雨の灯台

ポケモン擬人化を取り扱っています。
参加企画関連の記事メインです。

クロチェ過去SS

2009-05-23 19:43:43 | R.N!/SS
ようやく上げる事が出来ました……ほんと遅くてすみません;
これからご飯なので絵茶開始には間に合わなそうですorz


……。
…………。
………………あ。
匂い。
……。
…………。
………………。
……………………消えた。
死んだんだ。
誰か、死んだ。

気付くと、いつの間にか暗くなってた。
声がする。
オレを呼んでる。
近所のお姉さんだ。
見つからない内に逃げようと思って立ち上がったら、足に力が入らなかった。
立てなくて、落ちた。
痛い。
そのまま倒れてたら、見つかった。
駆け寄って来る。
何回も心配そうに聞くから大丈夫って言おうとしたら、声が出なかった。
そういえば喉がカラカラな事に気付いた。

お姉さんの家に連れていかれた。
水を飲まされた。
手当てをされた。
ご飯を食べさせられた。
されるがままになってる間に、叱られた。
「倉庫の上に乗ったりしないで、危ないでしょう?」
ああ、あそこ、倉庫だったんだ。
ぼーっとしてたら、泊まるように勧められた。
首を横に振る。
「……帰ります」
今度は声が出た。
「でも……」
「家がいいんです」
本当は、一人がいいだけなんだけど。

真っ暗な部屋で床に仰向けになる。
眠くはなかったから、ひたすら寝転がってた。
……。
…………。
………………。
……………………。
周りが騒がしい。
匂いだ。
結構近い。
火事だ、って声が聞こえた。
……。
…………。
近付いてくる。
段々明るくなってきた。
気温が上がってる。
音も聞こえる。
燃え移ったんだ。
じゃあこの匂いはオレの。
オレ、死ぬんだ。
それがわかってて動かないのは、緩やかな自殺みたいだ。
そんな事をふと思った。
しばらくすると火の方を見るのにも飽きて、ただ天井を見上げる。
黒い煙が充満してきた。
……。
あれ。
誰かが呼んでる。
「ク……チェく……、クロチェ君!」
さっきの人だ。
声が近いと思ったら、部屋に入ってきてた。
この家燃えてるのに入ってきたのかな。
「逃げるわよ!」
手を引っ張ってくる。
でも女の人だし、オレに動く気がないからあんまり意味がない。
「早く!!」
オレは行かない。
そう言うのも面倒で首を振った。
「どうして! 逃げなきゃ死ぬのよ!?」
そんな事知ってる。
匂いがするし、この状況は誰が見ても死ぬだろうってわかる。
「……だから?」
ああ、思わず言っちゃった。
喋るの面倒なのにな。
「オレは別にいいです。放っといて下さい」
「いい訳ないでしょう!? お父さんとお母さんが亡くなってショックなのはわかるけど、死んじゃだめよ!」
「……そんなの、誰が決めたんですか」
命が大切だなんて、そんなきれい事誰が言い出したんだ。
「オレが助けたって助けなくたって人は死ぬのに。早いか遅いかの違いだけ。結局死んでいくなら、それがいつだって変わらない」
例えば誰かを助けたって、その人が死ななくなる訳じゃないんだ。
少し時間が伸びただけ。
必死になって助けたところでどうせ死ぬなら、もういいじゃないか。
誰がいつどこで死のうが勝手じゃないか。
「生きる事になんて何の意味もない。もう、全部、どうでもいい……」
何でオレ、今まで生きてたんだろう。
さっさと諦めればよかったのに。

パンッ

……え?
頬が痛い。
お姉さんが震えてる。
泣いてる……?
「……そんな風に投げ出す事を、誰が望んだの」
何で、お姉さんが泣いてるんだろう。
「あなたのお母さんは、命なんてどうでもいいって思ってあなたを産んだの? あなたのお父さんは、どうでもいいものを救うあなたを誇りに思ってたの!? 違うでしょうっ!?」
……母さん。
父さん。
もう、死んじゃった。
もういないんだ。
……ああ、でも。

