「殯(もがり)の森」の上映会が行われたメーン会場
コンペティション部門に出品された河瀬直美監督「殯(もがり)の森」の公式上映が行われました。
いざ、レッドカーペットに出陣!
河瀬監督とキャスト
記者の質問に答える河瀬監督
公式上映が終了すると約5分間のスタンディングオベーションに包まれました。
スタンディングオベーションに応える河瀬監督とキャスト
26日
カンヌ映画祭コンペティション部門最後の作品「殯(もがり)の森」の記者会見が行われました。
「殯(もがり)の森」2007年6月より全国順次ロードショー
会見の出席者は...
河瀬直美監督
尾野真千子
うだしげき
渡辺真起子
質問:
認知症の人物を主人公においたことについて。
河瀬直美監督:
認知症の方々を可哀相とか下に見ている人が多い。でも彼等は認知できないだけで、感情や魂がないのではない。人間の感情が大切だと描く事で人々に訴えたかった。
それから。もうひとつこの作品の中で言いたかったのは、渡辺真起子さんが演じた主任が「こうしなきゃあかんことはないから。」と言うのですが、この言葉を映画を通して伝えたかった。私たちは、こうしなきゃ、とかってことに縛られて、傷ついたり、苦しくなったりする。私が私らしくいれば、こうしなきゃいけないってことはない、と伝えたかった。
河瀬直美監督
質問:
今回の作品はフランス映画会社セルロイド・ドリームズが共同製作していますが、その経緯について。
河瀬直美監督:
10年前「萌の朱雀」でカメラドールを受賞して以来、私の作品は沢山のフランスの方に見てもらっています。作り終えた作品を売る、というやり方でなく、一緒に作った方が世界に広がるのではと思い、脚本を持って単身フランスへ渡りました。セルロイド・ドリームズのプロデューサーがその場で脚本を読みこう言いました。直美、半分日本で資金を集めなさい。残りの半分はフランスで集めるからと。
質問:
役作りについて。
尾野真千子:
私の役は子供を亡くして、離婚して、おじいさんと出会ってという役ですが、役作りは奈良で、小さな部屋にお風呂もテレビもなく、外からの情報が入ってこないところに住んで、監督ともあまり連絡がとれない環境で2週間くらい住みました。
(尾野さんは緊張されて、河瀬さんが耳元で囁きながら助けてのお返事でした。後で聞いた話によると、緊張して頭の中が真っ白になってしまってたそうです!)
尾野真千子
うだしげき:
生きるという事は死ぬ事に近づいている事と思っています。私は今60歳で映画の中のしげきは70歳。演じてるとき10年後の自分を考えていました。介護施設に3ヶ月間寝食共にして、一緒に感じて役作りをしました。
うだしげき
渡辺真起子:
実際の看護士の方々の助言を頂いたりして役作りをしながら、1週間一緒に過ごしました。人間はいつか死んで行くという現実を目の前に、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごして、その中で現実を受け入れ、乗り越えるのが一番大変でしたね。
渡辺真起子
カンヌ映画祭では数少ない常連の女性監督として、河瀬さんは、
「カンヌ映画祭100年周年に77歳でこのポスターのピラミッドの上でジャンプしていたいと思います!」と、とても意欲的でした。
26日
エミール・クストリッツァ監督コンペ作品「Promise Me This」の記者会見。
「Promise Me This」
会見の出席者は...
キャスト:
ミキ・マノイロヴィッチ(Miki Manojlovic)
マリアン・ペトロヴィッチ(Marija Petronijevic)
Uros Milovanovic
Ljiljana Blagojevic
Aleksandar Bercek
スタッフ:
エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica)監督
Olivier Delbosc
Marc Missonnier
1985年「パパは出張中」にてパルムドールを獲得し、1995年「アンダーグラウンド」に2度目のパルムドール獲得。その他にも何度もカンヌ映画祭コンペにノミネートされるクストリッツァ監督ですが、「ジル・ジャコブにカンヌに家を借りてくれって言おうかと思ってるよ。」と余裕発言。
作品の発端について。
エミール・クストリッツァ監督:
「街へ行きなさい。そして何かを果たしてから田舎に戻ってらっしゃい」という内容の日本の童話を思い出したんだ。その考えが気に入っててね。それから今回はいつもよりシンプルなものを作りたかった。でも、結果的には予想以上複雑になったけど!この作品は今までの僕のキャリアの中で初めて予算内で、しかも延期なしに撮影を終えたんだ。これは新鮮だったね。まあ、たぶん、僕の奥さんがプロデュースしてるから予算を初めて気にしたってのもあるけどね!
