第4 外国人の上陸が拒否された以降の対応について
Q4 会議その他の会合に出席するために来日した外国人が上陸を拒否された場合、具体的にどのような対応が必要か。また、具体的にどのような点に注意する必要があるか。
1 特別審理官の口頭審理
(1) 代理人・親族又は知人の立会
前記第2、1(3)のとおり、口頭審理においては、代理人の立会が認められており(なお、代理人の資格に制限はない)、また、特別審理官の許可を受けて、親族又は知人の一人を立ち会わせることができる
↓
外国人が、入国審査官に上陸の条件に適合していないと判断され、特別審理官に引き渡されたことが判明した場合は、地方入国管理局に対し、口頭審理の立会いを求める
(2) 証拠の提出・証人尋問
前記第2、1(3)のとおり、口頭審理においては、証拠の提出や証人尋問が可能とされている
↓
外国人において、前記1(1)bの必要書類を提示していない場合、代理人又は招へい側機関・個人から必要書類を提示する
↓
当該外国人について、「特別に上陸を許可すべき事情」があれば、これを裏付ける参考となるべき資料も提出する
↓
必要に応じ、証人尋問を実施するよう求める
(3) 審理の記録
a 調書の作成
特別審理官は、通訳人を介し、事情聴取を行った上、調書を作成し、読み聞かせを行った上、外国人、代理人又は立会人の署名・押印を求めるものとされている
↓
通訳人が適正かつ公平な通訳を行っているかどうかを確認するとともに、外国人の供述が正確に記載されているかどうかを確認する
b 書証の認否
実務上、書証の認否を記録として作成することになっており、一括して認否させることも多いが、個別に確認するように注意する
2 法務大臣への異議の申出、法務大臣の裁決及び退去命令
(1) 法務大臣への異議の申出
特別審理官が上陸の条件に適合していないと認定した場合、認定に服した上で出国するか、又は、法務大臣への異議の申出を行うかを判断することになる
↓
認定の直後に判断するか、又は、空港であれば、ターミナルビル内の上陸防止施設又はその付近のホテルなどにとどまり、面会を行った上で判断することになる
(2) 法務大臣の裁決
法務大臣への異議の申出を行った場合、上陸の条件に適合していることを裏付ける参考となるべき資料を入国管理局に追加して提出する
↓
「特別に上陸を許可すべき事情」がある場合、これを裏付ける参考となるべき資料を入国管理局に追加して提出する
(3) 退去命令
法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した場合、退去命令書により退去命令が行われ、その中で出国日・出国便が指定される(規則別記第11号様式)
↓
遅滞なく日本から退去しない場合は、退去強制手続が開始され(法24条5号の2)、入国管理局収容場に収容される
↓
退去命令に服した上で出国するか、又は、退去強制手続内において争うかについて、ターミナルビル内の上陸防止施設又はその付近のホテルにおいて、面会を行った上で判断することになる
3 仮上陸許可
上陸の続中において特に必要があると認めるときは、その手続が完了するときまでの間、該外国人に対し仮上陸を認めるよう求めることも考えられる
↓
主任審査官の職権により、人道的配慮を要する事情その他特別の事情に鑑み、仮の措置として外国人の上陸を許可することができるとされているが、入管実務上、仮上陸許可が認められた事例は少ない
(参考文献)
・ 出入国管理法令研究会編「注解・判例 出入国管理・外国人登録実務六法」(日本加除出版)
・ 坂中秀徳=斎藤利男「出入国管理及び難民認定法逐条解説(改訂第三版)(日本加除出版)
・ 入管実務研究会「入管実務マニュアル」(改訂版)(現代人文社)
・ 東京弁護士会外国人の権利に関する委員会編「実務家のための入管法入門」(現代人文社)
・ 日本弁護士連合会「入国・在留手続マニュアル」
Q4 会議その他の会合に出席するために来日した外国人が上陸を拒否された場合、具体的にどのような対応が必要か。また、具体的にどのような点に注意する必要があるか。
1 特別審理官の口頭審理
(1) 代理人・親族又は知人の立会
前記第2、1(3)のとおり、口頭審理においては、代理人の立会が認められており(なお、代理人の資格に制限はない)、また、特別審理官の許可を受けて、親族又は知人の一人を立ち会わせることができる
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外国人が、入国審査官に上陸の条件に適合していないと判断され、特別審理官に引き渡されたことが判明した場合は、地方入国管理局に対し、口頭審理の立会いを求める
(2) 証拠の提出・証人尋問
前記第2、1(3)のとおり、口頭審理においては、証拠の提出や証人尋問が可能とされている
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外国人において、前記1(1)bの必要書類を提示していない場合、代理人又は招へい側機関・個人から必要書類を提示する
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当該外国人について、「特別に上陸を許可すべき事情」があれば、これを裏付ける参考となるべき資料も提出する
↓
必要に応じ、証人尋問を実施するよう求める
(3) 審理の記録
a 調書の作成
特別審理官は、通訳人を介し、事情聴取を行った上、調書を作成し、読み聞かせを行った上、外国人、代理人又は立会人の署名・押印を求めるものとされている
↓
通訳人が適正かつ公平な通訳を行っているかどうかを確認するとともに、外国人の供述が正確に記載されているかどうかを確認する
b 書証の認否
実務上、書証の認否を記録として作成することになっており、一括して認否させることも多いが、個別に確認するように注意する
2 法務大臣への異議の申出、法務大臣の裁決及び退去命令
(1) 法務大臣への異議の申出
特別審理官が上陸の条件に適合していないと認定した場合、認定に服した上で出国するか、又は、法務大臣への異議の申出を行うかを判断することになる
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認定の直後に判断するか、又は、空港であれば、ターミナルビル内の上陸防止施設又はその付近のホテルなどにとどまり、面会を行った上で判断することになる
(2) 法務大臣の裁決
法務大臣への異議の申出を行った場合、上陸の条件に適合していることを裏付ける参考となるべき資料を入国管理局に追加して提出する
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「特別に上陸を許可すべき事情」がある場合、これを裏付ける参考となるべき資料を入国管理局に追加して提出する
(3) 退去命令
法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した場合、退去命令書により退去命令が行われ、その中で出国日・出国便が指定される(規則別記第11号様式)
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遅滞なく日本から退去しない場合は、退去強制手続が開始され(法24条5号の2)、入国管理局収容場に収容される
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退去命令に服した上で出国するか、又は、退去強制手続内において争うかについて、ターミナルビル内の上陸防止施設又はその付近のホテルにおいて、面会を行った上で判断することになる
3 仮上陸許可
上陸の続中において特に必要があると認めるときは、その手続が完了するときまでの間、該外国人に対し仮上陸を認めるよう求めることも考えられる
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主任審査官の職権により、人道的配慮を要する事情その他特別の事情に鑑み、仮の措置として外国人の上陸を許可することができるとされているが、入管実務上、仮上陸許可が認められた事例は少ない
(参考文献)
・ 出入国管理法令研究会編「注解・判例 出入国管理・外国人登録実務六法」(日本加除出版)
・ 坂中秀徳=斎藤利男「出入国管理及び難民認定法逐条解説(改訂第三版)(日本加除出版)
・ 入管実務研究会「入管実務マニュアル」(改訂版)(現代人文社)
・ 東京弁護士会外国人の権利に関する委員会編「実務家のための入管法入門」(現代人文社)
・ 日本弁護士連合会「入国・在留手続マニュアル」