『クロチェ』

声が。
蘇る。

『あなたを産んで、本当によかった』
『お前は自慢の息子だよ』

やめて。

『クロチェ……泣かないで』
『お前はよくやった。……自分のせいだなんて、思うな』

違う。
だって。
「だって……助け、られ……なかっ……」
視界が滲む。
目頭が熱い。
涙なんて、もう流れないと思ってたのに。
「二人共助けられなかったっ、死んじゃったんだ……! もう、嫌だ……っ」
助けても助けても、死んでしまう。
それでも何とかやってきたのは、父さんと母さんがいてくれたからなのに。
一人でなんて頑張れない。
そして結局はオレも死んでいく。
「どうせ死ぬのに、……生きてくのなんて、もう嫌だ……!! もう……嫌だよ……っ」
どうしたって死を避けられないなら、何もかも投げ出してしまえば悲しくない。
だからもう全部どうでもいいって思った筈なのに。
何でこんなにぼろぼろ泣いてるのかわからない。
「クロチェ君!!」
お姉さんの声が、轟音にかき消された。
……今、何が起こったんだろう。
元から熱かったのが更に熱くなって、お姉さんがオレに被さって。
お姉さんが苦しそうな声を上げてる。
天井が崩れた?
それをお姉さんが、庇ってくれた……?
「お姉さ……」
「だ、大丈夫……少し掠めただけ、だから……。クロチェ君は、大丈夫だった……?」
上体を起こしながら聞いてくる。
オレは別に何ともない。
とりあえず頷くと、よかったって言われた。
「……ねえ、クロチェ君。私には、あなたを慰める事しか出来ない。人は確かに死ぬわ、それは誰にも変えられない。でもこれだけはわかって。生きてるって、それだけで素晴らしい事なのよ! 体を張って人を助けて、それを私に、皆に教えてくれたのはあなたでしょう!? 死んでしまったら、もう二度と取り返しはつかないのよ!! それでいいの!?」
……オレは。
「オレは、……!」
匂いが急に強まった。
今まで漂っていたのとは段違いに濃い。
数秒先の死を告げる匂いの出所は――オレ達の、真上だ。
オレの上にはお姉さんがいる。
「危ない!!」
何か考える余裕なんてなかった。
とっさにお姉さんを抱き込んで横に転がる。
熱い塊が、すぐそばに落ちた。
激しく咳き込む。
……どうしよう、このままじゃ。
辺り一面死の匂いだ。
逃げないと。
少しでも匂いの薄い方に!
「こっち……!」
立ち上がって、手を取って走り出す。
くらくらする。
かなり煙を吸ってたんだと今更気付く。
足も痛い。
そういえば落ちた時に痛めてたんだ。
突然、引いてた手が重くなった。
振り向くとお姉さんが倒れてた。
「お姉さん!」
「……ごめん、足……に、力が……」
だめだ、意識が飛びかけてる。
どうしよう……どうしようっていったって、進むしかない。
ほとんど引きずるようにしながら背負って、燃え盛る火の中を何とか進んでいく。
さっきまで冷静だったのに、いつの間にか必死になってる。
『もう、全部、どうでもいい』
確かにそう思ってた。
でも、でも違うんだ。
死なせたくない、死にたくない。
どうでもよくなんかないんだ。
そうだ、オレは、どうしようもない死の現実が――悲しかった。
認めたくなくて、全力で抗いたくて。
だから今まで、必死で人を助けてきたんじゃないか。
それなのに投げだそうとしたなんて、馬鹿だ。
お姉さんは絶対に死なせない。
死なせちゃいけない。
目の前が霞む、けど、今は倒れられない。
どうにかして安全な所まで行かないと。
多分、オレも半分意識がない。
どれ位かかったのかわからないけど、やっとの事で家を出られた。
駆けつけてた救急隊員の人にお姉さんを預けようとしたら、オレも一緒に連れて行かれた。
同じ車に乗せられて、匂いは完全になくなった。
よかった……。
同乗した旦那さんと子供達がお姉さんに声をかけてる。
まだ少し朦朧としてるみたいだけど、ちゃんと受け答えしてる。
その様子を見て、また涙が出てきた。
オレはこの人を巻き込んで死なせてしまう所だったんだと、今更ながらに強く実感して。
「……ごめんなさい」
それだけじゃない、今まで麻痺していた感情が一度に押し寄せてきてもう訳がわからない位ぐちゃぐちゃだ。
「ごめ……なさ……っ」
泣いてるせいで余計に息が苦しいけど、止まらない。
止められない。
ひたすら謝りながら泣きじゃくるオレの頭を、優しい手がそっと撫でる。
周りの声が少しずつ遠のいていく中で、その温かさだけが最後まで残っていた。


