22日11時より、コンペ作品ジュリアン・シュナーベル監督の「潜水服は蝶の夢を見る」の記者会見が行われました。

「潜水服は蝶の夢を見る」2008年全国ロードショー 配給:アスミック・エース
会見には、マリ=ジョゼ・クローズ、エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニー、ジュリアン・シュナーベル監督、オラッツ・ロペズ・ガルメンディア、マリナ・ハンズ、プロデューサーのキャスリーヌ・ケネディ、ジョン・キリクが出席。

写真左からエマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニー
パルムドールなのでは?という声が世界各国のジャーナリストの中で囁かれている「潜水服は蝶の夢を見る」ですが、やはり記者会見場も賑わっていました!
質問:
アメリカ人のあなたがフランスの役者を使ってフランス語で撮影した意図は?
ジュリアン・シュナーベル監督:
この話はフランス人の話。内容からして英語で出来る作品じゃない。よくアメリカ人の監督がフランスの物語を英語で撮ったりしてるが、それはナンセンスだと思う。フランスの観客がフランスの物語をフランス人の役者が英語で話す映画を観て、字幕を読むなんて可笑しい。特に、この映画は実際に病院で働く人たちに観てもらいたちと強く感じているものなので、彼等がきちんと理解できるように撮る事が大事なことだった。

迫力ある風貌のジュリアン・シュナーベル監督
質問:
マチュー・アマルリックの起用についてのエピソードは?
ジュリアン・シュナーベル監督:
当初は僕の友人でもあるジョニー・デップでと思ってたんだ。でも彼は「パイレーツ・オブ・カリビアン」の撮影中でヒゲを剃る事が出来ないって言うんでね。そこで、キャサリン・ケネディ(スピルバーグを多く手掛けるプロデューサー)が今「ミュンヘン」に出演してるフランスの役者のマチュー・アマルリックが素晴らしいって言うんだ。そして彼の映像を見せてもらって、パーフェクトだって思ったね。
マチュー・アマルリック:
「ミュンヘン」の撮影中、封筒が届いたんだ。中には“君は勝つ”と一言メッセージが書かれてて、そして脚本が入ってた。シュナーベルの事は「バスキア」で知ってたし、とても興味のある監督だった。
でも、この物語を映画化するのには疑問があった。そしてNYに呼ばれシュナーベルと会ったんだ。飛行場に迎えに来てくれて、何も段取りを知らされてなくて、乗込んだのはいいけど、どんどん郊外に進んで行く。
どこに連れてかれるのかと思ったら、そこは鬼の住処だった。感謝祭の時期で、数日間僕はシュナーベルの自宅で一緒に時間を過ごしたんだ。食事を作ってもらい、好きなサーフィンの写真を見せられたり!
彼とこうして時間を過ごし、彼がなぜこの作品を撮りたいかという思い、必要性が感じられたんだ。
人の不幸を詐欺師のように利用して映画を撮るのではないってことが理解できた。そして、この脳溢血で身体の自由を失って、左目だけの動きで生きた男を演じるには、いい役者であることが大事なのではなく、ただ人間で在ることが大事なのだと思った。

主演のマチュー・アマルリックがいっぱい集まった報道陣をパチリ
質問:
シュナーベル監督の仕事のやり方は?
アンヌ・コンシニー:
山の前に立たされて、さあ登れと言われてるような感じ。シュナーベルは役者たちの自由な動きや突発性を大事にするの。ある時、急に3時間後にはシュナーベルはスペインへ行く飛行機に乗らないといけないって聞いて、そんな短時間で撮影を終わらせるのは不可能と思ったわ。
でも、出来上がったシーンの映像を観たら、いつこんなシーンを撮ってたの?って感じで、カメラが回ってないと思ってた時の役者を撮っていて、それでシーンが完結してるのよ。

女優のアンヌ・コンシニー
マチュー・アマルリック:
この制作は実は予定より10日前に撮影が終了したんだ。プロダクションマネージャーは怒ってたね。ロケが延長することを仕切るのは慣れてるけど、10日前に終わるってのは前代未聞だからね!
質問:
役者や監督の雰囲気をみると、初めて仕事をした同士には見えない。まるでアルモドバルのファミリーのようだ。
ジュリアン・シュナーベル監督:
それは嬉しいことを言うね。ありがとう。
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WOWOWにて単独インタビュー放送予定!
「VIVA カンヌ映画祭 2007」
放送は、6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!