WATCH (サミット人権監視弁護士ネットワーク / Watch Human Rights on Summit)

WATCHは2008年洞爺湖サミット警備による人権侵害に対処するため、弁護士を中心に結成されたグループです。

デモなどにおいて逮捕者が出た場合のサミット人権監視弁護士ネットワーク<WATCH>の対応について

2008-06-27 18:25:49 | ニュース / News
(この文書は、海外から日本に来た活動家にWATCHの活動を説明するためのものです。)

WATCHは、2008年G8サミットにおける警察当局による人権侵害を監視するために結成された弁護士のネットワークです。活動家により組織されるリーガルチームとは組織的に直接関係ありませんが、情報交換などの連絡はしています。

WATCHは、人権侵害の予防を目的としています。
その一環として、活動家が不当弾圧から自分の身を守るために最低限必要な、日本の刑事手続などに関する法律情報を公開しています。さらに、7月5日に札幌で行われるデモに立会い、警察の行動を監視し、もし弾圧があった場合には、それをメディア活動家の協力を得て記録し、公表し、世界に向けて抗議していきます。

逮捕者が出た場合、WATCHは原則として逮捕者を直接的に支援しません。
また、全ての逮捕者に関する情報を総合的に収集して、救援活動を組織することもありません。逮捕者が外国人の場合、招聘団体があるケースにおいては、その団体が救援活動を組織すべきです。もし招聘団体が無い場合には、WATCHがなるべく対応していきますが、人員に限りがあるため、全ての逮捕事件に対応することができないことを予めご了承下さい。

外国人の逮捕者が出た場合、当番弁護士を頼んで下さい。当番弁護士とは、最寄りの弁護士会が組織してくれる弁護士で、初回の相談を無料で引き受けてくれます。イメージとしては、応急処置を施してくれる救急医のようなものです。逮捕者本人は、警察署で「当番弁護士を呼んで下さい。」とだけ言えば、警察から弁護士会に連絡してくれます。本人でなくても、友人や支援者が最寄りの弁護士会に連絡することもできます。(電話番号は文末に掲載されています。)当番弁護士は、警察官の立会なしに逮捕された人と面接し、その人の言い分を聞いたり、その人の権利やこれからの手続について説明し、外部との連絡もとってくれます。もし招聘団体が存在する場合には、その団体に連絡をとってもらいましょう。

もし当番弁護士による初回の接見後に刑事弁護の継続を望むのであれば、面接に来た当番弁護士やその他の弁護士を私選弁護人として選任しなくてはなりません。その場合、弁護士費用が必要となりますが、費用を援助してもらえる場合もあります。詳しいことは、当番弁護士に聞いて下さい。

当番弁護士は、地域の弁護士会によって組織されるものであり、WATCHとは直接関わりがありません。しかしながら、WATCH参加弁護士が、当番弁護士を務めたり、私選弁護人を務めることはあるかもしれません。

また、救援連絡センター(電話03-3591-1301)という、逮捕者の救援活動を専門とする民間の組織があります。外国人が逮捕された場合、救援連絡センターに連絡することも可能です。救援連絡センターは、救援活動のスペシャリストですが、地理的に北海道での対応に限界があると思われること、言語などの側面からすると、救援連絡センターに連絡するより、当番弁護士と通訳を手配してくれるであろう弁護士会に当番弁護士を頼むことが望ましいのではないかと考えます。

当番弁護士の連絡先
札幌 011-272-1010
東京 03-3580-0082
大阪 06-6363-0080

これらの電話番号は、逮捕者の友人や支援者が当番弁護士を頼む場合の連絡先です。逮捕者本人は、警察署で「当番弁護士を呼んで下さい。」といいましょう。逮捕された時のために腕に「tôban bengoshi」と書いておくと良いでしょう。

