四季折々 やぶさか真佐の吉野だより

世界遺産の地 吉野から怒れるおばちゃんの四季折々をお届けします。

おおつごもり(大晦)

2008年12月31日 22時26分16秒 | Weblog
 今日は、おおつごもり。変換すると大晦。あと少しで新年です。2008年、つたないブログにおつきあい下さり、ありがとうございました。2009年もよろしくお願いします。

 リストラ、派遣切り、ホームレス。大変な年の暮れでした。共産党のメールによると、本日、豆田、井上衆院候補や奈良市会議員たちで、労働者カンパと労働者支援炊き出しを奈良公園の近くでやったそうです。11名が来られて豚汁を食べ、労働相談されたとか。おだやかで豊かと言われている奈良県でも、労働者にとって深刻な事態がすぐそこまで来ています。

 我が吉野町も似たような出来事があり、私の力不足をいやと言うほど感じさせられました。役場業務員の63歳定年制を60歳に下げるという条例が、12月議会にかけられました。「業務員さんたちは、どうなのか」確認したら、担当課は、「納得してもらっている」とのこと。私自身も「63歳定年で人生設計していたけれど、町が財政難なので仕方ないと思う。」という声を聞いていたのです。組合がないとこんなに簡単に雇用契約が変えられるのだと痛感し、あえて反対しませんでした。でも、後から、さまざまな声が届きました。「議会で決まってから、こうなりますよという通達。事前相談はなかった」「60才を過ぎてもローンが残っているので大変」というのです。議会では、可決済み。痛恨の極みです。退職後の個々の人生設計についても、「ていねいに相談に乗るよう」役場に確認に行くのが、私の2009年の初仕事になりそうです。

 うれしいお知らせも。写真は、改修なった美吉野橋です。共産党の浦南元議員の最後の一般質問が、「美吉野橋の改修を」ということでした。伊勢湾台風の時、吉野川にかかる橋で町内で落ちなかったのは、この橋だけ。幅が狭く、欄干が低くて怖かったのですが、少し広くなり、欄干も安心感の持てるものになりました。町民の願いが政治を動かしたのです。

 黙っていては、何もよくならない。労働者が解雇撤回を求めて立ち上がり始めています。志位さんが「いすゞ」「キャノン」「トヨタ」「日本経団連」と会談し、企業が社会的責任を果たすことを求めてきました。運動が大きくなり、解雇撤回や越年資金の支給を勝ち取っています。

 新年に向けて、受け売りを一つ。ノーベル賞物理学者の益川敏英さんの言葉。「平和のために人類の英知が世界の隅々まで到達するような社会になってほしいと思う。」人類の英知、平和と平和を支える差別のない社会、助け合う事が喜びとなる社会のためにもうすぐ来る年もがんばろうっと。あと40分で「新年おめでとう」

消防団の皆さん ありがとう

2008年12月30日 09時14分56秒 | Weblog
 消防団の皆さん ありがとう
 昨夜、9時から11時まで、吉野町消防団 年末夜警の激励に、龍門、中竜門コースに参加させてもらいました。13カ所で激励の一言を述べさせてもらいました。寒空の下でずっと待って下さっていた皆さん、ありがとうございます。「安心・安全の町づくり」言葉で言うのは簡単だけれど、実際に夜中の1時まで巡回して下さっている姿に感謝あるのみ。

 私の住む飯貝でも、拍子木の音が聞こえます。「ああ、回ってくれている」と思うと、温かい室内でいるのが申し訳ない気持ちになります。そして、「マッチ1本火事のもと。火の用心 かちかち」と回った子どもの頃の懐かしい思い出がよみがえります。午後9時には、布団に入っていた時代に公然と夜遅くまで起きていられたわくわく感。近所のみんなs、暗がりの中をおどおどしながら・・・。でも、ハプニングを期待している好奇心旺盛な自分がいました。

 消防団員になってもらうのが困難な時代に、吉野町は、今年、メンバーが増えていました。自主防災組織の重要性が叫ばれる中で、核になって下さる若い世代がこんなにおられることに元気をもらって、温かい気持ちに満たされながら、家に帰りました。