エミール・クストリッツァ監督
「パパは出張中」「アンダーグランド」でもお馴染みのミキ・マノイロヴィッチ:
エミール・クストリッツァはある時代の映画史を刻んだ男だ。人生の深い部分を真っ正面から映画を通して描いているから重要な存在なんだ。
ミキ・マノイロヴィッチ
26日「殯(もがり)の森」の公式上映前に作品の協賛をしたアニエスbがカンヌのショップにてちょっとしたレセプションを開きました。
アニエスbは映画支援に力を入れていることでも有名ですが、今回も「殯(もがり)の森」のプレス資料を読み、すぐに気に入って支援を決定したとアニエスは語ってました。
プレス資料を見て渡辺真起子さんが大のお気に入りだったようで、「あなた本当に素敵!美しいわ!」と絶賛。渡辺真起子とアニエスのツーショット写真を撮ったら、その後「ねえ、この写真あとで送ってね。」とアニエスに言われました!
渡辺真起子さん
渡辺真起子さんとアニエス
河瀬監督は、皆より少し遅れて到着。それもそのはず。60周年なのだからと、華やかな着物姿で登場して大注目!ちなみに、髪型はクリスチャン・ディオールのヘアメイクさんが手掛けたそう。
河瀬監督
奈良の日本酒の樽割りをしてお祝いしました。
河瀬監督とキャストの皆様
レセプションでは、うだしげきさんが女性記者達の人気者!しげきさんは普段は古書店を営むおじさま。
「男優賞という話しも浮上してますが」との声に「え~、そんな話あるの?」と満面の笑顔が可愛かったです。
うだしげきさん
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「殯(もがり)の森」
監督:河瀬直美
キャスト:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子
25日 コンペ作品「We Own the Night」の記者会見に行って来ました!
「We Own the Night」
会見の出席者は...
キャスト:
ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)
ロバート・デュヴァル(Robert Duvall)
エヴァ・メンデス(Eva Mendes)
スタッフ:
ジェームズ・グレイ(James Gray)監督
マーク・バタン(Mark Butan)
ニック・ウェクスラー(Nick Wechsler)
ハリウッド大スターが3人も揃っているのに、大混雑にならなかった記者会見。それもそう、実は一昨日のプレス試写では上映後かなり強烈にブーイングされてしまった「We Own the Night」。
これもコンペ作品にノミネートされると受ける試練です。表と出るか、裏と出るか。
コンペ対象外の招待作品とかだと、少々駄作でもブーイングにもならないのですが、コンペ作品となると、プレス試写は非常に厳しいのです。だからこそ、コンペに出品されると、監督始め製作スタッフはストレスを抱える事になるのです。
(レッドカーペット歩いて、華やかな気分を味わってるだけがカンヌ映画祭ではありません!想像してみて下さい。自分が全力尽くした作品がカンヌ映画祭にノミネートされ、幸せ気分になるのもつかの間で、プレス試写でブーイングを浴びるなんて。昨年ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」もプレス試写でブーイングの嵐にあい、何も知らされていなかったソフィア。記者会見の最中に記者に教えられ、「ブーイングされたとは知らなかったわ。」と顔が引きつっていました。その表情は今でも忘れられない程痛々しかった。)
さて、「We Own the Night」の記者会見はどんな具合に。
ブーイング事件のことを知らされていたのか、逆に冗談攻めで始まった会見。
とくにホアキン・フェニックスは、かなりのハイテンションモード。落ち着かないったら。会見の途中でコソコソと煙草は吸い出すし、トイレ(?)に出て行ってしまうし...
ホアキン・フェニックスの起用についての質問に対し自ら「他の役者に断られたから僕のとこに話がきたに違いない!う~酷いなあ!」とひとり芝居してました。
エヴァ・メンデス:
ホアキンはいつもこんな感じよ。常に皆が彼の相手をしてあげないといけないの。まるで子犬みたいでしょう!
エヴァ・メンデス
相変わらすセクシーなエヴァにこんな質問も!「一番気に入ったセックスシーンは?」
エヴァ・メンデス:
ほんとに緊張したわよ!はじめてのセックスシーンだもの。ジェームズは利巧で、このシーンを撮影スケジュールの最後に回してくれたの。だから私もスタッフに慣れた時だったし。しかも撮影前にウォッカオレンジを出されてね。仕事してる時は絶対飲まない主義なんだけど、さすがに飲んでしまったわ!