札幌弁護士会への申し入れ

2008-06-21 13:08:12 | ニュース / News
WATCHを含む5団体が、以下のように札幌弁護士会に申し入れました。

--------------------------------
札幌弁護士会会長 三木正俊 殿

   G8北海道洞爺湖サミット期間中の刑事弁護体制強化のお願い


2008年6月20日


G8サミット市民フォーラム北海道
G8サミットNGOフォーラム
G8を問う連絡会
G8女性の人権フォーラム
サミット人権監視弁護士ネットワーク

 2008年7月7日から9日にわたって「G8北海道洞爺湖サミット」が開催されます。これに向け、各種のNGO、市民団体が、環境、平和、人権などさまざまな課題を掲げて取り組みをおこなっており、例えば7月5日には大通り公園で大規模なデモ・パレード、また7月6日~9日にかけては壮瞥町、豊浦町でキャンプを設置するなどの企画が予定されています。
 こうした市民による自主的な動きに対して、警察当局はサミット警備を「テロ対策」と位置づけ、厳格な警備体制を敷いています。そしてサミット開催を前にして、すでに、不当な入国拒否、または理由なき入国拒否を含む外国人の入国管理の不当な運用、また微罪逮捕などが起こっています。このような動向を鑑みると、サミット開催期間とその前後に、警察の厳格な警備体制のもと、公務執行妨害等での逮捕・勾留が頻発する可能性は否定できません。
 私たち五団体はこうした過度な警備体制が不当な人権侵害をもたらし、正当な表現行為への萎縮効果をもたらすことを深く憂慮しております。さらに、今回の取り組みでは稀にみる規模の海外からの来訪が予想されるので、その意味でもこうした人権侵害が国際問題にまで発展する可能性も大いにあります。
 貴弁護士会は2002年の「サッカーワールドカップ」開催時に、会として特別な刑事弁護体制で臨まれたと聞いております。その経験に則り、今回の「G8北海道洞爺湖サミット」開催期間ならびにその前後においても同様の特別体制をとっていただくことをお願いいたします。

*G8サミット市民フォーラム北海道
代表:宮内泰介(011-206-4674)

*G8サミットNGOフォーラム
代表:星野昌子 (03-5292-2911 JANIC)

*G8を問う連絡会
代表連絡先:日本消費者連盟(03-5155-4765)

*G8女性の人権フォーラム
代表連絡先:アライズ法律事務所:鈴木隆文弁護士(047-376-6556)

*サミット人権監視弁護士ネットワーク(WATCH)
代表:中村順英 事務局長:海渡雄一 (03-3341-3133 東京共同法律事務所)

サミット人権監視弁護士ネットワーク(WATCH)第二回法律相談会

2008-06-02 02:22:49 | ニュース / News
サミット人権監視弁護士ネットワーク(WATCH)第二回法律相談会のお知らせ。

第一回の法律相談(入国管理について)にひきつづき、第二回の法律相談会を開催します。今回は日本国内での運動にかかわるさまざまなケース(捜索・逮捕)などについて、山下幸夫弁護士と山中救援連絡センター事務局長と意見を交換し、かつ現状の情勢についての情報交換をしていきたいとおもいます。


期日 6月12日(木)午後7時~
場所 中野区勤労福祉会館大会議室
地図) 

報告 山下幸夫(弁護士)
   山中幸男(救援連絡センター事務局)

問いあわせ先:watch08summit[at]gmail.com

参加費500円


以上

昨年のG8サミットにおけるドイツ・リーガルチームの活動

2008-06-01 10:41:52 | ニュース / News
去年のG8サミットに関連して結成されたリーガルチームの活動をご紹介します。情報源は、リーガルチームが発行した報告書と、リーガルチームの立ち上げに関わった弁護士の体験談です。


*********

ドイツ・リーガルチームの活動

1)概要

2007年6月、ドイツ・メクレンブルグ=フォアポンメルン州ハイリゲンダムにおいて、G8サミットが開催された。
2006年春、共和主義弁護士協会(Republikanischer Anwaeltinnen- und Anwaelteverein、RAV)*、メクレンブルグ=フォアポンメルン州刑事弁護士会、そして救援会によって、リーガルチームが結成された。当初推定10万人の国内外からのデモ参加者による1週間にわたる抗議行動とそれに対する厳重警備体制と、リーガルチームは大きな課題に取り組むことになる。

