WATCH (サミット人権監視弁護士ネットワーク / Watch Human Rights on Summit)

WATCHは2008年洞爺湖サミット警備による人権侵害に対処するため、弁護士を中心に結成されたグループです。

サミット前後の入管実務の対応について(マニュアル)【その3】

2008-05-04 14:26:23 | 入管マニュアル
第3 外国人の上陸の申請までの対応について

Q3 会議その他の会合に出席するため、外国人を日本に呼び寄せるには、具体的にどのような手続が必要か。また、具体的にどのような点に注意して準備する必要があるか。



1 事前の準備
(1) 査証の申請の手続・必要書類の準備
a 査証の申請の手続の調査
  会議その他の会合のために呼び寄せようとする者が、査証免除措置が実施されている国・地域の外国人か、査証免除措置が実施されていない又は査証取得勧奨措置が実施されている国・地域の外国人かを確認することとなっています。
    ↓
査証免除措置が実施されていない又は査証取得勧奨措置が実施されている国・地域の外国人であれば、査証の取得の手続が必要になります。
  ↓
査証の申請の手続については、国籍別に異なっていることから、外務省のホームページを確認するとともに、詳細については、当該外国人の居住する地域を管轄する大使館・領事館に問い合せるようにして下さい。
    (http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/kokuseki/kokuseki.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/zaigai/index.html
b 必要書類の準備
    査証の取得が必要になる外国人においては、査証申請のために次の必要書類を準備することになるが、後記3の上陸の申請の準備として、同様の必要書類を複数の部数準備しておくのが望ましい。
      ↓
査証免除措置が実施されている国・地域の外国人についても、後記3の上陸の申請の準備として、同様の必要書類を複数の部数準備するのが望ましい
(外国人側が準備するもの)
1. 旅券
2. 査証申請書
3. 写真
4. 航空便又は船便の予約確認書/証明書
5. 在職証明書
6. 渡航費用支弁能力を証する資料

(招へい機関・個人側で準備するもの)
1. 招へい理由書
2. 会議その他会合関係の資料
3. 滞在予定表
4. 身元保証書
5. 招へい機関の団体概要説明書/個人招へいの場合は在職証明書
6. その他参考となるべき資料
  これらの資料を事前に本人送付し、持参してもらうことが大切です。
(2) 上陸拒否事由の調査
  会議その他の会合のために呼び寄せようとする者について、前記3の上陸拒否事由に該当する事由がないかどうかを確認することとなります。
    ↓
  当該外国人の居住する地域を管轄する大使館・領事館が上陸拒否事由を知っているとは限らず、上陸拒否事由に該当する事由がある場合は、査証を取得することができたとしても、上陸を拒否されることになってしまいます。

2 査証の申請
(1) 原則
   前記1(1)aで調査した査証の申請の手続に基づき、前記1(1)bで準備した必要書類を当該外国人の居住する地域を管轄する大使館・領事館に提出して査証の申請を行います。
     ↓
外務省本省・法務省本省との査証事前協議となった場合は、概ね2~6か月程度の相当の時間を要することになることから、大使館・領事館に進捗の状況を確認をした上、大使館・領事館限りで査証を発給するよう電話・ファックスで交渉します。
(2) 例外
  a 上陸拒否事由がある場合
前記1(2)のとおり、上陸拒否事由がある場合は、査証を取得することができたとしても、上陸を拒否されることになることから、あらかじめ査証事前協議を前提として大使館・領事館に査証の申請を行います。
      ↓
   上記の場合の上陸は、上陸特別許可が前提となることから、前記1(1)bの必要書類のみならず、「特別に上陸を許可すべき事情」を裏付ける資料を提出することが必要必要となります。
  b 査証事前協議の流れ
   大使館・領事館は、外務省領事局外国人課に対し、査証発給拒否の伺いを行い、同課は、法務省入国管理局入国在留課に対し、当該外国人の査証の発給についての意見を求める
      ↓
   法務省入国管理局入国在留課は、自ら調査を行うほか、地方入国管理局に対し、事案の調査を行うことがあり、同局は、身元保証人からの事情聴取、資料の提出の求めなどを行う
      ↓
地方入国管理局は、調査結果に意見を付して法務省入国管理局入国在留課に送付し、同課は、外務省に対し、意見を提示し、外務省は、原則として当該意見を尊重することになる

3 上陸の申請
(1) 上陸の申請の準備
a 外国人側の準備
査証の取得の要否にかかわらず、日本において行おうとする活動についての立証が必要になった場合の準備として、前記1(1)bの必要書類を国際郵便で送付し、当該外国人においてこれらを所持
  ↓
上陸の審査の結果、入国審査官に上陸の条件に適合していないと判断され、特別審理官に引き渡された場合のため、招へい側機関・個人、代理人の連絡先を事前に確認し、口頭審理のための委任状等の書類も所持しておくのが望ましい
b 招へい側機関・個人側の準備
   前記1(1)bの必要書類を準備するとともに、事前に航空機・船舶の到着時間を確認し、外国人の連絡先を確認した上、当該外国人が上陸の申請を行う空港・港において待機
(2) 上陸の申請の対応
a 外国人側の対応
日本の出入国港において、旅券・査証(ただし、前記第2、3(2)bのとおり、査証免除措置を実施している国・地域の旅券の所持者の場合は査証は不要)・出入国記録カードを入国審査官に提示
  ↓
    入国審査官から、日本において行おうとする活動についての立証を求められた場合は、前記1(1)bの必要書類を提示

    上陸の審査の結果、入国審査官に上陸の条件に適合していないと判断され、特別審理官に引き渡された場合は、直ちに招へい側機関・個人、代理人に連絡するとともに、これらの者から事情を聴取するよう求める
      ↓
    口頭審理のための委任状等を提示するとともに、代理人又は招へい側機関・個人の口頭審理への立会いを求める
b 招へい側機関・個人側の対応
   外国人が予定された時間になっても現れない場合は、当該外国人に連絡するとともに、当該出入国港を管轄する地方入国管理局に連絡
    (http://www.immi-moj.go.jp/soshiki/index.html
      ↓
    外国人が、入国審査官に上陸の条件に適合していないと判断され、特別審理官に引き渡されたことが判明した場合は、地方入国管理局に対し、代理人又は招へい側機関・個人の口頭審理への立会いを求める