大太鼓
2006年12月7日
いろんなオケとかバンドを聴いて
大太鼓・バスドラム・グランカッサ・・・・ほど、千差万別の音がしている楽器も珍しいのではないか?と思う。
楽器のサイズ、チューニング、マレット・・・・その組み合わせは順列組み合わせですごいバリエーションだ。
今、京都芸大のオケは定期演奏会に向かって猛練習中、わが大太鼓奏者K子嬢も日々試行錯誤の連続で音造り追求中だ。本番にはどんな音を聴かせてくれるのだろうか?
楽しみだ。
といっても、ぼくは本番は都合が悪くて聴けないので、ゲネまでにどこまで追い込んでくれるか楽しみにしているところだ。K子嬢独自の音をGETしてくれることを願っている。
まあ、どんな音でも殺人事件や武力革命に発展したりはしないだろうから、好みの問題なんだが、
ぼくにはぼくなりのこだわりがある。
そのこだわりの部分(チューニングに関しての)をここで紹介しよう。
その一
まず、大太鼓の音はそのオケで一番低い音であってほしい。
オケで一番低い音を出すのはバスドラだ。次がコントラバス。
コントラバスの最低音は5弦の場合、Cだ。
32ヘルツという超低音だ。
Rシュトラウスの「ツァラストラはかく語りき」って交響詩のしょっぱな、コントラバスがこの音を弾き、大太鼓はそれをロールで支える。
これがコンバスより大太鼓のほうがハイピッチだと支えにならない。
だから原則的に32ヘルツのC音よりも低いピッチにチューニングする。
もしあなたが今、修行中の身で、身近にコントラバス奏者がいるなら、ぜひ32ヘルツのC音を自分の耳で聴いてみるべきだ。それも目と鼻の先で演奏してもらって。
弦がどういう風に振動していて、どんなアタックでどんな残響でってことを自分の耳で確かめてみるべきだ。
その際、アルコとピチカートの両方を、またフォルテもピアノも聴かせてもらおう。
ついでにピアノの最低音Aの音も自分で弾いてみて確かめよう。
これは27ヘルツだ。(確か・・・・)
ちなみにパイプオルガンは16ヘルツのCが出せる。
ただし、これはもはやピッチとしては聞こえない。
どちらかというと地響きって感じだ。
というわけで、オケに出てくるバスドラ以外の楽器の最低音ってのを自分の耳と目と皮膚感覚でつかんでおくといい。
ただし、そのC音よりも低い音って、物理的なものではない。
あくまで聴感上のものだ。
バスドラムにしても、コントラバスの最低音にしても、倍音がある。
聴き手の耳にはどちらかというと倍音の方がよけいに到達する。
だから、その倍音同士を聴き比べたときにバスドラムがちゃんと下から支えて響く必要がある。
基音と倍音とをどうバランスさせてミックスするか・・・・それが大太鼓奏者のセンスと腕の見せ所だ。
その二
次にぼくが大事にしているのは打面とウラ面ヘッドのピッチ差だ。
ぼくの場合、打面をウラ面より半音から一音高くチューニングする。
ウラ面ヘッドのチューニングで大切な点は二つ。
一つは打面ヘッドの振動に呼応してよく共鳴すること、
これを実現するには打面ヘッドに近いピッチに設定する必要がある。
もう一つは打面ヘッドの振動を妨げないということ。
そのためには打面ヘッドよりほんの少し低くチューニングする必要がある。
最近、ウラ面のほうをやや高くチューニングする人が多いみたいだけど、ぼくはその音、あまり好きではない。
なぜかというと音が解放されないからだ。
ウラ面を表より高くチューニングすると、当然ウラ面のほうがヘッドの振幅が小さくなるわけで、表面ヘッドの振動をある程度ミュートする結果になる。
そうすると、当然のことながら、何らかの制動の効いた音になる。
よく言えばしまった音、はっきりした音になる。昔流行った完全密閉型スピーカーの低音のイメージに似ている。
これはこれでいいのだが・・・・・、
が、しかし、
ぼくが一番大切にしたいことの一つである「音楽の解放」ということがムツカシイことになる。
良質のバスレフ型スピーカーとか、ホーン型スピーカーの低音はすごく開放的だ。
音楽が解放されている。
音楽の解放のためには開放的な音が必要だ。
制動を効かせたければ、タッチとミュートで対応すればいいってのがぼくのやり方だ。
しかし、これはあくまで好みの問題だ。
スピーカーだって、完全密閉型派とバスレフ派とは永遠の論争を続けている。
どっちがいいって結論が出ることは多分ないだろう。
どちらの方式でも良いものは良いし、悪いものは悪い。
要はその奏者の音楽観がどこまでそのチューニングにきちんと反映されているかだ。
皆さんそれぞれ自分の耳で音を確かめながら、好みの音を見つけ出してほしい。
あなたが音楽で一番大切にしているものは何か?