リーガルチームは、サミット開催地の最寄りの都市であるロストックに事務所を構え、サミット前及びその開催中の3週間、デモへの立会いやデモ参加者の弁護活動を展開し、積極的に広報活動を行った。サミット期間中、合計100人の弁護士がロストックに集まり、リーガルチームに参加した。
サミット開催から1年経った現在でも多数の刑事裁判において弁護活動を続けている。

リーガルチームの趣旨は、集会の自由、表現の自由など基本的人権の擁護であり、その活動範囲はデモや集会の現場、そして法廷にまで及んだ。リーガルチームの功績は社会的に認められ、ドイツ弁護士協会から刑事弁護人賞、そして「国際人権リーグ」より、カール・フォン・オシエツキー・メダルが授与された。


2)背景

ドイツでは、数千人から数万人規模のデモや集会が年に数回行われるが、ベルリンやその他の大都市で行われるメーデーデモ、毎年秋に行われる放射性廃棄物の輸送に対する抗議行動や、ネオナチの行進に対する反対デモは、その一例である。これらの大規模な集会には、警察による大規模な弾圧がなされるため、その都度弁護士当番チームや救援会がデモ参加者を支援している。


3)基本的姿勢

リーガルチームの趣旨は、自由権の擁護及び政治的意見を表現することのサポートであり、侵害を受けた全ての者に対し、当該人物がネオナチや人種差別主義者でない限り、法的支援を与えることである。なぜネオナチや人種差別主義者が支援の対象から除外されたかというと、これらの者は、基本的人権の撤廃という、リーガルチームの趣旨と相容れない目的を掲げているからである。

リーガルチームが活動をしていくなかで、デモ参加者の一部が暴徒化した際に、リーガルチームがメディアや政治家に槍玉に挙げられそうになったが、リーガルチームは毅然として上記の基本的姿勢を固持し、暴徒化について見解を示すことを避けた。
その理由は、抗議行動の妥当性については、抗議に参加する者の間で議論されるべきであり、弁護士が議論するべきでないこと、
いかなる政治的意見を持つ者であっても、国家による弾圧の対象となり得ること、逮捕者が罪を犯したということは、警察の言い分でしかなく、その真実性を評価し逮捕者を犯罪者扱いすることは弁護士の役割でないこと、罪を犯したか否かに関わらず、メディアの報道や警察の一方的な発表などにより世論が過熱している中で逮捕された者こそ弁護を必要とすることであった。

このような姿勢を取ることにより、リーガルチームは一方的に、抗議をする者の味方をし、人権を守るために、ある意味では過激な立場を取った。
政治的権利や自由を守るため、リーガルチームの活動も必然的に政治的意味合いを持つことになったが、抗議行動の一部ではなく、あくまで自立した機関として活動することが重要であった。

4)準備

サミットへの準備として、広報活動と、司法当局への働きかけが行われた。

広報活動
広報活動の目的は、警察による過剰警備がもたらす危険に対し、世論を敏感にすることであり、危機感を持たせることであった。そのために、市民団体と集会を開き、リーガルチームを紹介し、市民と議論し、情報提供を積極的に行った。
本番でリーガルチームの活動をより有効なものにするためには、事前に世間に存在感をアピールすることが必要不可欠であった。

司法当局への働きかけ
警察、検察及び裁判所と連絡をとり、法的基準を遵守するよう働きかけた。リーガルチームは、
-デモ参加者が警察官に包囲された、又は拘禁施設に収容された場合に弁護士が当事者に接する機会を与えること、
-拘束した者を速やかに管轄裁判官に引致すること、
-拘禁施設に弁護人用の部屋を設けること、
-警察、検察及び裁判所において、リーガルチームとの連絡の窓口となる人物を任命することなどを要求した。

結果的に、これらの約束は守られなかったが、司法当局に、デモや抗議行動の参加者の人権を積極的に擁護する弁護士の集団がいるということをアピールするという意味では有意義であった。


