満額回答

といっても春闘の話ではありません。ここでも何回か取り上げた同性婚訴訟。初めて控訴審(高裁)の判決があって、期待どおりの違憲判決。ここまでは予想の範囲と思いますが……

裁判所としては初めて、憲法24条１項にも違反すると判断しました。24条１項は、婚姻は「両性」の合意に基づくとか「夫婦」は平等など、結婚が異性間であることを前提としているように読めるので、これまでは、同性婚反対派が現憲法は同性婚を否定しているという論拠にされてきました。この考え方は間違っていると思いますが、私も憲法24条１項は同性婚に中立であると説いてきました。それが逆に同性婚導入の根拠になるとは、しかもこういうことに慎重な裁判所が言うとは(・□・；)　まさに原告らのコメントにあるように「夢の中にいるよう」

私は、人間にとって大切な結婚を、性的指向ゆえに同性愛者に否定するのは、憲法14条に違反すると思います(私たちの多くは異性愛でしょう。かりに同性婚しか認められていない社会に私たちが生まれてきたら、異性との結婚が許されないのは超悲しいでしょう)　ただ違憲とするには理由はひとつあれば十分のはず。裁判所がここまで踏み込むとは……

原告はどうするんでしょうね？　この裁判は同性婚否定の現行法制は違憲だから国家賠償をという訴訟で、主文は賠償は認めない、つまり形式的には原告敗訴なので、原告はここで裁判を終わらせることもできます(反面、形式的には勝訴の国は上告できません)　私だったら、ここで手を打ちますが(笑)、LGBTに優しい昨今の最高裁なら結構期待できるかも？(国家賠償を得るには、①当該法令が違憲＋②違憲であることが明白なのに長期にわたって是正されないの２つが必要というのが最高裁判例です。本件では②が認められません)

それにしても、司法・裁判所が、日本でこれほど頼りになる日が来ようとは、うれしい驚きです。判決には異例の付言は、同性婚容認は国民に意見や評価の統一を求めることを意味しない、個人の尊厳にかかわるものだと言っていますが、伝統的価値観をひきずって動こうとしない、国会や内閣に対する皮肉かと思えます。