秋・・そして風

そぞろ歩きの　道すがら

私は　花を摘む

するべきことをさがして




あなたは　鼻歌をうたい

木の葉をそよがせ

リズムをとりながら

空気を揺らし渦巻きを起こし

高らかな　意思表示を

だれのために




あなたは　秋風

だれにも止められない

強い意志を持ち




だれもが　

優しいと　錯覚するのも

計算ずくなのだろう




風よ　　秋風よ




あなたは　すぐにでも

心を　翻し

期待を裏切り

それでも　あなたは　秋風





灼熱の夏の　空気から

すり抜けて　生まれ出て

山すそを　めぐり

優しさを　ふりまき

コスモスさえも

味方につけた





私の周りを　スキップで通り過ぎ

ためらいがちな　気持ちを

何かしら　鼓舞しようと

コスモスを　そよがせ

語りかけてくる

あなたは　秋という名の風

アベリア
花言葉　謙虚

だれかに・・

心のシグナルは

微妙に　変化する



季節の　移り変わりに

風の　ささやきに

雲の流れに

草木の　佇まいに





夏の日

睡蓮の葉に

水滴をころばせて

夢幻の　空間に遊ぶうち

こころが露の珠になってしまい

帰るところを　忘れたことを

伝えねば





秋風が吹いて

少しは　

落ち着いた頃

あの木蔭の

静かに流れた憩いのなかで

優しくはぐくんだ

気づきを

忘れないことを

アフェランドラ
花言葉　素敵な心

心のかたち

知らないうちに

心が　かなたの影に寄り添って

独り歩き　し始める





どこまで　行くつもりなのか

たずねることもなく

なぜ　ついてくるのか　

訊かれることもない





自然な形で　はじまった

この　道行を

完成形で　眺めることは

まず　なかろうと納得している

奇妙な　静寂をともない

それは　

特に　哀しいことでもない





ただ、その先を知りたい思いだけが

歩をまえへ　まえへと

暦に　しるしをつけて

ひたむきな心の前に

あすを　くりひろげる

竜胆（りんどう）
花言葉　あなたの哀しみに寄りそう