5)現場での活動

抗議行動前
サミットに関連して行政側は広範囲にデモを禁止したが、リーガルチームは、デモ申請を通すための裁判支援を行った。

抗議行動への立会い
リーガルチームは、警察による介入を監視・阻止するため、許可・無許可で行われたほとんど全てのデモや集会に立会った。警察とデモ隊の間で事態がエスカレートした際には警察側と交渉し、別の場面では、警察官に大量逮捕の違法性を指摘し、阻止することに成功した。また、逮捕者の氏名を記録し、警察の不法行為を記録し、抗議行動の参加者に対する不当な捜索を阻止、あるいは少なくとも監視した。

拘束者支援
リーガルチームは、身体拘束され、裁判官に引致された者の弁護を行った。そのために拘禁施設で夜を過ごしたりしたが、非拘禁者との接見は頻繁に妨害された。

これらの活動を効果的に行うために欠かせなかったのが、広報活動である。定期的にプレスリリースを発表し、インタビューを与え、声明を公開し、警察による虚偽の発表を訂正した。こうして世間の議論に積極的に介入し、独自に警察の行動を評価した。

リーガルチームの活動は、司法当局による様々な妨害を受けた。例えば、拘禁施設では、収容と裁判官への引致の間に非拘禁者に接することが非常に難しく、いつ引致・裁判官による尋問が行われるかも不明で、裁判官との連絡が警察官に妨害されたり、拘禁施設から弁護士がつまみ出されることもあった。


6)その後

サミット後も、リーガルチームの活動は続いた。その内容とは、デモ参加者の刑事弁護、その弁護活動に関する広報活動、そしてハイリゲンダムで起こった出来事をまとめ、公開することであった。2007年12月に、リーガルチームの活動に関する本「敵像となったデモ参加者ー警察による暴力、軍隊出動、メディア操作。弁護士当番チームから見たG8サミット」が発行された。


7)結論

警察や司法当局のメディアに対する膨大な影響力に対抗するため、リーガルチームは弁護活動だけでなく、プロフェッショナルに広報活動を展開する必要がある。

*共和主義弁護士協会は、1979年に結成された政治的弁護士団体。特に、刑法・刑事訴訟法の厳格化、警察による暴力、警察権力の拡大、人種差別的な外国人法などに対する反対運動を行っている。シュレーダー前首相は、結成メンバーの1人。

以上

入国管理に関する法律相談会の開催について

2008-05-06 14:48:46 | ニュース / News
洞爺湖サミットにかかわるNGO、運動団体のみなさまへ

                         
   入国管理に関する法律相談会の開催について


サミット人権監視弁護士ネットワーク


 2008年7月の北海道・洞爺湖サミットの開催にあたり、さまざまなNGO・団
体・個人の海外からの参加が予定されています。サミット人権監視弁護士ネットワー
ク(WATCH)としては、設立の趣旨にもとづき、サミット関連のフォーラムや行
動へのみなさまの支障なき参加を援助してきたいと考えています。
 今回は、海外からの招聘者・参加者の出入国に関してWATCH事務局次長の難波
満弁護士が報告をし、みなさんと情報の共有をしていきたいと考えています。以下の
ような日程で開催しますので、是非ご参加ください。


1,日程     5月17日(土)午後6時から午後9時まで

2,場所     文京シビックホール地下2階研修室A
       http://www.b-civichall.com/access/main.html

3,資料代    1000円

4,問合先     watch08summit[at]gmail.com ([at]を@に置き換えてください)

G8サミット関連学習会 「G8サミットと外国人の入国」

2008-05-06 12:30:11 | ニュース / News
G8サミット関連学習会 「G8サミットと外国人の入国」


 G8サミットまで、60日を切りました。サミットには、多くの外国人が北海道、そして札幌にやってくることになりそうです。その中には、サミット協力的な人もいれば、サミットはおかしいと思っている人もいるでしょう。いろんな人がいます。私たちと同じです。考え方の違いはあっても、サミットの時に北海道に行きたいという人たちと、私たちは出会いたいと思います。
 しかし、日本政府やG8諸国政府の考えは違っているようです。サミットの時にやってくる外国人で「怪しい」人物には、「テロリスト」「反グローバリゼーション活動家」などのレッテルを貼って、入国させないようにしようと考えているようです。
それに対して、私たちはどうするのか。G8サミットに来ようとしている人がトラブルなく入国できるために、私たちはどんな準備をしたらいいのか、もし入国できなかった場合にどう対応するのか。
 サミットをきっかけに、ここ数年強まっている日本の出入国管理について考え、サミットに参加しようとしている外国人がきちんと入国できるための知恵をみがきましょう。

