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ロック魂を手描きで表現するyabanjin-soulのたわごと・ひとりごと

映画「ヘイトフル・エイト」

2020年02月24日 | 映画

ヘイトフル・エイト 本予告

今週末、子どもが筑波から帰ってきて「この映画が面白かったからお薦めだよ」というのでレンタルして一緒に観た。

彼は今、大学1年生で提出課題をこなすのに忙しくしてる合間を縫っていろいろと映画を見たりしてるらしい。

まずは配給会社のレビューをどうぞ


本年度アカデミー賞3部門ノミネート!
タランティーノ最高傑作は【密室】ミステリー!
クセもの8人、全員ウソつき。生き残るのは誰だ!

*  *  *

うん、まずはこの売り文句がくせ者でさ。

この売り文句のせいで見る気がしなかったんだよね。

メチャクチャつまんなそうなんだもん。

タランティーノの作品すべて網羅したいと思ってる人なら「新しいジャンルに挑戦した作品を観てみたい」と思うかもしれないけど、

「密室殺人ミステリー」だの「全員悪者」なんていう今や使い古されてるようなジャンルはさ、

結局観客を騙しにかかるようなトリックを使うだけになってしまってるし、

「全員悪者」で山小屋で誰が生き残るのか?なんていうのも「レザボアドッグス」でもう手をつけちゃってるじゃんとも思ったし、

まあ、とにかく、

タランティーノの映画は余裕で3時間を超える映画だから、

つまらないとホントにぐったり来ちゃうんだよね。

そういうのを「キルビル」で食らってからは相当用心するようになってしまった(笑)

 

*  *  *

んで、この映画。

最初に正直な感想を言うと、

「ホントにめっちゃ面白かった!もしかしたらタランティーノ作品の中で一番好きかも」というもの。

ハッキリ言って、この映画は「密室ミステリー」でも「全員悪者、誰が生き残るか」でもなかった。

タイトルに「ヘイトフル」がついてるけど、

これは「偏見」や「差別」を意味していて、

そういうクソみたいな「偏見や差別」に対して「こんなクソみたいなことはもういい加減やめて新しく一歩踏み出そうよ」というタランティーノのメッセージが込められた映画だった。

少なくともそう感じた。

だからエンディングで思わず涙がこぼれそうになったよ。(実際には踏みとどまったけど(笑)

久々に「タランティーノはやっぱり才能があるわ~」と思わせられた映画だったね。

 

*  *  *

 

グロいシーンや血しぶきが飛び散るシーンなんかは、まあいつものタランティーノ作品のお約束でもあるし、

そうじゃなきゃ彼も映画を撮らないだろうからあれはあれでアリだと思うし、

汚い言葉のオンパレードもこれはこれでありだと思った。

なんでそう思うのかも今回の映画でよくわかったんだけど、

出てくるキャラがホントにそれぞれ欠点だらけでどうしようもない連中なんだけど、

なんか心の底からは憎めないキャラなんだよね。

どちらかというと魅力的に感じてしまう。

なんかどこかにいるような気がするバカもの達という感じなんだよね。

だから長い映画でも結構すんなりと飽きずに見てられる。

今回も3時間なんてあっという間だったな。

*  *  *

密室ミステリーを期待しちゃうとたぶん「なにこれ?」となると思うし、

「全員悪者」を期待すると「んなことないじゃん」と思うと思う。

こういう中身とちょっとずれてる売り文句はやめた方がいいと思うんだけどね。

映画の中のセリフに印象的なものがあった。

「犯罪者に対して『正義』をふるっていいのは法で裁くことだけ。私的な復讐は本当の正義じゃない。それは偏見に満ちた単なる復習に過ぎない。吊るすか撃ち殺すかして殺すのは変わりがないが、『正義の行使』と言えるのは「法に則って裁くことだけ」なんだ」

つまり、誰かの偏見による裁きじゃなく「法律に則った客観的な裁き」こそが正義なんだという「法治国家」がいいと言ってるんだよね。

そういうところにも共感を覚えたね。

危うい社会情勢も見据えてそういうメッセージが込められた映画なんだけど、

そこがタランティーノの凄いところなんだけど全く説教臭くない(笑)。

タランティーノの映画はそういうところが魅力だったりするからね。

タランティーノがちょっとでも気になる人は是非とも一度は見てほしい映画。

彼自身も「自分の映画の中で最高傑作だ」と言ってるしね。

是非、お勧めします。


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