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神はこの世にくだりたまえり。ああ我も行きて彼に仕えん。彼は王宮においてあらず。彼はまた金冠を戴かず。彼は今なお襤褸(らんる)につつまれてあり。
億万の貧児はみな彼なり。余は余の黄金、乳香、没薬(もつやく)を彼に捧げん。痛き棘(いばら)の冠をかむり、貴族の強圧に泣く無辜(むこ)数千万の民はすべて彼なり。余は余の救い主にならいて、余の生命を彼らのために捨てん。
わが主イエスは天の宝座(みくら)を去って我らの間にくだりたまえり。彼の価値なき僕の一人なる余も、余の幸福なるホームを去って世の憐れなるものを救わん。
ああ余は何をもって神の降臨の佳節を祝せんか。歌をもってか、宝をもってか、いないな新しき決心をもってなり。彼の心をもって世の難事に臨むの決心をもってなり。彼に代わってこの罪の世と戦うの決心をもってなり。ナザレのイエスよ、今年今日、ふたたび余の心にくだりて、余のこの決心を堅くせよ。 (内村鑑三)
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