ひとりで目ざめた。
義父母が息子を預かってくれているので、実に久しぶりに、ひとりきりの朝である。いつもは騒がしい近くの学校も日曜は静かなものだ。部屋の中はしずまりかえっている。耳が痛いほどの沈黙。
沈黙。
いや、時計の音がやけに大きく聴こえてくる。
気になり出すと、そこに耳が勝手にフォーカスし始める。テーブルに置いた腕時計。壁掛け時計。台所の時計。寝室の時計。時計時計時計。立体的に重なり合いながら秒を刻むそれぞれの音色に耳をすましているとだんだん意識が溶けたようになってくる。まるで夢の中にいるような浮遊感。というか無重力感。これは「現実」なのか。いや、ここはまだ夢の中なのか。いやそもそもこれはいつなのか
亀がぽちゃりと水に飛び込んだ音で我にかえった。そうだ、エサをやらなくちゃ。それから洗濯もしよう。良い天気。珍しく少しは片付いた部屋が、気持ち良い。もちろん数時間後には息子が、ここをまたぐっちゃぐちゃに散らかしてくれるはずだが。
息子が、2年間「現実」の側に僕をつなぎとめ続けてくれたことに感謝する。彼がいなければ生きてこられなかった。明日は妻の命日。
タイトルも素敵です。。。
ブログを読ませて頂いているとヲノさんは本当に愛情深い人間なのだなぁと常に感じます。そんな「深さ」、講義にも滲み出ていたような気がします。はー。
ところで渋谷の劇場ででタルコフスキー祭やるみたいですね。
念願の劇場です><「僕の村は戦場だった」「鏡」「サクリファイス」なんかもやるみたいで、渋谷通いが続きそうです・・・。
長々失礼しました。