遅くなり申した!
2012年度 妄想ペナント
No.18 『一ノ瀬と二宮2』
※これはフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※検索よけのために、名称を一部変えています。
例)スワ□ーズ → スワロース
//////////////////////////////////
マソンスタジアムの最寄り駅を降りると、風が潮の味がした。
やや風が強い。海から陸に向けて吹き抜けてくる。
これが話に聞くマソン風か、と二宮は思った。
マソスタに吹く風はマソン風と呼ばれ、マソスタは野外球場であり、しかも海にかなり近いため、秒速10mを超えることも珍しくない。(参考:wikipesdia)
本来なら外野まで飛ぶような打球が内野まで押し戻されたり、投手の投げた球が予想外の変化をすることは日常茶飯事であり、
しかも球場の構造上、球場上空とフィールド上では風向が異なるという現象が起こるため、多くの選手がこの風に悩まされるという。
一ノ瀬にとって、有利に働いてくれればいいが。
二宮はそんなことを思いながら、スタジアムに向かう。
「二宮。早かったね」
球場周りを走り込みをしている一ノ瀬が、スタジアムに到着した二宮を見つけた。
まだスワロースの練習時間まで時間がある。
「おつかれっす」
そう答えながら、登板当日にこんなに早くアップをし始めてだいじょうぶなのだろうか、と二宮は不安になった。
あまりに勝てない日が続いて、正常な判断ができなくなっているのだろうか。
汗をかくほどのアップではないにしても、ただでさえスタミナ不足なのにと心配になってしまう。
「さっそく打ち合わせしよう。もう聞いているだろうけど、今日は君と僕とのバッテリーだ」
「わかってます。俺は一ノ瀬さんを勝たせるために来たんですから」
試合が始まった。
風は味方してくれている。
それでも毎回のようにランナーを出す綱渡りのようなピッチング。
その原因はストレートの走りだ。
変化球は直球があってこそ。
ストレートを待って、変化球に対応するということが容易になる。
それでも一ノ瀬は気持ちで振り切る。
ランナーを出してからの集中力は健在だ。
「二宮と一ノ瀬はポジションと性格が逆だな」
名前ももうよく思い出せない先輩が言っていたセリフを、二宮は思い返していた。
ピッチャーはプライドが高くて変わり者。
キャッチャーは責任感が強く、冷静で理屈もの。
そんなふうに言われている。
ピッチャーである一ノ瀬は、勉強家で、一つ年が違うだけとは思えない落ち着きがある。
二宮は直情的で、話しかけづらい孤高さがある。
(一ノ瀬さんが投手向きの性格じゃないって? よく言うぜ
あんなに負けず嫌いで野球にストイックな変態は見たことがない)
その時の二宮はそう思ったものだ。
試合は乱打戦となりつつあった。
互いのピッチャーが多く安打を許している。
一ノ瀬は踏ん張り、スワロースはうまく得点につなげていった。
気付けば6回表を迎えて、
ヤ 5対0 □
この点差があれば、完投だって狙える。
この完投勝利で、一ノ瀬の本来のピッチングが戻ってくるかも知れない。
その時の二宮はそう思っていた。
その6回表の守備、2アウトを取り、あと1アウトでこの回も無失点で抑えられるというときに急に一ノ瀬の制球が定まらなくなった。
連続フォアボール、2アウト1,2塁のピンチ。
そのあと次の打者に簡単にヒットを打たれ、1点を奪われてしまった。
二宮が一ノ瀬にのもとに駆け寄ろうとすると、一ノ瀬は二宮を見ず、ベンチの方向を見ていた。
その視線を追うと、コーチがマウンドに向かってくるところだった。
ピッチャー交代。
6回を投げ8安打、さらに四球3つ。
要所を締めたと言えるが、とても合格と言える内容ではない。
1失点で済んだのが不思議なくらいだ。
(それでも無失点で抑えて100球も投げていないピッチャーを
4点リードしているこの状況で、しかもあと1アウトでこの回が終わるというときに代えるか?