講師:難波満さん 弁護士 サミット人権監視弁護士ネットワーク事務次長、全国難民弁護団連絡会議世話人)

会場:かでる2・7 940研修室

日時:5月25日(日)午後1時開場、1時30分開演、3時30分終了(予定)

資料代:500円

主催:サミット人権監視弁護士ネットワーク、G8サミット市民フォーラム北海
道、日本ジャーナリスト会議

問合せ先:G8サミット市民フォーラム北海道
TEL 011-206-4674 FAX 011-242-6077
Eメール 08summit.h[at]gmail.com ([at]を@に置き換えて下さい)

サミット警護に関する独日間の情報交換

2008-04-22 16:35:43 | ニュース / News
ドイツの連邦刑事庁(BKA)と日本の警察庁の代表者がサミットの警備体制等に関す
る情報交換をしていることが報じられているが、
そのような動きについて「左翼党」("Die Linke")がドイツ連邦議会において提出
した質問に対し、連邦政府は4月16日に回答した。(以下要約)

****************

(ドイツ代表者の訪日について)

連邦刑事庁長官(2007年8月12日から15日まで)、
連邦内務省代表団(2007年9月3,4日)
が日本を訪れ、2008年サミットにおける安全措置について議論した。

連邦軍関係者に関しては、2007年サミット終了以来、2008年サミットに関連する訪日は無かった。


(ドイツ側からサミットやデモ参加者への対処に関するアドバイスはあったか)

連邦刑事庁長官が日本を訪問した際、特に具体的なアドバイスは与えなかった。G8
サミットに関しては、現段階では、いわゆる「ブラック・ブロック」やその他のグループが日本のサミットを脅かすような情報は無いことを説明した。


(ドイツで行われた集会禁止措置、逮捕者の檻への収容、連邦軍の国内出動、その他の安全措置に対して日本側が興味を示したか、そしてそれに対するドイツ側の対応)

日本はドイツの経験に興味を持っている。連邦政府は当該情報を日本の要求がある度にできるかぎり提供していく。


(グロバリゼーションに批判的な運動の動向に関する情報を提供したか)

個人情報保護法の範囲内で、日本のサミットの危機状況を評価するために必要な全ての情報を提供することを約束した。


(別の機会で情報提供の約束をしたか)

2007年9月にベルリンで警察庁の代表者3人、日本大使館関係者1人および連邦刑事庁の2人との間で会合が開かれ、ドイツ側が2008年サミットの準備と実行における援助を約束した。連邦刑事庁法が許す範囲で安全情報を提供することも援助の一部である。


(グロバリゼーションに批判的なグループ、メディア、個人に関する情報を提供したか、どの情報を誰に提供したか)

警察庁が提出した質問表に回答するため、連邦刑事庁はグロバリゼーションに批判的な組織に関する情報を提供したが、その際、過激と見られるグループや組織とそうでないものと、はっきりと区別した。同時に、ドイツ法に基づき個人情報を日本に提供するためには、重大な犯罪が犯される兆候が実際に存在し、戦闘的な反グロバリゼーション活動家が日本で暴力的な抗議行動に参加することを裏付ける明らかな情報が必要であることを説明した。


(日本の警察官がドイツを訪れたか、目的は何であったか)

警察庁の代表団は2007年秋に連邦刑事庁を訪問し、サミット警護における経験について情報収集した。


(ドイツからどういったデータを提供したか/するのか、またその法的根拠は)

潜在的に暴力的な「妨害者」がドイツから日本のサミットに参加し得るという情報がある場合、個人情報を日本の当局に提供する。外国の警察当局に個人情報を提供する法的根拠は連邦刑事庁法14条


