽って、筋トレじゃないからいつも出てくる音が大切だ。

冷静に客観的に自分の出している音をチェックできるテンポで練習することだ。

それに、キリスト教の教典である新約聖書に
「それはそれとして、私たちはすでに達しているところを基準として、進むべきです。」という言葉があるのだが(ぼくはこの言葉が大好きだ!)、
上達の早道はいつも手順を踏んで練習するって事だ。

つまり、いま自分が達しているところからスタートするってのがすごく大事なわけ。
だから、いまの自分の実力で確実に演奏できるレベルから練習をスタートすることだ。
無理をしないって言い方もできるかな?

いまの自分、このテンポなら「正確に」「リラックスして」「いい響き」でこのパッセージを演奏できるぞ!と確信が持てるテンポでじっくり練習し、そのタイムセクションの終わりには少しだけ早めのテンポでも「正確に」「リラックスした体の状態で」「いい響き」で演奏できるようになっていることを目標にする。

もう一つの注意点は、一回にほどほどの時間の練習ですましておくって事だ。

「毎日3時間スティックコントロールやるぞ!」なんて考えないで、
「一週間に二回、30分ずつやろう」とか、「毎日15分ずつ、少なくとも週3日はやろう」という程度で十分だ。

ぼくは、「何となく今日は練習する気がわいてこないなあ、でも、やっとかないと明日から会議続きで練習できないし・・・・」とか、「あと家を出るまでに15分だけ余裕があるぞ、どうしよう?」というときにするようにしている。

それと、このエチュード、必ずしも全ページマスターする必要はないと思う。
今の自分にとって必要性の高いセクションを選んで取り組めばいいのではないだろうか?

あと夜の十時まで15分ある。15分だけスティックコントロール、やるかぁ!


ぼくの使ってる教則本とエチュード

2007年05月19日 20時54分56秒 | 楽譜
2006-02-02 23:14:54

ここで、ぼくが使ってて、生徒たちにも推薦している小太鼓(打楽器)の教則本とエチュード、参考書を紹介しよう。

まずは今村征男著 塚田靖増補 「打楽器教則本」(全音楽譜出版)

これは日本語で書かれた教則本の中でも昔からあり内容が充実しているものの最右翼にあげられると思う。
ずいぶん昔の本だが、内容はいまだ古くなってない。特に説明の文章がわかりやすく、詳しいので、初心者にも中級者にも参考になるところ大だろう。隅から隅まで熟読すべき本だ。


次に The Ludwig Drum Method

小太鼓の基礎技術を身につけるのにうってつけのエチュード。これを徹底的に練習し、マスターすることがその後の成長に大いに寄与する。それに、いつでも基本に戻って練習することは、誰にとっても必要だ。ぼくも時々このエチュードを取り出し、さらう。やってみると意外と基本を忘れている事に気付かされる事が多々ある。

ただ、一つだけ気になるのは、手順がずいぶん細かく指定されていることだ。
手順と音楽性とは非常に密接な関係があるので、「自分で手順を考える」ということを習慣にしてほしい。人間って書いてあることには自動的に従ってしまいがちだ。それは避けたい。
とにかく、まずは「このフレーズ、どんな手順で演奏したらいいだろうか・・・・?」って徹底的に考察することがすごく大切だ。その上で、その逆とか違う手順でも練習するといい。

それに、このエチュードに書いてある手順には疑問なところも多々ある。だから、ぼくは指定の手順を修正液で消したものとそのままのものとの二冊を時に応じて使い分けている。


Goldenberg:Modern School for Snare Drum

これも名著。特にオケスタの部分とか、楽器の解説はとても役に立つ。アメリカのみならず、ドイツでも普通によく使われている。ぼくも30年前、デュッセルドルフ音大の入試でこのエチュードから一曲演奏した。


Anthony J. Cirone:Portraits in Rhythm

これもいいエチュードだ。
全ての曲に簡単な説明があり、何を会得するために書かれた曲であるかがよく判るようになっている。つまり、練習の目当てが明確だということだ。それに、一つ一つの曲が、音楽的な表現力をすごく要求される曲だ。
だから、このエチュードをさらうにあたっては、一曲一曲を独立した「音楽作品」としてとらえることが大切だ。練習曲としてではなく、れっきとした音楽作品としてコンサートにかける様なつもりで音楽的な表現を目指していくとき、音楽と密着した技術を身につけることができると思う。


大塚敬子著:打楽器がうまくなる本

永年ウイーンで活躍された女流打楽器奏者、大塚敬子さんによる、非常にわかりやすい解説本。
写真も豊富でわかりやすいと思う。示唆に満ちたいい本だ。ぼくも読んで勉強になった。

他にもたくさんいい本はあるが、紹介はここまでにとどめよう。
まずはこれらをしっかりやることだと思う。そうすれば、他の本を見るときに、それがどんな本で、どんな目的で書かれていて、どんなよい点があって、どんな問題点を持っているかを的確に判断できるようになるだろう。

学校の勉強もそうだと思う。まずは教科書と少数の参考書をしっかりやることだ。

最後にこれらの本、どれに対しても絶対に気をつけてほしいことがある。
それは、「書いてあることを鵜呑みにしないでほしい」って事だ。

必ず、「それはホントかなあ?なぜだろう?もっといいやり方があるのでは?」と吟味しながら読んでほしい。それに第一、これらの本を比べてみると、著者によって違う主張がある事に気付くだろう。
その場合は当然、どっちが正しいのか?どちらが自分には合ってるのか?と吟味し、決断していく必要があるわけだ。
ぼくもこれらの本の中で疑問に思うこと、賛成できない点もけっこうある。

でも、全体的に見ると、やはりいい本だと思う。