 小学生の作文みたいで、存在意義を伝えられないもどかしさを感じながら・・。

雇用対策と企業努力

2008年12月29日 07時37分56秒 | Weblog
 今朝の新聞「赤旗」の1面に、サンデープロジェクトで共産党先の小池議員が「雇用対策一歩でも前進を」主張したことが出ていました。臨時国会で与野党の雇用対策法案が合意されなかった問題を司会の田原総一朗氏が取り上げたものです。
 
 共産党は、一貫して「与党対策と野党法案は、重なり合う部分がある。現実に職を失い、住まいを失うという時に政治がやるべき事は、一歩でも前進させること」と主張してきました。ホームレスの人たちの炊き出しに1000人も行列ができる異常な現実。この寒空に段ボールにくるまって路上で眠る姿に心が痛い。吉野には、廃校舎がある。政治が機能すれば、住まいだけでも提供できるのに・・。

 早急な対策を年内にさせたい。多くの人たちの善意が駆け巡ります。12月初旬に「赤旗」が「炊き出しのお米が足りない」と報じたら、たくさんのお米とカンパが送られてきた。他人の傷みを自分の傷みとする心が残っていてほっとします。許せないのは、派遣切り。構造改革、規制緩和の名で労働者を機械の部品として使う。要らなくなったら、クビ。「フリーターでライフスタイルに合わせた働き方を」という汚い宣伝で、ここ18年簡、就職氷河期を作り出し、若者たちから働く意欲や職場を奪い続けてきた政治や大企業。大企業は、内部留保という緊急時のためのお金をぐっすり持っている。それを放出すれば、派遣切りをしなくても不況を乗り越えることができる。企業の経営モラルの崩壊に「はらわたが煮えくりかえる」

 写真の緑の電球は、昭和20年代の後半に我が家に持ち込まれたものです。叔父が当時の「松下電機」に勤めていて、給料のでない時期が続いていた。どういう経過があったのか子どもの私にはわかりませんが、赤や青の電球がたくさん我が家にやってきました。「給料が払えないけれど必ず、何とかしよう。社員一丸、頑張ろう」と給料代わりに配られた電球です。勝手口の電球が切れた時、使うこともなく木箱の中で放ったらかしだったこの電球を思い出し、つけてみたら「点いた」

 松下幸之助という社長の心意気に感じ、社員は、厳しい時代を会社と共にがんばったとか。松下社員ファミリーの結束が堅かった時代の話です。ちなみにいとこも世界のナショナルで勤め、40才の頃には、年収が1000万円を超えていました。二十数年前の話です。企業家のモラル崩壊の時代に松下氏が生きていたらなんというだろう?

 大企業は、社会的責任を果たせ。志位委員長が「いすゞ」や「トヨタ」と会談。「いすゞ」自動車は、「期間社員550人の中途解雇撤回」。まだまだ闘いが必要ですが、労働者が団結し声を上げないと政治は変わらない。「万国の労働者よ団結せよ」です。「トヨタ」では、
①「非正規切りは、人道上許されない」
②契約中途の解雇は法令違反
③トヨタは、株主配当を増やし続け、内部留保を2倍に増やしている。大量解雇に合理的理由がない
④内需を拡大すべき時に大量解雇の先頭に立てば、、日本経済を悪循環に突き落とす
「豊田章一郎名誉会長が、終戦後の経営危機の中で雇用を維持しようとかまぼこ修行も行なった。社会的責任を自覚して、大量解雇を中止撤回する事を求める」
志位さんの話に「そうだ。大企業よ、しっかりせよ」と大声をかけたくなりました。

遠藤 実さんと 旅ゆくしんらん(親鸞)

