続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

エイズウイルス~人類が直面する最強最悪のウイルス~

2005-05-24 04:49:14 | 医学ニュース
日本は先進国中で唯一HIV感染が増加している国である。

一時のエイズパニックが収束し,熱しやすく冷めやすい国民性のおかげで最近はニュースで見かけることもほとんどなくなってしまった。
その影でHIVは確実に日本に蔓延し,性道徳の乱れがウイルスの拡散にさらに拍車をかけている状況である。

HIVはおそらく人間が直面する最強最悪のウイルスに間違いない。
HIVに比べれば,アフリカで騒がれている致死性の高いマールブルグ病やエボラ出血熱は悪性度からいけば子供だましである。
その理由は以下に要約される。

1. 自覚症状のない長い潜伏期間
HIVは感染初期にはほとんど症状がなく,感染を自覚することがきわめて困難である。その上自覚症状のない潜伏期間が10年にもおよぶため,感染者はキャリアとして知らず知らずのうちにウイルスを拡散させてしまう。
2. 人間の生活と切り離せない感染経路
感染経路が人間の本能的欲望の一つ,性欲に伴う性交渉であり防止が困難である。本能的欲望であるが故に理性的な感染予防対策(コンドームの使用)が採られにくく、行政の対策も後手後手に回ってしまう。
3. 極めて高い致死率
近年のカクテル療法の進歩によりAIDSの発症を遅らせることは可能となったが,ウイルスを完全に消し去ることは困難であり,AIDSを発症すれば死亡率はほぼ100%である。ウイルス感染症に効果的なワクチンの開発も,変異しやすい表面抗原のせいで開発は不可能視されている。

マールブルグ病もエボラ出血熱も死亡率は90%以上と極めて高いが,現時点では潜伏期間は2週間程度であり感染経路も接触感染に限られている。
感染者を見分けるのも激烈な症状から比較的容易だし,接触感染であれば感染予防は比較的簡単だ。
分かりやすく言うと,これらのウイルスでは感染者が出た村が全滅して誰も居なくなれば、それ以上ウイルスは拡散せず感染は収束し、アウトブレイクにならない。

アメリカをはじめとする先進諸国はなりふり構わぬ感染対策と青少年への教育でなんとかHIVの蔓延を封じ込めることに成功している。
日本でも早急にHIV対策を実施しないと,大変なことになる。
現在の感染者数は報告の10~100倍と予想されており,このままではアウトブレイクが起こりアフリカ諸国の様に国民の75%が感染者といった状況に陥りかねない。

しかしHIV対策においては,教育者や議員のきれいごとをまとった対策は全く無意味である。
「青少年の性風俗の乱れ」や「売春の一掃」をかかげても、なんら効果は期待できないであろう。
なぜならHIVは法律や教育では完全にコントロールできない本能に根ざした性交渉を感染経路としているからだ。
青少年教育や感染情報の積極的な公表はもちろん,ラブホテルでのコンドームの無料化,ラブホテルでのエイズ感染を啓蒙するポスターの義務化、性風俗産業従事者の登録制とHIV検査の義務化など、なりふり構わない対策が急務である。

今日の箴言
「セックスの際には必ずコンドームの着用を!」

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