それが大太鼓のチューニング一つにさえ現われ得るんだ。
しかし、(しかしが続くが・・・・)
最終的にはチューニングよりもテクニックのほうが重要だ。
つまりタッチと指先ミュートの使いこなしだ。
空いてる方の手、ふつうは左手だけど、この手の指とか手のひらでどんな風にミュートするかってのはものすごく重要だ。
もちろん、まったくミュートしない音も使う。というかそれが基本だ。
んだども、やっぱぁタッチが一番重要だ。
どれだけ地道に基礎練習を積み重ねたかが最終的には音に効いてくる。
どんなにチューニングにこだわっても、ミュートを工夫しても、
楽器をちゃんと鳴らせるタッチを身につけていなければ、まあ枝葉の問題でしかない。
太鼓をちゃんと鳴らすってのは結構ムツカシイ。
一朝一夕ではいかない。
太鼓たたいてメシを食うって、結構地道なお仕事なんすよ。
p(#^∇°)q ファイトッ!
2006年12月7日
いろんなオケとかバンドを聴いて
大太鼓・バスドラム・グランカッサ・・・・ほど、千差万別の音がしている楽器も珍しいのではないか?と思う。
楽器のサイズ、チューニング、マレット・・・・その組み合わせは順列組み合わせですごいバリエーションだ。
今、京都芸大のオケは定期演奏会に向かって猛練習中、わが大太鼓奏者K子嬢も日々試行錯誤の連続で音造り追求中だ。本番にはどんな音を聴かせてくれるのだろうか?
楽しみだ。
といっても、ぼくは本番は都合が悪くて聴けないので、ゲネまでにどこまで追い込んでくれるか楽しみにしているところだ。K子嬢独自の音をGETしてくれることを願っている。
まあ、どんな音でも殺人事件や武力革命に発展したりはしないだろうから、好みの問題なんだが、
ぼくにはぼくなりのこだわりがある。
そのこだわりの部分(チューニングに関しての)をここで紹介しよう。
その一
まず、大太鼓の音はそのオケで一番低い音であってほしい。
オケで一番低い音を出すのはバスドラだ。次がコントラバス。
コントラバスの最低音は5弦の場合、Cだ。
32ヘルツという超低音だ。
Rシュトラウスの「ツァラストラはかく語りき」って交響詩のしょっぱな、コントラバスがこの音を弾き、大太鼓はそれをロールで支える。
これがコンバスより大太鼓のほうがハイピッチだと支えにならない。
だから原則的に32ヘルツのC音よりも低いピッチにチューニングする。
もしあなたが今、修行中の身で、身近にコントラバス奏者がいるなら、ぜひ32ヘルツのC音を自分の耳で聴いてみるべきだ。それも目と鼻の先で演奏してもらって。
弦がどういう風に振動していて、どんなアタックでどんな残響でってことを自分の耳で確かめてみるべきだ。
その際、アルコとピチカートの両方を、またフォルテもピアノも聴かせてもらおう。
ついでにピアノの最低音Aの音も自分で弾いてみて確かめよう。
これは27ヘルツだ。(確か・・・・)
ちなみにパイプオルガンは16ヘルツのCが出せる。
ただし、これはもはやピッチとしては聞こえない。
どちらかというと地響きって感じだ。
というわけで、オケに出てくるバスドラ以外の楽器の最低音ってのを自分の耳と目と皮膚感覚でつかんでおくといい。
ただし、そのC音よりも低い音って、物理的なものではない。