2008年12月21日 22時10分01秒 | Weblog
 月に一度、上市のお寺で「梵音の集い」というコーラスの集いが開かれます。浄土真宗の歌の数々や季節の歌、懐かしい歌など、老若女性が集まって、阿弥陀様の前で心いっぱい歌わせていただくのです。わたしは「旅ゆくしんらん」が大好きで、いつも胸がいっぱい、涙を浮かべながら歌うのです。同級生も二人来ていて、それぞれ、涙ぐむ歌があると言っていました。指導は、上西先生。下市中学校のコーラスを全国に知らしめた名物先生です。歌の指導有り、楽しいお話有りで90分があっと今に過ぎてしまいます。

 今日は、今年最後の締めくくり。20曲近く歌いました。ほめられても皮肉られても笑い声。先生の人柄のなせる技です。
 十数年前、下市中学校で「茶髪の子も保健室登校の子も音楽の時間だけは生き生きと音楽室に出かける。人が変わったようにすばらしい歌声が流れている」と聞き、「ぜひ、研修させてほしい」とおしかけたことがあります。がやがやとやかましい音楽室に上西先生が現れると、温かいものが流れて空気が一つになります。そしていきなりピアノ伴奏。子どもたちの感動的な三部合唱が当たり前のように流れます。これが選ばれた子たちでなく、普通の中学3年の音楽の時間だと聞き、驚きと感動で固まっていました。指導力のすごさに圧倒され、出かけたみんなで「プロの教師の力量とは・・」深く考えさせられました。

 先生の本日のお話。「作詞家の遠藤実さんも亡くなられましたね。下市に講演に来て下さったことがあります。楽しみに話を聞きに行ったけれど、驚いたことに広い会場にたった三十人くらいしかいない。それでも先生は、いやな顔一つせず、満員の聴衆に語りかけるごとく熱く語られた。日本を代表するヒットメーカーの大物の先生が、たった三十人を前にご自分の苦労の人生を語られたのです」

 たった三十人を前に満員の聴衆に話しかけるごとく・・・なんと重い言葉。なんと深い人生を生きておられたのかとうるうるしました。

長い旅路の果てでした
南無阿弥陀仏と目を閉じた
しんらん様でありました
夕陽のような人でした

「旅ゆくしんらん」の歌詞と重なって、感情が音を立てて流れ出しそうな時間でした。

学校給食に地元野菜を

2008年12月20日 00時17分26秒 | Weblog
 12月定例議会の一般質問で、農業振興施策について質問しました。その中の一つに「学校給食に地元野菜を使えるシステム作りを」質問しました。町長答弁は、「今、提案段階であり可能性を探ってみたい」というものでした。

 今、白菜や大根、青梗菜に水菜など葉物がとてもおいしいです。一昨日も先生の畑で直接野菜をいただきました。食べきれないほどたくさんです。ありがたいとつくづく思いました。労働の結晶を苦労せずしていただくなんてもったいない。アゲと一緒に炊くと柔らかくておいしい。

 小規模農地で作られる野菜が商品となり換金できれば、働く場所の確保になります。また、地産地消につながりフードマイレージを下げられる。消費者にとっても偽装なしの純国産。安心して食べられる。吉野町に農業の復権を。

 鳥獣被害を守る施策や販売ルート作りなど、農業を応援することで耕作放棄地をなくし、景観をよくすることができる。

 甘くておいしい白菜を食べながら、過疎化を止めることができるような取り組みをしたいとつくづく思いました。

吉野三町村老人福祉施設特別委員会

2008年12月18日 21時55分16秒 | Weblog
 吉野三町村広域組合の議員にさせていただいてもうすぐ2年。いろいろな勉強もしました。黒い噂が絶えないクリーンセンターや非民主的な人間関係がささやかれる広域消防組合、赤字が続く老人福祉施設等、課題の多い一部事務組合。この2年、全力疾走。ラッキーなことに10名の議員が立場は違うけれど、それぞれまじめに真剣に考えてきました。結果は、100%うまくいったとはいえないのですが・・。

 消防署は、100条委員会で(途中から私が委員長・・女が委員長という陰口も聞こえましたが)徹底して、公務員にあるまじき「消防服を個人的なスキー遊びに使っている」「消防署の備品の私有化」「しごきまがいの訓練の強要」「議会に盗聴器を置く」等々の信じられない常軌を逸した事態を正してきました。消防長を始め、良心的な職員の力と議員10名のがんばりで民主的な職場に大きく前進したと自負しています。   