(2007年のデモで逮捕された日本人1人に関する個人情報は、どのデータファイルに記録されているか)

INPOL-KAN、INPOL-"IS" 及び連邦刑事庁のデータファイル、IgaST(「国際的に活動
する暴力的な妨害者」)に記録された。


(日本の当局がその人物について知った経緯)

サミットの期間中に連邦刑事庁に設置されていた「国際連絡捜査官センター」に滞在していた日本の捜査官が当該情報を得た。


(ドイツ連邦軍の国内出動に対し日本側が興味を示したか、それに対するドイツ側の反応、サミットにおける軍隊出動を巡る連邦軍と自衛隊の情報交換)

日本大使館の国防担当大使館員は、2007年6月15日に質問状を提出し、連邦軍が2007年にハイリゲンダムで行った援助活動に関する情報を提供するよう要求した。7月9日に2ページに渡る活動報告書を日本側に渡した。
2007年9月12日と12月6日に国防担当大使館員が連邦国防省を訪れた。
12月6日には、テロが起きた際の連邦軍によるどのような措置が予定されていたか質問された。特に、航空安全当局による予防措置、連邦軍の警戒態勢、航空限定区間、軍事的・非軍事的事件が起きた場合の措置、そして連邦軍による援助活動の法的根拠などに関する情報をほしがっていた。


以上
*連邦政府の回答の詳細は5月下旬にアップロードする予定です。

G8サミットに関する、最近の日本への入国拒否事例

2008-04-12 19:06:52 | ニュース / News
G8サミット関する、最近の日本への入国拒否事例


事例1

3月7日、洞爺湖G8サミットに批判的なグループ「G8を問う連絡会」が主催し、8日開催を予定していた「国際調整会議」に参加するために来日しようとしていた、韓国の団体「アジア女性会議」の代表者キム・エファ氏が、同日16時40分頃に成田空港に到着し、入管ゲートを通過しようとしたさいに、入管当局に尋問され、入国を拒否された。エファ氏は入国にあたり、提出書類に「CAWメンバー」と記載し、会議への参加を伝えたが、入国審査官は「目的が不明確」とそれを認めず、入国拒否の措置を取り、エファ氏は同日夜の便で一旦韓国へ引き返した。二日後の九日、エファ氏は改めてインビテーションカードを携え、韓国から成田に戻り入国を試みた、この際には問題にされず、入国は認められ、予定の会議の一部に参加することができた。

事例2

3月10日、ドイツの農学博士で活動家のマルティン・クライメルが、札幌でのG8関係の会議に参加するためにロシア・サハリンを経由し、貨客船にて小樽に入港しようとした。 しかし入国管理局小樽出張所は特に理由を明示することもなく、マルティン氏の入国を拒否した。マルティン氏はそのまま船内に留め置かれ、日本側からは弁護士らが接見し、異議申し立てもおこなったが、結局入管当局は入国を認めることなく、3月14日、マルティン氏は来港した貨客船にのって、ロシアに引き返すことになった。その後、来日を断念したマルティン氏は、ロシアから航空機でドイツに帰国した。

事例3

イタリア出身の哲学者で、パリ在住のアントニオネグリ氏のケース。氏は、3月末におこなわれる東京大学、京都大学、東京芸術大学でのシンポジウム・講演への参加を予定していた。ネグリ氏は70年代にイタリアの「赤い旅団事件」に関与したとの廉で「国家転覆罪」に問われ、一時収監されていたことがある。その後パリに一旦事実上の亡命をし、1998年にイタリアに一時帰国し収監されたあと、2003年に恩赦され、ふたたびパリに戻り生活をしている。今回の来日にあたっては、在フランス日本大使館より、査証なしで入国可能と当初はいわれていた。ところがネグリ氏がフランスを出発する予定であった3月19日の2日前の3月17日に、外務省から、ネグリ氏は、査証なしで渡航することになっているが、昨今のG8等により入国管理をめぐる諸事情を鑑みると、査証なしで来日すると入国の際に拒否される可能性が非常に高いとの説明があった。そして翌 18日になって、再度、外務省より、今回のネグリ氏の査証発給に関しては、法務省入国管理局との協議の上で行われているとの連絡が招聘サイドに入った。つまり、入国管理局の許可なしには、在仏日本大使館は、ネグリ氏に査証を発給することはできないという事態になった。その後、法務省(入国管理局入国在留課)より、ネグリ氏の日本入国には、彼が政治犯であったことの正式な証明が不可欠であるとの連絡が招聘サイドにあった。それを証明する公式文書を提出せよということである。こうした法務当局からの要請に対して、時間的な制約等の関係から、最終的にネグリ氏は日本への入国を断念することになった。