カンヌ映画祭コンペ作品に選ばれて、という質問に対し。
エヴァ・メンデス:
え?これってコンペ作品だったの?(と、とぼけジョークの後)私にとって今までの中で一番素晴らしい作品だし、この作品でカンヌに来られたのは光栄なこと。
ロバート・デュヴァル:
ここに来れて誇らしく思ってる。是非とも勝って帰りたいね。
ホアキン・フェニックス:
ああ、悪くないよね。
ホアキン・フェニックス
ジェームズ・グレイ:
正直な話、2000年に「裏切り者」でカンヌに来たとき、賞を貰えるかもって期待しすぎて、何もなくてがっかりしてホテルから石を拾って帰って来たんだ。だから、今回の心境は、映画を作ることこそが喜びなんだと、そして、またカンヌ映画祭にノミネートされて、それだけで光栄なんだと。
自ら慰めモードに入っているという事の伺われる会見でした。
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WOWOWにて単独インタビュー放送予定!
「VIVA カンヌ映画祭 2007」
放送は、6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!
25日
カンヌのシュヴァリエ山にある博物館、カストル博物館にて、カンヌの市長が審査委員とジャーナリストを招き、ランチ会を開催しました。
旧市街の高台にある素敵な広場にて、プロバンス料理が振る舞われました。
高台からカンヌを望む景色
入口で食前酒を頂き、それを手に民族衣装に身を包んだ女性と音楽を奏でる男性の輪をくぐると、かわいらしいテーブルセットが待っていました。
年配のおじさんが奏でる素敵な演奏
南仏らしい陽気の中、芸術的な雰囲気で素晴らしい環境でした
テーブルにはひまわりがあしらわれ、フランスパンや野菜ディップ、白ワインと赤い色したリキュールなど所狭しと並べられていました。(メインやデザート、食後のコーヒーなどはバイキング方式)
食事開始は13時の予定だったのですが、誰かが合図を出す訳でもなく、到着した人が食べたいときに食べ始めるというかなりゆる~いランチ会でした。市長が挨拶をされる場面もありましたが、全くお固い感じではありません。
審査委員たちは予定より1時間遅い14時頃に登場し、カメラマンに写真を撮られながらも、彼らは和やかに食事を楽しんでいました。その後、何か始まると思いきや…アレレ?みなさん早々に帰られてしまいました。ランチ会と言っても、本当にただ食事しただけだったのです。
食事を楽しむ審査員たち
ランチ会場のカストル博物館は、映画祭のメイン会場があるところからさほど離れていないのですが、ここはかなり南仏の香りを色濃く感じることができました。
パレ(メイン会場)からホテル・マルチネスに続くメインストリートはホテルや高級ブティックが建ち並ぶまるで銀座のような街並です。それでいて、地中海に面しているという世界でも最も贅沢な土地かもしれません。いつも多くの観光客で賑わっています。
それとは打って変わり、旧市街は市民の生活の場として賑わっています。
狭い道幅に所狭しとお店が並び、レストランは店の外にもテーブルを出していたりとヨーロッパらしさを強く感じる素敵な所でした。
女性とっては好みの街並かも知れません。
機会がありましたら、ぜひ足を運んでみてください。
25日
カトリーヌ・ブレイヤ監督のコンペ作品「Une Vieille Maitresse 古い愛人(原題)」の記者会見が行われました。
カトリーヌ・ブレイヤ監督は今回コンペティション部門にノミネートされた数少ない女性監督の1人。
(今回は合計22本のコンペ作品のうち、河瀬直美監督と、アニメ作品「Persepolis」の共同監督の1人であるイラン系フランス人のマルジャン・サトラピ監督と、カトリーヌ・ブレイヤ監督の3名のみ!)