 さくら苑特別委員会は、「指定管理者制度」を導入してほしいという管理者からの提案に対して「待った」をかけました。3町村の大切な宝物、お年寄りの終の棲家を公務員の皆さんの力でよりよいものにできないか、財政的にも赤字幅を減らして、公立でもここまでやれるという取り組みをしてほしい。職員の方も「指定管理になるにしろこのままにしろ、何とか職員の全力で取り組んでからにしたい」とおっしゃっていました。今日、提言書を提出し、指定管理の議案は継続審議と言うことで、今後1年間の取り組み改善を応援し、チェックしていくことになりました。

 議会が真剣に取り組むことで、関わって下さる職員さんたちのやる気や生き甲斐に少しでも貢献できたら・・。忙しかったけれど、貴重な体験をさせていただきました。

生涯現役 コーラスの力

2008年12月17日 09時37分26秒 | Weblog
 12月6日、吉野町コーラスの集いが中央公民館で開かれました。町内のこすもす、リエール、深山、杉の子のコーラスグループが出演されます。いつも見せていただいてうるうる。理由は、熱い思いが詰まっていること、非日常の世界できらきらと美しいこと、94才の恩師も歌っておられて生涯現役、コーラスの力に引き込まれてしまうのです。

 「こすもす」の練習にもお邪魔しました。アルトに勝手に入らせてもらったのですが、むつかしい。でも、何ともいえないいい気持ち。「こすもすコーラス」は、ご高齢の方が多いのですが、歌詞を覚え、心を一つにして指揮の池田先生に集中しておられる。さまざまな人生を過ごされてきた方たちの深入りしない人間関係。ほどよい距離感と支え合い。わたしもこんな老後を過ごせたらすてきだな。

 「リエール」の質の高さ、「深山」のおしゃれでいながら家族的な雰囲気、とても魅力的です。そして、手話サークル「杉の子」。小学生から50代まで、温かい雰囲気で体全体で言語表現する流れるような表現力にほれぼれうっとり。至福の時間を過ごさせてもらいました。来年も全員の皆様が、必ず必ず全員参加して下さることを祈りつつ・・。

吉野に熊 現れる

2008年12月10日 08時17分28秒 | Weblog
 「鈴の音と登校の子らの笑い声 熊在る里の霧薄れゆく」

 昨日、議会に行くなり「飯貝に熊が出た」とのこと。
 数年前には、吉野高校生がすぐ目の前の山を歩く熊を教室から目撃。最終的には、六田の養鶏場で寝ているところをおまわりさんが逮捕。スプレーをかけられて、学習後放獣。発信器もつけられたとか。「所在がわからんのは、電池切れ?」等々。大騒ぎ。

 「下校時、子どもたちは大丈夫ですか?」と教員委員会にたずねていたけれど、今朝の様子にほっとし、対応の早さに安堵しました。登下校時、鈴の音が響く吉野の初冬もすばらしいものです。いつもメールで励ましてくれるNさん。金色の落ち葉いっぱいの吉野の里をお訪ね下さい。

12月吉野町議会速報

2008年12月05日 00時24分17秒 | Weblog
 今日から、吉野町議会が始まりました。
 私の一般質問に対する町長答弁、
1.吉野町の農業振興施策について
・JAとの細かい取り組みは対応しにくいが、農業振興の仕組み作りは、課題である。
・学校給食に地元野菜をというのは、提案段階で、可能性を探ってみたい。
・鳥獣被害対策については、懲りずに要望すれば、国の施策ももっと使いやすいものになると考えている。
・アライグマが、有害外来生物とされたので、平成21年度に30基の檻を考えている。国の有利な事業については、見つけて、取り組んでいきたい。
2.学童保育は、平成22年には、是非、開設したいと考えている。場所の確保で耐震性が問題となり、コミュニティバス利用で、2小学校の中間地点も考えている。
3.簡易水道問題は、(平成29年度末に補助事業打ち切りという)厚労省通達取り消しを関係市町村と共に、働きかけたい。しかし、見通しは、全くない。以上。