日本の友人たちへの手紙(ネグリ招聘実行委員会のHPより)
皆さん、まったく予期せぬ一連の事態が出来し、私たちは訪日をあきらめざるを得なくなりました。この訪日にどれほどの喜びを覚えていたことか! 活発な討論、知的な出会い、さまざまな交流と協働に、すでに思いをめぐらせていました。およそ半年前、私たちは国際文化会館の多大な助力を得て、次のように知りました。EU加盟国市民は日本への入国に際し、賃金が発生しないかぎり査証を申請する必要はない、と。用心のため、私たちは在仏日本大使館にも問い合わせましたが、なんら問題はありませんでしたし、完璧でした。ところが2日前の3月17日(月)、私たちは予期に反して査証申請を求められたのです。査証に関する規則変更があったわけではないにもかかわらずです。私たちはパリの日本大使館に急行し、書類に必要事項をすべて記入し、一式書類(招聘状、イベントプログラム、飛行機チケット)も提示しました。すると翌18日、私たちは1970年代以降のトニの政治的過去と法的地位に関する記録をそれに加えて提出するよう求められたのです。これは遠い昔に遡る膨大な量のイタリア語書類であり、もちろん私たちの手元にもありません。そして、この5年間にトニが訪れた22カ国のどこも、そんな書類を求めたことはありませんでした。飛行機は、今朝パリを飛び立ち、私たちはパリに残りました。大きな失望をもって私たちは訪日を断念します。数カ月にわたり訪日を準備してくださったすべての皆さん(木幡教授、市田教授、園田氏――彼は日々の貴重な助力者でした――、翻訳者の方々、諸大学の関係者の方々、そして学生の皆さん)に対し、私たちは申し上げたい。あなたたちの友情に、遠くからですが、ずっと感謝してきました。私たちはこの友情がこれからも大きくなり続けることを強く願っています。皆さんの仕事がどれほど大変だったかよく分かります。皆さんに対しては、ただ賛辞があるばかりです。パーティは延期されただけで、まもなく皆さんの元へ伺う機会があるだろう、と信じたい気持ちです。友情の念と残念な思いを込めて……
ジュディット・ルヴェル
アントニオ・ネグリ

4月12日「G8と監視社会」シンポジウム参加報告

2008-04-12 18:16:30 | ニュース / News
4月12日、「G8と監視社会」シンポに参加し、WATCH・サミット人権監視弁護
士ネットワークの結成と今後の活動計画のことを報告してきました。

                      事務局長 海渡 雄一

2008.4.12
シ ン ポ ジ ウ ム
G 8 サ ミ ッ ト で 拡 大 す る 監 視 社 会
──「 何 」か ら「 誰 」を 守 る の か ?──

───共 催────────────────────
・一矢の会
・盗聴法に反対する市民連絡会
・ネットワーク反監視プロジェクト
・反住基ネット連絡会
・フォーラム平和・人権・環境
・プライバシーアクション (2008.3.7現在)

───連絡先────────────────────
日本消費者連盟 TEL.03-5155-4765
ネットワーク反監視プロジェクト TEL.070-5553-5495
プライバシーアクション TEL.090-2302-4908