以上、クロチェの過去SSでした。
改めて見ると凶悪な長さだ……。
両親を亡くした後、抜け殻のようになってた頃の話。
この時何もかも投げ出しかけた事、特に人を助けなかった事は、クロチェにとって生涯消えない後悔になっています。
ちなみに、出てきた女性は以前クロチェに子供を救われた人でした。
なのでクロチェに感謝していますが、クロチェの方も彼女を命の恩人だと思っています。
生きててよかったね、クロチェ。
しかしこれ、見守ってた両親は辛いなんてもんじゃないな……。

昨日書くって、

2009-05-23 15:31:30 | R.N!
言ったばっかりだろうがー!!
ああもう私の馬鹿……。
メールに記事打ちながら寝てました。
起きたら普通の起床時間、部屋の電気つけっぱなし。
ちゃんと布団で寝なくなってからそろそろ一週間。
眠気が酷いです。

いつの間に前記事から一ヶ月近く経過したんだ……!
すみません生きてます。
元気です。
何でこんなに時間流れるの早いの?
バイトしてる訳でもないのに何でこんなに余裕ないの?
もっと効率というものを考えて行動すべきだorz
大学入ったらゲーム買おうと思ってたのになあ。
近況としては、散々迷った結果やっと部活決めたり新歓ラッシュだったり。
お金が湯水のように出ていくよ!
何を血迷ったか二つ部活入りました。
運動部と文化部。

小説は書いてるんですがなかなか終わりません。
今日中に上げられたらいいな……orz
何か、文も絵もそうなんだけど、色々考えすぎて書けなくなってる気がする。

オンオフ共にウイルスとは無縁の生活を送ってます。
オンの方は、パソコンチェックしたら無事でした。
ブログのやり方はよくわからないんですがorz
うん、まあ最近あんまつけてなかったしパソコンは平気だろうと思ってた。
そもそもウイルスの存在を知ったのは携帯で皆さんの日記を読んでからでした。
あ、無縁と言いましたが、オフだと住んでる市で感染者確認されました。
しかし通常授業ですあはは
休校フラグバッキバキ^^
まあそんな気はしてた。
インフルよりも朝の電車の遅れと胸骨の痛みの方が私にとっては問題だ。
電車は結構頻繁に遅れるし、胸骨が酷い時は笑えもしない。

今日絵茶あります……よね……?
参加するつもり、です。

以下私信です。
携帯からの投稿なので色変えられません、すみません;

鉱さん
遅くなってすみません……!
修正ありがとうございました。
読ませて頂きました!
桜の情景が浮かんできました。
一緒に見たい、というのがすごく胸にきました。
素敵な小説ありがとうございます。

きりん。さん
フリーメール使ってるので念の為ウイルスが落ち着くまで返信は見送った方がいいかなと思いまして、私信で失礼します。
遅くなったのも加えて、重ね重ねすみません!;
とりあえずメールの件でこれだけ私信に書いておきます。
載せて頂いて全然構いませんよ!
楽しみに待っています♪
それから、SS読ませて頂きました。
せっ、切ない……!
どんどんスキンシップして下さいっ。
お互いに支え合っていく関係っていいですよね。
素敵な小説ありがとうございました。
クロクラ祭りも楽しみにしています!