カトリーヌ・ブレイヤ監督はフェリーニやピアラの元でシナリオライターとしての経歴があり、監督業に移行してからは、芸術と文学とポルノグラフィーの境界線での作品を生み出すことでも有名です。
2004年の「Anatomie de l'enfer 地獄の解剖学」ではポルノの帝王ロッコ・シフレディを主演男優として起用して話題を呼びました。
が、この製作後、ブレイヤ監督は脳卒中にあい、5ヶ月間入院。そしてリハビリ期間を得て、半身麻痺の身体でこの「Une Vieille Maitresse 古い愛人(原題)」に取りかかったそう。
「映画が私の全て。映画を撮る事こそが私のリハビリ」とブレイヤ監督は言います。
記者会見には、プロデューサーのJean-Fransis Lepetit氏がブレイヤ監督の手を引いて静かにゆっくりと登場。
カトリーヌ・ブレイヤ監督
今回の作品のヒロインはアーシア・アルジェント、そして主演男優はイブ・サンローランのポスターなどで知られている、「ヴェニスに死す」のタッジオを連想させる、ギリシャ彫刻風美少年フアッド・アイト・アトォー。
カトリーヌ・ブレイヤ監督:
「フアッドは見た瞬間に啓示的なものを感じたわ。彼こそ私がずっと探していた、イタリアンルネッサンスの美少年の容貌で、フェミニンだけれど、女っぽいのではなく、神聖な美を備えた人。そして、アーシアもフェミニンだけど女っぽくなく、そして豹のようで、セクシーで力強い。映画を作る誰もが一度は宿命の女を描きたいと願うもの。この作品のアーシアは私にとっての宿命の女の姿よ。」
フアッド・アイト・アトォー
アーシア・アルジェント:
「カトリーヌはこの世の中で唯一私より強いと感じた人間。これまでは誰と仕事をしても、力関係を感じた事はなかったけど、カトリーヌだけは別。私が唯一恐れる人間。」
会見後、アーシアはカトリーヌにベッタリ。まるで凶暴な野生動物が、カトリーヌの腕の中では飼い犬のようになってしまう、という風景でした。
アーシア・アルジェント(写真右)と抱き合うカトリーヌ・ブレイヤ監督
出席者:イ・チャンドン監督(Lee Chang-dong)、チョン・ドヨン(Jeon Do-yeon)、ソン・ガンホ(Song Kang-ho)

左からイ・チャンドン監督、チョン・ドヨン、ソン・ガンホ
質問:この作品における宗教の位置づけはどういったところにありますか?
イ・チャンドン監督:宗教についての映画じゃない。人間についての映画だ。信仰をもっているとかないとか関係なく。キリスト教をこの作品の中で使ったのは、まず、韓国にはキリスト教信者の数が非常に多いし、キリスト教は他の宗教よりも、許す事、和解するとい今回の作品のテーマの追求をしている宗教だと思う。

チョン・ドヨン:この役を演じるにあたって、自分が体験したことのない想像を絶する状況だから、感情面で準備する事はできなかった。この作品は私にとって10作品目の映画だけと、とてもエネルギーを要したので、まるで初心者に戻った気分でした。

ソン・ガンホ:自分自身はあまり役に投影はされてないと思う。でも、この人物は韓国でよく目にする典型的なタイプの男だったので、わりとリラックスして演じたよ。
質問:今回コンペ作品に韓国映画が2本入ってますが、韓国ブームが続いていると思いますか?
イ・チャンドン監督:コンペにノミネートされる数と、ある特定の国への認知とは関係ないと思う。ひとつの映画が国籍を持つ前に、それはチームのものだと思う。もちろん、韓国映画が沢山コンペにあることで、韓国映画への注目へと繋がり、どんどん新しいエネルギーへと繋がればいいと思う。
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「Secret Sunshine(密陽)」
監督:イ・チャンドン
キャスト:チョン・ドヨン、ソン・ガンホ
24日
マーティン・スコセッシ監督が映画の撮り方やコツ、哲学を直伝する『シネマ・マスタークラス』がドビュッシー会場で行われました。
カンヌ映画祭恒例になった『シネマ・マスタークラス』。
巨匠の授業を受けたい多くの人たちが集まり、会場前には長い長い列が!
面白いのが、もう会場に入れないと思って半べそかきながら並んでいる人がいました(笑)
会場には観客としてあのタランティーノ監督の姿もありましたよ!
6本の作品のワンシーンを観ながら行われたスコセッシ監督の『シネマ・マスタークラス』。とても貴重な時間となりました!
映画の勉強をしている人たちへのスコセッシ監督のアドバイスは....
「映画は学校で勉強できるものじゃない。映画を撮りながら勉強するんだ。一番大事な事は、本気で映画を撮りたいと欲する気持ち。映画を撮るってことは、中途半端な意思じゃ難しい。家族との時間を大事にしたい、なんて言ってて出来るもんじゃないんだ。まあ、家族と時間を楽しく過ごしながら映画を作る人もいるだろうけど、僕はそうじゃないんでね」
みんなスコセッシ監督のお言葉に耳を立てて聞いてました。
24日『コンペ作品』トルコ系ドイツ人のファティ・アキン(Fatih Akin)監督「The Edge of Heaven」の会見が行われました。
ファティ・アキン監督は2004年ベルリン映画祭で金熊賞を獲得していて、今注目の若手映画監督。今回の作品もジャーナリストから大絶賛!