<シンポジウムの呼びかけ文>
 2008年7月に北海道洞爺湖で行われるG8サミットの警備を理由として、警察
などによる市民への監視が拡大しています。札幌では先頃、地下鉄駅構内などへ
の160台にも上る監視カメラの増設が決定。公園の使用自粛要請やサミット会場周
辺への立ち入り規制、上空の飛行禁止措置のほか、公共交通機関での警備など、
"過剰警備"の枠を超え、近年進む監視社会化を加速度的に強めています。
 そうした監視強化の理由として、毎度のごとく「テロの脅威」が持ち出されま
すが、いったいどのような脅威があるのか、具体的・合理的根拠が示されたこと
はありません。
こうした流れは9.11事件以降のことですが、2001年の事件以来、6年以上の間、
「テロ攻撃」が日本国内で行われたことは一度もありません。
 その一方、サミット期間中、全国の都道府県警から警備要員が現地に動員され
るなどして、市民生活と関わりのある犯罪対策は手薄になろうとしています。
 いったい、日本政府は何から誰を守ろうとしているのでしょうか?
 私たちは、このような不明瞭な「テロの脅威」を振りかざして、私たちの自由
が奪われていく状況を、とても危惧しています。どんな監視が行われ、どんな自
由が奪われているのか、そして、それに対抗していくためには何が必要かを話し
合うために、下記のようにシンポジウムを開催します。

<報告の概要について>
途中までしかいられなかったので、不十分な報告ですが、参考までに送ります。
全体の司会とコーディネーターは白石孝さんと小倉利丸さん(富山大学教員)が
なされました。

○G8サミットの現地から
 新田真澄さん(プライバシーアクション札幌)から、札幌市内で大量の監視カメ
ラの設置がすすめられていることが報告された。地下鉄の監視カメラは終了後撤
去することが約束されたが、水道局配水池に増設された監視カメラは撤去しない
としている。
 上田市政は、当初住基ネットなどにも選択制にするなどとしていたが、行政に
押し切られ、北海道警の者がたくさん市役所内にも出向してきていて、市政の動
向には危惧している。

○外国人への監視体制・US-VISIT
 旗手明さん(自由人権協会)から、テロ対策の名の下に出入国管理が飛躍的に強
化されてきた流れの報告がなされた。
 外国人の中を1)日本人と同様の管理の対象とするグループ、2)徹底した
監視の対象とするグループ、3)短期滞在、4)超過滞在に区別してきている。
 日本版US-VISITも指紋と顔映像の採取を目的としているが、これがテ
ロリスト対策として有効かどうかは疑問である。アピール効果はあっても、実際
に捕まっているのは一般犯罪と入管法違反のみ。
 日本でも開始から三ヶ月で576人ヒットしている。うち送り返したのは半分
以下で、入国は認めている。在留者のIDの完全管理が目指されているのではな
いか。実は2007年には10424人が入国拒否されている。その7割以上が
入国目的に疑義があるという非常に裁量の幅の広いケースである。上陸拒否事由
に当たるとされたのは1割程度である。

○監視カメラと顔認識
 吉村英二(日本消費者連盟)からは、監視カメラに顔識別機能が付加され、指名
手配犯やテロリストの疑いがある人物が瞬時に判別できるようなシステム(三次
元顔形状データベース自動照合システム)の導入が計画されており、平成22年
から都内で試験運用が計画されていることが報告された。

○G8サミットとNシステム
 浜島望さん(一矢の会)からは、Nシステムを巡る状況が変わってきていること
が報告された。通常のNシステムだけでなく、Tシステムという物流システムに
接続された端末を含めて全国で1150箇所の端末が稼働している。北海道全体
で29箇所で全国平均よりも少ない。しかし、サミット直前に増設される可能性
がある。ナンバーで監視していると言われるが、確証はないものの一部は顔識別
もされているかもしれない。札幌から洞爺湖に至る道路(230号)にもNシス
テムは設置されている。道央道にも、Nシステムは何カ所か設置されている。

○G8サミットを理由とする市民運動の規制
 海渡雄一(サミット人権監視弁護士ネットワーク)から、サミット人権監視弁
護士ネットワークを結成したこと、今後の活動として情報共有のためにブログを
開設したこと、まず海外から入国しようとして差し止められた場合の対応方法に
ついてまとめて公表したいと考えていること等を報告した。