明日の風

明日は明日の風が吹く。気楽にいきましょう!

追悼、伊藤和行くん

2021-10-19 11:40:20 | 日記

ガリレオをはじめとする地動説の研究者、京都大学教授・伊藤和行くんが亡くなりました。私と同じ64歳、まだ年寄りですらないのに。

和行くんと出会ったのは、北海道の北見北斗高校でした。高校に伊藤姓がいっぱいいたのと、1学年上に瓜二つのお兄さんが在籍していたので、私だけでなく同期生はみな単に「和行くん」と呼びます。

まあお互い理屈っぽい頭でっかちな高校生だったのでしょう。でも一度も同じクラスになったことがないのに、彼は理系、私は文系で共通点は少ないのに、いろいろなことで親しく付き合ってきました。後の彼の研究分野にも関連するのでしょうが、理系でありながら、文学や歴史にも明るい学友でした。きっと美幌町の中学生のときは、田舎にこんな秀才がいるのか!?と注目の的だったのではないでしょうか。

忘れられないのは、受験で私が第1志望の京都大学にふられたときのことです。翌々日だったか2期校受験のため出発しました。北海道大学に合格した和行くんが朝、北見駅まで見送りに(励ましに?)来てくれたのです。私としては、静岡大学は楽勝という意識だったので正直、えーっ!と思いましたが、彼の意外な優しさも知ってとてもうれしかったです。

高校卒業後、一緒に山登りもしました。北海道の斜里岳、雄阿寒岳、大雪山、東京の高尾山、御前山。斜里岳から国後島を見たのが一番かな(1979年) お互いラグビー好きで、東京で大学ラグビーを観戦したこともあります。運動オンチの私とは違い、高校の草ラグビーでは、スクラムハーフを任されていました。

大学院の5年間はともに東京だったので(彼は東京大学、私は一橋大学)、結構行き来しました。私が国立国会図書館にいたときにはイタリアに留学していました。私よりずっと実力がある研究者だったのに、たぶん研究者が10人もいない科学史をやっていたので、京都大学に就職したのは38歳。それからは学界でも大学でも大活躍だったようです。

研究者としても大成し可愛らしいお嬢さんもいらして、これ以上何もいらないという境遇ではなかったかと推測しますが、命を取られるなんて……

半世紀近くの数知れない恩に感謝します。和行くん、本当にありがとう。そしてさようなら。

ご関心あれば、伊藤和行『ガリレオ:望遠鏡が発見した宇宙』(中公新書、2013年)をご覧ください。

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2 コメント

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若かりし伊藤和行先生のご様子を知れて驚き! (通りすがりの大学院生)
2022-07-22 14:47:02
突然のコメント失礼いたします。

私は伊藤和行先生と縁があった大学院生です(現在は博士後期課程所属)。詳しくはここには書きませんが、伊藤和行先生は私の副指導教員でした。

まさか伊藤和行先生の高校からの同級生の方がこのような形で先生の昔のご様子を書き記していることに驚き、見ず知らずの者であるにもかかわらず思わずコメントしてしまったことをお許しください。

伊藤和行先生は亡くなられる前の年の後期から長期療養をされ、大学を休職していたため、それ以来わたくし共は先生と顔を合わせたりコミュニケーションをとる機会がありませんでした。昨年7月に訃報を受けた際は驚きと悲しみに包まれましたが、その後「伊藤和行先生を偲ぶ会」がオンラインで実施され、多くの方から師が尊敬されていたことをあらためて知ることができ、切なくも感慨深い気分にもなりました。

私自身は科学哲学が専門でして、学部は文学部ではなく同じ大学の他学部であったため、伊藤先生とある程度お話するようになったのは文学研究科に入学した大学院以降のことです。(もっとも学部時代にも講義は出ておりましたが…。)そういうこともあって、伊藤先生とは科学史に限らずもっといろいろなことをお話したいと思っていたのですが、それがあまりかなわず残念です。私自身は直接には科学史家としての伊藤先生像しか知らないのですが、「偲ぶ会」での何人かの方々からのコメントや、貴記事内容などからみるに、私生活でも豊かな人間性をお持ちの方だったのですね。

>運動オンチの私とは違い、高校の草ラグビーでは、スクラムハーフを任されていました。

これはとりわけ驚きでした!伊藤先生がラグビーでそんなに活躍されていたなんて!ちょっと私のイメージからすると遠いです(笑)

>理系でありながら、文学や歴史にも明るい学友でした。

他方でこちらは容易に想像ができます。それにしても高校生の頃からの興味関心がその後の研究人生に結びつくとは、素晴らしいことですね。

長々と語ってしまってすみません…。私からも伊藤和行先生のご冥福をお祈りしております。
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コメントありがとうございます (ねも)
2022-07-23 11:19:05
大学院生さん
コメントとてもありがたいです。これを書いたかいがありました。
そちらの業界での和行くんの活躍ぶり、うれしく拝読しました。

和行くんと最後に会ったのは6年前、高校の還暦同期会でした。元気そうだったし、どうせまた会うでしょうとあまり話をしなかったのが悔やまれます。

われらが北見北斗高校は当時、異常にラグビーが盛んな高校でした。クラス対抗戦をしたといっても、まあ小学生が昼休みにドッジボールをするようなものです(部活動のラグビー部は花園出場を争うレベルでしたが)
もうひとつ和行くんの意外な一面。
6~7年前のように記憶していますが、チャーミングなお嬢さんの写真が全面の年賀状をもらいました。こんなに娘さんをかわいがっていたとは!

大学院生さんの今後のご活躍を期待しています。
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