塁を汚して帰るというのが、どれだけピッチャーの自尊心に障るかということを知らないわけじゃないだろ)
そう心の中で思っても監督の決定は絶対だ。
冷静に考えても、負けがこんでいるピッチャーに託せる場面でもない。
それに、ここで逆転でもされたら、一ノ瀬は立ち直れないほどのダメージを追うだろう。
一ノ瀬はマウンドを降りた。
二宮には納得いかなかった。
あんたはそんなにマウンドを譲るようなピッチャーじゃなかったはずだ。
そんな思いは筋違いだと二宮は知っている。
それでも二宮は納得いかなかった。
集中力を欠いた二宮は、7回に集中打を浴び1点を献上。
なお満塁のピンチ。
ヤ 5-2 □
『俺は一ノ瀬さんを勝たせるために来たんですから』
二宮はふと自分のセリフを思い返す。
ここはプロのマウンド。幾つもの心理戦が交わされる場。
そこで生半可な組み立てをしたら打たれるに決まっている。
俺のせいで負ける。
一ノ瀬さんが、チームが。
あんな絶不調の中、6回を1失点で抑えた一ノ瀬さんのがんばりに応えないやつは男じゃねぇ。
二宮は目を覚ました。
そして、二宮は8回まで無安打無失点のリードを演出する。
9回表には左中間を深々とやぶる2ベースヒットを放ち、これで3安打プロ初となる猛打賞。
待望の追加点を加え、4点リード
ヤ 6-2 □
9回裏。
ここを抑えれば、一ノ瀬に待望の今季初勝利が手に入る。
0勝5敗で苦しんできた一ノ瀬に光明が差すだろう。
が、野球は筋書き通りにいかない。
ここで連投になっているイムを休ませる意味で、登板したルーキー羽田が大誤算。
連続フォアボールで1アウトも取れずに降板、ノーアウト1,2塁。
ここでやむなくイムを投入。
イムは疲れからか、本来のピッチングではなかった。
代え際の初球をとらえられ、羽田が出したランナーが全員帰ってしまった。
ヤ 6-4 □
このあと2アウトをとるが、2安打を打たれ、1失点。
ヤ 6-5 □
点差はわずかに1点となってしまった。
なおも1,3塁のピンチを迎える。
二宮は祈るような気持ちでミットを構えていたように思う。
この試合がどんなにひどい試合だったとしても良い。
あと一つ、あと一球で試合が終わり、すべてが丸く収まる。
野球の神様はどれだけ残酷なのだろうか。
二宮、痛恨の同点パスボール。
一ノ瀬の勝利は、消えた。
2012年度 妄想ペナント
No.18 『一ノ瀬と二宮2』
※これはフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※検索よけのために、名称を一部変えています。
例)スワ□ーズ → スワロース
//////////////////////////////////
マソンスタジアムの最寄り駅を降りると、風が潮の味がした。
やや風が強い。海から陸に向けて吹き抜けてくる。
これが話に聞くマソン風か、と二宮は思った。
マソスタに吹く風はマソン風と呼ばれ、マソスタは野外球場であり、しかも海にかなり近いため、秒速10mを超えることも珍しくない。(参考:wikipesdia)
本来なら外野まで飛ぶような打球が内野まで押し戻されたり、投手の投げた球が予想外の変化をすることは日常茶飯事であり、
しかも球場の構造上、球場上空とフィールド上では風向が異なるという現象が起こるため、多くの選手がこの風に悩まされるという。
一ノ瀬にとって、有利に働いてくれればいいが。
二宮はそんなことを思いながら、スタジアムに向かう。
「二宮。早かったね」
球場周りを走り込みをしている一ノ瀬が、スタジアムに到着した二宮を見つけた。
まだスワロースの練習時間まで時間がある。
「おつかれっす」
そう答えながら、登板当日にこんなに早くアップをし始めてだいじょうぶなのだろうか、と二宮は不安になった。
あまりに勝てない日が続いて、正常な判断ができなくなっているのだろうか。
汗をかくほどのアップではないにしても、ただでさえスタミナ不足なのにと心配になってしまう。
「さっそく打ち合わせしよう。もう聞いているだろうけど、今日は君と僕とのバッテリーだ」
「わかってます。俺は一ノ瀬さんを勝たせるために来たんですから」
試合が始まった。
風は味方してくれている。
それでも毎回のようにランナーを出す綱渡りのようなピッチング。
その原因はストレートの走りだ。
変化球は直球があってこそ。
ストレートを待って、変化球に対応するということが容易になる。
それでも一ノ瀬は気持ちで振り切る。
ランナーを出してからの集中力は健在だ。
「二宮と一ノ瀬はポジションと性格が逆だな」
名前ももうよく思い出せない先輩が言っていたセリフを、二宮は思い返していた。
ピッチャーはプライドが高くて変わり者。
キャッチャーは責任感が強く、冷静で理屈もの。
そんなふうに言われている。
ピッチャーである一ノ瀬は、勉強家で、一つ年が違うだけとは思えない落ち着きがある。
二宮は直情的で、話しかけづらい孤高さがある。
(一ノ瀬さんが投手向きの性格じゃないって? よく言うぜ
あんなに負けず嫌いで野球にストイックな変態は見たことがない)
その時の二宮はそう思ったものだ。
試合は乱打戦となりつつあった。
互いのピッチャーが多く安打を許している。
一ノ瀬は踏ん張り、スワロースはうまく得点につなげていった。
気付けば6回表を迎えて、
ヤ 5対0 □
この点差があれば、完投だって狙える。
この完投勝利で、一ノ瀬の本来のピッチングが戻ってくるかも知れない。
その時の二宮はそう思っていた。
その6回表の守備、2アウトを取り、あと1アウトでこの回も無失点で抑えられるというときに急に一ノ瀬の制球が定まらなくなった。
連続フォアボール、2アウト1,2塁のピンチ。
そのあと次の打者に簡単にヒットを打たれ、1点を奪われてしまった。
二宮が一ノ瀬にのもとに駆け寄ろうとすると、一ノ瀬は二宮を見ず、ベンチの方向を見ていた。
その視線を追うと、コーチがマウンドに向かってくるところだった。
ピッチャー交代。
6回を投げ8安打、さらに四球3つ。
要所を締めたと言えるが、とても合格と言える内容ではない。
1失点で済んだのが不思議なくらいだ。
(それでも無失点で抑えて100球も投げていないピッチャーを
4点リードしているこの状況で、しかもあと1アウトでこの回が終わるというときに代えるか?
