WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

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「ボーディング・ゲート」の記者会見

2007年05月19日 | 現地レポート

オリヴィエ・アサヤスの新作「ボーディング・ゲート」の記者会見に行ってきましたよ!

『カンヌ映画祭』にはいくつかのカテゴリーがあって、パルムドールを競うコンペティション部門の他に、『ある視点』部門、短編映画コンペティション部門、コンペ対象外『特別招待作品』部門などがあります。
ちなみに、あの、お馴染みのレッドカーペットを歩いて会場に入るきらびやかな公式上映は、コンペ作品と、特別招待作品、ビッグスターが出演している『ある視点』部門の作品のみなのです。

その他、同じ時期にカンヌでは周辺行事として、今年、松本人志監督がノミネートされた『監督週間』や、ガエル・ガルシア・ベルナルが2007年大使を務める『批評家週間』などの別枠のコンペティションも開催されていますが、こちらは本家の『カンヌ映画祭』とは違う主催者によって運営されている規模の小さな行事です。あのレッドカーペットを歩くといった華々しいものではないけれども、それぞれが理念を持って、作家性、芸術性、社会性等々のある優れた作品をノミネートしているので、若手の映画作家にとっては、世界的に認められた映画界に入る第一歩という、まさに本家『カンヌ映画祭コンペティション』への登竜門なのです。

実際に、多くのビッグネームになった映画監督や役者たちが、『監督週間』や『批評家週間』で発掘されているのですよ!

さて、今日は、本家カンヌ映画祭の特別招待作品としてカンヌ入りした、フランス人監督オリヴィエ・アサヤスの新作「ボーディング・ゲート」の記者会見風景をお伝えします!


「ボーディング・ゲート」

出席
Olivier Assayas オリヴィエ・アサヤス
Asia Argento アーシア・アルジェント
Kelly Lin ケリー・リン
Carl NG カール・ン

質問:
香港での撮影部分もありますが、なぜ香港で撮りたいとおもったのですか?
オリビエ・アサイヤス監督:
何度も通う機会があって、僕自身半分くらい香港市民のような感覚もあるので、必ずここで映画を撮りたいと思っていたんだ。ただ、よく欧米人が香港で撮影をするときに、欧米でのやり方を押し付けるように、欧米から撮影クルーをゴッソリと連れて行って撮るようなことは絶対したくなかった。
この街で撮影するのなら、この街のやり方で、この街のスタッフと撮影したいと思ってたので、香港でのパーツは本当に少人数で中国人スタッフ7~8人で、撮影してたんだ。
役者の選択については、アンダーグラウンドなストーリー柄、あまり欧米で顔が知られてる役者は嫌だった。ケリー・リンはジョニー・トーの作品で知っていたが、まだ欧米で知れ渡ってないので適役だったよ。カール・ンもそう。

オリヴィエ・アサヤス監督

質問:
(アーシア・アルジェントに)香港での撮影で大変だったのは?
アーシア・アルジェント:
あんな暑い場所に身を置いたのは初めてだったわ!それから、香港のスタッフは本当に凄く働く。イタリアだと、昼時間は必ずしっかり食事するし、撮影終了時間は決まった時間に必ず終わらせて、さっさと皆家族のとこへ帰っちゃうし。でも香港のスタッフたちは、撮影中は皆映画を中心に生きるのよ。皆が集中して作品を作ってる。そういうシステムは私にとってとても新しいことだったわ。

質問:
あなたの演じたヒロインは宿命の女ですが、どういう部分が好き?
アーシア・アルジェント:
とてもミステリアスな部分。観客は彼女のしていることが、なかなか理解できないし、マニプレートしているのか、マニプレートされてるのか、どちらなのかわからなくなる。でも彼女がとても、もろい女だって事はわかるわね。それでも、何かを決めていて、そしてそれを実行する芯の強さとか。

質問:
今回沢山の作品でカンヌにエントリーされてますね?
アーシア・アルジェント:
昨年撮影したほぼ全部の作品がカンヌ映画祭に招待されたのは、ものすごく嬉しいわ。でも、地に足をつけていたいと思ってるのよ。

左からアーシア・アルジェント、カール・ン

質問:
最近は全然イタリア映画に出演しないで、海外の映画で娼婦や殺し屋とかの役をこなしてるのはなぜ?
アーシア・アルジェント:
多くのイタリア女優がやってるような、ブルジョワでヒステリーな女を演じることに興味がないからよ。娼婦や中毒女のほうが私にあってるわ。

質問:
英語で演じるのは大変?
ケリー・リン:
家族とはいつも会話は英語なのだけど、やっぱりそれとこれとは違うわね。でも、オリヴィエはとっても綿密に説明してくれるし、特に、香港での映画現場では台本がないまま撮影する事がほとんどだから、台本を貰ったとき、うわー、台本だわーって感動しちゃったわ!アジアにも良く助けられたわ。彼女は私が仕事した中で一番素晴らしい女優よ!

質問に応じるケリー・リン

カール・ン:
香港の映画システムは、監督の権力が絶大で、監督さえ分かってればいい、というやり方になりがちなんだ。だから、台本なしに、現場で指示されるがままに演じないといけない事も頻繁。
演技に対して、すごく典型的なものを要求されて、自由の余地があまりない。別にどちらのやり方がいいかという事ではないけど、オリヴィエのように自由を与えてくれる監督との仕事はとても楽しいよ。
それから、僕がオリヴィエを尊敬するのは、多くの欧米の監督が東洋を描くとき、カンフーしてるとか、米ばっかカッ食らってるとか、英語が話せないとか、そういうのが多いけど、オリヴィエはそういうことをしないんだ。
僕は今まで何度も欧米の映画のキャスティングに呼ばれ、カンフーはできるか?と聞かれ挫折したか!オリヴィエの作品にはカンフーやってる中国人が描かれてなくて嬉しいよ。

オリヴィエ・アサヤス監督:
そう言われると、今度カンフーものの映画をやりたくなるなあ!

記者にサインをするオリヴィエ監督



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