あくまで聴感上のものだ。
バスドラムにしても、コントラバスの最低音にしても、倍音がある。
聴き手の耳にはどちらかというと倍音の方がよけいに到達する。
だから、その倍音同士を聴き比べたときにバスドラムがちゃんと下から支えて響く必要がある。
基音と倍音とをどうバランスさせてミックスするか・・・・それが大太鼓奏者のセンスと腕の見せ所だ。
その二
次にぼくが大事にしているのは打面とウラ面ヘッドのピッチ差だ。
ぼくの場合、打面をウラ面より半音から一音高くチューニングする。
ウラ面ヘッドのチューニングで大切な点は二つ。
一つは打面ヘッドの振動に呼応してよく共鳴すること、
これを実現するには打面ヘッドに近いピッチに設定する必要がある。
もう一つは打面ヘッドの振動を妨げないということ。
そのためには打面ヘッドよりほんの少し低くチューニングする必要がある。
最近、ウラ面のほうをやや高くチューニングする人が多いみたいだけど、ぼくはその音、あまり好きではない。
なぜかというと音が解放されないからだ。
ウラ面を表より高くチューニングすると、当然ウラ面のほうがヘッドの振幅が小さくなるわけで、表面ヘッドの振動をある程度ミュートする結果になる。
そうすると、当然のことながら、何らかの制動の効いた音になる。
よく言えばしまった音、はっきりした音になる。昔流行った完全密閉型スピーカーの低音のイメージに似ている。
これはこれでいいのだが・・・・・、
が、しかし、
ぼくが一番大切にしたいことの一つである「音楽の解放」ということがムツカシイことになる。
良質のバスレフ型スピーカーとか、ホーン型スピーカーの低音はすごく開放的だ。
音楽が解放されている。
音楽の解放のためには開放的な音が必要だ。
制動を効かせたければ、タッチとミュートで対応すればいいってのがぼくのやり方だ。
しかし、これはあくまで好みの問題だ。
スピーカーだって、完全密閉型派とバスレフ派とは永遠の論争を続けている。
どっちがいいって結論が出ることは多分ないだろう。
どちらの方式でも良いものは良いし、悪いものは悪い。
要はその奏者の音楽観がどこまでそのチューニングにきちんと反映されているかだ。
皆さんそれぞれ自分の耳で音を確かめながら、好みの音を見つけ出してほしい。
あなたが音楽で一番大切にしているものは何か?
それが大太鼓のチューニング一つにさえ現われ得るんだ。
しかし、(しかしが続くが・・・・)
最終的にはチューニングよりもテクニックのほうが重要だ。
つまりタッチと指先ミュートの使いこなしだ。
空いてる方の手、ふつうは左手だけど、この手の指とか手のひらでどんな風にミュートするかってのはものすごく重要だ。
もちろん、まったくミュートしない音も使う。というかそれが基本だ。
んだども、やっぱぁタッチが一番重要だ。
どれだけ地道に基礎練習を積み重ねたかが最終的には音に効いてくる。
どんなにチューニングにこだわっても、ミュートを工夫しても、
楽器をちゃんと鳴らせるタッチを身につけていなければ、まあ枝葉の問題でしかない。
太鼓をちゃんと鳴らすってのは結構ムツカシイ。
一朝一夕ではいかない。
太鼓たたいてメシを食うって、結構地道なお仕事なんすよ。
p(#^∇°)q ファイトッ!