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尊属殺人重罰規定

2024-07-04 19:26:23 | 法・裁判

「虎に翼」3日は尊属殺人重罰規定合憲判決でしたね。この規定が死んでからほぼ半世紀、多くの人にとってはそんなものあったんだ⁉でしょうが、業界では有名なネタでした(試験でも頻出?、笑)

今世紀初めに改正されるまで殺人罪の刑罰は懲役3年~死刑でした(刑法199条、現在は懲役5年~)。同じ人殺しでもずいぶんと幅があります。ところが自分や配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)を殺すと無期懲役か死刑に(刑法200条、現在は削除)。普通の人殺しと親殺しを区別することが法の下の平等を定めた憲法14条に違反しないか?

「虎に翼」で取り上げられた1950年の最高裁判決は合憲判断、13ー2の多数決でした。親を敬うことは人類普遍の道徳だと。人倫の大本なんていう時代がかった言葉まで。

個人主義と平等を謳う日本国憲法の下で、よくこんな恥ずかしい判決を下せたものだと驚きますが、爺さんたち(最高裁判所の頑迷な裁判官)に染み付いた旧民法下の家制度の思想は簡単には払拭できなかったのでしょう。配偶者の父母殺(お嫁さんが嫁ぎ先の舅・姑を殺す想定)まで重罰の対象としていた200条は、家制度擁護のためとしか説明できないはず。

おまけに敢然と反対意見を述べた真野裁判官と穂積裁判官(穂高先生のモデル)に対して、多数派裁判官から、曲学阿世だのバカも休み休み言えだの罵詈雑言(・□・;) 唖然とします。

最高裁判所が過ちを改めるには20年余が必要でした。1973年、最高裁判所は刑法200条は法の下の平等に反するという判決を下しましたが、ここでも多数派の爺さんたち(8裁判官)は尊属殺人を重く処罰すること自体は構わない、ただ死刑と無期懲役だけというのは重罰の程度が過ぎると。ここに書いたように、旧民法下の家制度の名残だから日本国憲法ではそもそもアウトという裁判官は6人でした(さらにこの期に及んで合憲という裁判官も1人)

優生保護法は、制定時から違憲だったと言い切った現在の最高裁は別人のように凛々しくみえました\(-o-)/


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