塁を汚して帰るというのが、どれだけピッチャーの自尊心に障るかということを知らないわけじゃないだろ)
そう心の中で思っても監督の決定は絶対だ。
冷静に考えても、負けがこんでいるピッチャーに託せる場面でもない。
それに、ここで逆転でもされたら、一ノ瀬は立ち直れないほどのダメージを追うだろう。
一ノ瀬はマウンドを降りた。
二宮には納得いかなかった。
あんたはそんなにマウンドを譲るようなピッチャーじゃなかったはずだ。
そんな思いは筋違いだと二宮は知っている。
それでも二宮は納得いかなかった。
集中力を欠いた二宮は、7回に集中打を浴び1点を献上。
なお満塁のピンチ。
ヤ 5-2 □
『俺は一ノ瀬さんを勝たせるために来たんですから』
二宮はふと自分のセリフを思い返す。
ここはプロのマウンド。幾つもの心理戦が交わされる場。
そこで生半可な組み立てをしたら打たれるに決まっている。
俺のせいで負ける。
一ノ瀬さんが、チームが。
あんな絶不調の中、6回を1失点で抑えた一ノ瀬さんのがんばりに応えないやつは男じゃねぇ。
二宮は目を覚ました。
そして、二宮は8回まで無安打無失点のリードを演出する。
9回表には左中間を深々とやぶる2ベースヒットを放ち、これで3安打プロ初となる猛打賞。
待望の追加点を加え、4点リード
ヤ 6-2 □
9回裏。
ここを抑えれば、一ノ瀬に待望の今季初勝利が手に入る。
0勝5敗で苦しんできた一ノ瀬に光明が差すだろう。
が、野球は筋書き通りにいかない。
ここで連投になっているイムを休ませる意味で、登板したルーキー羽田が大誤算。
連続フォアボールで1アウトも取れずに降板、ノーアウト1,2塁。
ここでやむなくイムを投入。
イムは疲れからか、本来のピッチングではなかった。
代え際の初球をとらえられ、羽田が出したランナーが全員帰ってしまった。
ヤ 6-4 □
このあと2アウトをとるが、2安打を打たれ、1失点。
ヤ 6-5 □
点差はわずかに1点となってしまった。
なおも1,3塁のピンチを迎える。
二宮は祈るような気持ちでミットを構えていたように思う。
この試合がどんなにひどい試合だったとしても良い。
あと一つ、あと一球で試合が終わり、すべてが丸く収まる。
野球の神様はどれだけ残酷なのだろうか。
二宮、痛恨の同点パスボール。
一ノ瀬の勝利は、消えた。
二宮、一ノ瀬を勝たせたい思いが強すぎて固くなってたのか…
今年の球児の残像が…
ホント筋書きなさすぎですよ…
この試合から一ノ瀬の投球はどんどん下降線を辿って行った
という筋書きにはならないように
噂のバッテリーになるかもwww
ただ二宮はまだ若いので年上のピッチャー
(イムなど)とはあまり組ませない方が良いと
思います。
要するに一ノ瀬がマウンド降りたらキャッチャーも変えた方がいいってことですね
未だ未勝利なのは、一ノ瀬さんの心の問題か、はたまた、二宮さんの守備の粗さ、リードの未熟さなんでしょうか…
ですが途中までの二宮さんの好リードと、一ノ瀬さんの粘投は明るい材料ですね。
それに、二宮さんも改善点は見つかりましたし。
目指せ3年連続二桁勝利!
球児さん…(;;)たしかに似てる…球児さんのほうがかなり悲劇だったけど。
今回は絶対勝てる!一ノ瀬に悲願の初勝利が!と思ったんだけどね。
まさか5対0から追いつかれるとは(--;)
本当にこのまま下降していって無勝利で終わるんじゃないかって心配になってきたよ!
☆regolithさん
そうなんだよね…一ノ瀬と一緒に交代させようと思ったんだけど、
二宮が打ちまくってたからもったいないと思っちゃったんだよね(^^;)
一ノ瀬と二宮の相性が予想以上にいいってことが分かったから、次もバッテリー組ませようと思うよ!
☆オッカさん
去年までみたいにポンポンアウトが取れないけど、一ノ瀬に粘りが出てきた感じがするよ!
初バッテリーでここまでできたんだし、次はもっといけるはず!
5月も半ばで厳しいけど、まだまだチャンスはあるから二桁勝利してほしいよ(><)○