 国の締め付けが強い中で、町民の暮らしを守るのは、なかなか大変です。でも、大切なことばかりですので、引き続き、頑張りたいと思います。

 なぜなら、写真の簡水の柳地区は、雨が降ると飲料水が濁水になり、安心できる飲み水確保が難しい。吉野山簡水は、平浄水場も清滝池も水量確保が困難で上水に頼らざるを得ないので、1軒あたり、40万円の加入金を準備しないといけないのです。一人暮らしのお年寄りには、大変な金額。国が勝手に簡水と上水の統合を打ち出し、二つの簡水整備に20億円近いお金がかかる財政基盤の弱い吉野町は、アップアップしているのが現実です。

 国民のインフラ整備ぐらい国の責任でしてほしい、それが政治の役割ではないかと怒り心頭。大もうけしている大企業にそれなりの税金を払ってもらえば、財源はたっぷりあります。大企業と国民の共存共栄の道を探るのが、今の国民的な課題だと思うのですが・・。

裁判員制度とえん罪

2008年12月03日 01時11分15秒 | Weblog
 今夜の月と木星金星は、昨夜と逆になっていました。昨夜は、月が下で、にこにこスマイルそのものでしたが・・・。

 先日、テレビで裁判員制度とえん罪について放映されていました。布川事件が取り上げられたところから見たのですが・・。日本には、松川事件、白鳥事件、免田、財田川、松山、島田事件など、えん罪を晴らすのに何十年もかかった事件があります。死刑確定囚が無罪になっています。裁判員になったら、えん罪に荷担することが怖い。TV報道では、現在の裁判官制度では、システム的にえん罪が起きる可能性があることなどが話題になっていました。だから、法知識の乏しい一般市民の参加が不可欠だとか。素朴な疑問など、第三者の目線で見ることでえん罪防止になるのではという指摘がありました。また、事情聴取などの可視かは、必ずしも、真実に届くものではなく、できあがったストーリーを認めてしまった被疑者が肯定する場面もあり、えん罪に拍車をかける可能性もあるとか。

 えん罪事件で私たちの身近でおきたのは、名張毒葡萄酒事件。もう、47年も前の忘れられた事件。私は、江川紹子さんの講演会でこの事件を詳しく知り、「知ったものの責任」ということで何とか力になりたいと思い続けてきました。小さな村の懇親会で出された毒入り葡萄酒。女性5人が死亡。犯人は、村の男性で「三角関係の清算」をはかったとされた。男性には、死刑判決。しかし、物証も疑問だらけ。証人の証言も矛盾だらけ、物証でさえ、裁判官が「疑い」を認めるもので明らかにえん罪。弁護団の奮闘により、2005年、再審開始決定。「よかった。無実の人が死刑にならなくて」

 でも、なぜ、村人は、証言をころころと変えたのか。なぜ、男性は、やっていないことを自白したのか、疑問がいっぱい。そして、江川紹子さんの「名張毒葡萄酒殺人事件。六人目の犠牲者」(新風舎文庫)を読んで、納得した。村人たちも男性が無実かもしれないと思いつつ、でも、男性が犯人になってくれたら、一件落着して村に平和が訪れる・・と考えたのだろう。真犯人が隠されてしまったのである。

 男性は、47年間、「いつ、死刑執行されるのか」と、不安でびくびくしながら人生の大半を拘置所で過ごしてきた。えん罪の怖さそのもの。再審開始が決定されても検察システムは、認めようとしない。だから、一般市民の参加がいるのかもしれない。
 
 この事件は、男性が元気でいてくれる今、何とか拘置所から出してやりたいと願う全国の人々に裁判の根本問題を突きつけている。解説で鳥越俊太郎氏が「この本は、後世、法に携わる人にとって最も重要な教科書となりそうである」と書いている。裁判員となられた皆さんに、絶対読んでもらいたい一冊です。