039:怠 最近、ネジ式の機械を見ない。 その中のあたたかさゆえオルゴール怠けるごとく弛みゆき、暗 020:まぐれ 女子は複数になると、笑ってから話す。 うすわらいする女学生飛ぶ鳥に小石まぐれで当てたるごとく 075:微 クオーツは、時に神経に障る。 死にかけて微かに震う秒針の〈5〉を越えることなきを見つめる 078:指紋 もう小学四年生だそうだ。 庭の辺の椅子に彼の日のしいちゃんの指紋のごとき蝸牛ゆく 099:イコール 調べてみると、ブルマの歴史もなかなか壮絶なものがある。 同型の紅白帽をイコールでむすべよ〈前に、 習え〉 |
エロスは停滞をもって完結する。
その最終型は緩やかな死だ。
快感と直結している死のネジを、人は繰り返し巻き上げる。
元気にピンを弾いていた間隔は、徐々に長くなってゆく。
弛緩、停滞、暗。
この死に至る弛緩こそが、生を感じさせる装置なのだ。
――止まらないオルゴールなど誰も手に取らないだろう――
明日もまたネジは巻かれる。
生と、そして死の喜びを得るために。
粘液の中をうごめく円筒のごとき命よひそり止まれよ 理阿弥