トルコ系ドイツ映画という響きで、地味な会見になるかなと思いきや、パルム候補ということで大勢の記者が集まりました。
ドイツ・ハンブルグ生まれのファティ・アキン監督はトルコ系移民の家庭に生まれ、ハンブルグ芸大の映像コミュニケーション科を出て、俳優業を経て監督業に移行していったそうです。
役者をやっていただけあり、なかなか魅力的な濃い顔です。
スコセッシ監督をリーダーにしたワールド・シネマ・ファウンデーションのメンバーとして先日記者会見ではウォン・カーウァイ監督の隣に座っていましたが、全然引け目なく、派手な顔が印象的だったし。
ちなみに、カンヌ映画祭で立派な監督として認められるには、素晴らしい映画を作る、という以外に以下の点が重要のように思えます。
1 英語が堪能なこと。
2 話が上手いこと。
3 容姿が良いこと。
(これはハンサムとかそういうことではありません。要するに印象的な容姿であることなのです。)
これらの条件が揃って初めてカンヌ映画祭ファミリーに加わることが出来るのです。
女性監督は、どうもカンヌファミリーの地位を獲得するのは難しいようですねえ。
「The Edge of Heaven」の記者会見参加者:
監督:ファティ・アキン
出演者:Tuncel Kurtiz、Nursel Koese、Hanna Schygulla、Nurgul Yesilcay、Patrycia Ziolkowska、Baki Davrak
プロデューサー:Klaus Maeck、Funda Odemis
質問:
トルコ映画に出演するのは2度目ですが、ファティ・アキン監督の魅力は?
Hanna Schygulla:
ファティ・アキンとベルリンで初めて会ったとき、彼のナイーブで美しい容姿が、ファスビンダー(映画監督ライナー・ベルダー・ファスビンダーの事。)を思わせたわ。
この作品のシナリオをうけたとき、若い映画監督にしては珍しく、死が生の一部であるという根本的な考え方を意識していると思ったわ。多くの若い映画監督は、死はタブーで戦うものとして描くのに対して、ファティ・アキンが展開させたこのストーリーをとても気に入ったわ。身内の死を受け入れて、悲しみにふけるのではなく、残されたやるべき事を続行して、喪を黄金に変換していくというアイデア。受けとる事より、与える事の喜び。
写真中央ファティ・アキン監督
ファティ・アキン監督:
スコセッシが今でも沢山の映画を見て常に師匠を見つけようとしている、と言ったが、僕も必ず少なくとも1日1本は映画を観て師匠を探している。僕がこの仕事を続ける限り、このように常に探し続けたいと願う。
Tuncel Kurtiz:
我々の目的は、ヨーロッパコミュニティーを作ることじゃなくて、ワールドコミュニティーを作る事だ。世界は小さな家のようなもの。皆の庭を作るべき。言語は大した問題じゃないんだ。
ファティ・アキン監督:
2年前にカンヌ映画祭に審査員として参加したときは、もっと楽だった。
毎日3本映画観て、それは楽しかったよ。ここはまるでサッカーのワールドカップのような場所。審査員やコンペ対象外で招待されて来た時は、まるで友好試合をしているようなもの。コンペにノミネートされるってことは、まるでブラジルと戦うようなもんだよ。
記者会見の後、司会を務めるお馴染みのHenri BEHAR氏も、ファティ・アキン監督に個人的に「この作品は素晴らしかったよ。本当にありがとう。」と絶賛してました。
実は私はプレス試写を見逃していたので、この記者会見には作品を観ていないまま出席してみたのですが、きっとこれは素晴らしい作品なんだ...という匂いがしたので、どうにかして公式上映で観たいな~と思い、なんとかチケットをゲットして19時のレッドカーペットを歩き、製作スタッフが出席する公式上映で拝見したのです!
もう感動作品です~!
ウォルター・サレスの「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観た時にも感じた、あの、心が洗われるような感覚。映画が終わって、まるで癒されているわけですよ!
涙を流しながらエンドロールで皆大拍手。スタンディングオーベーションも長々と続きました。手が痛くなったけど。
とにかく、数日間のカンヌ映画祭の疲労もすっかり吹っ飛びましたね。
これだから、映画っていいな~という宝石のような作品です。