パワプロでROOKIES

漫画ROOKIESのメンバーがプロになったら、どんな活躍を見せるのか!? パワプロで選手を作りペナントに参加させます!

妄想ペナント進行中(/・ω・) 毎週土曜日に更新!

ブログタイトル
ROOKIESでは安仁屋、新庄、関川、河埜、江夏、川上、別所、森が活躍中。
ほとんどが能力低いので2軍暮らしだったけど、ぼちぼち活躍する選手が出てきはじめたよ。
と思ったら、データ消えた…。
今は新しいシリーズを考え中!

記事のタイトルを入力してください(必須)

2011年09月19日 | パワプロSS

ドリキャプ HDMI or D端子キャプチャーカード PCI Express (x1)接続 DC-HD1
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=wakic-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=B007JQVVDI" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

2010 新製品ライト NEWパワフルスイング グリップ付きバット型スイング練習器(ドライバー用) GF-100 「ゴルフ練習用品」
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=wakic-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=B0043DBP90" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

ワイヤレスコントローラ (DUALSHOCK3) ブラック


5夜連続!早川あおいSS No.5

2010年02月10日 | パワプロSS
息切れ <(; ̄ ・ ̄)=3 フゥ...

5回くらい書けば、キリがいいところまで書けるんじゃね?
と思ってたけど、全然そんなことなかったんだZE。

連続にはならなかったけど、とりあえずギリギリ5夜連続って事で
ひとまず、このシリーズは終わりにしたいと思うよ。
すんごい中途半端だけどね!
気が向いたらまた書くよ。


ちなみに明日は土曜日だけど更新はお休みするよ(^^;)


というわけで、
就職&論文提出をあおいちゃんに祝ってもらおう企画!


パワプロSS
『早川あおいの一生』No.5

はじまりはじまりー(^◇^)



////////////////////////////




早川あおいが保育園に入って初めて起こした事件は、男の子に放った強烈な右ストレートだった。
そのパンチを顔面で受けきった男の子は、まるで映画の1シーンのように鼻から鮮血を出して倒れた。
そのシーンの一部始終を目撃した、あおいのスミレ組を受け持っていた保母の神木唯は、
この子はなんてキレイなフォームで重たいストレートを打つんだろう、と思った。
「いやいや、そうじゃなくて」
2歳児のパンチの将来性に惚れ惚れしている場合じゃなくて止めなきゃ、と唯は思い直して、
なおも追い打ちをかけようとしている早川あおいを抱き上げた。
殴られた痛みと血を流したショックでパニックになっている男には、もう一人の保母さんが看護してくれた。
魔の2歳児とはいえ、どうして私のクラスはこうもケンカが多いのだろう、と唯はため息をついた。

「殴っちゃダメでしょ。殴られた方は痛いんだよ?」
唯はあおいをしかるが、あおいは口を閉じたままそっぽを向く。
「『ハン、誰がお前の言うこと聞くかよ』って顔してるわね…」
しかるのは感情的にもなってはいけないし、怒っていることを相手に伝えなくてはいけない。
そう習ったけれど、言うは易く行うは難し。
いっこうに分かってくれないあおいに対して疲れを感じていた。


唯はアパートに帰るなり、ベッドに倒れ込む。
シャワーを浴びてすっきりしたいけれど、疲れて動きたくない。
眠りたい。
本土に憧れて本土の短大を受けて、保母になる夢も叶えて
すべてが順風満帆にいっていたように思うけれど、
人の子供を預かるということがどれだけハードワークで責任があるか
ということをどこかで見過ごしていたのかもしれない。
「島に帰りたい…」
弱音が出る。


翌日の夕方、殴られた男の子の親御さんが来ていた。
嫌な予感がする。
「早川さんのお母様に会わせてください。お話がしたいんです」
来た。
だいぶやんわり言ってきてくれたけれど、親御さんの目は「お宅の園はどうなってるんですか」と非難の目をしている。
「申し訳ございません。私どもの目の不届きゆえにこんなことになってしまって」
魔の2歳児で子供同士のことだから防ぎきれない部分はあってもしょうがない、では親としてはそれで済まない。
今回は男の子だったし、さすがに2歳児のケンカだから骨折まではいかず、
傷もなかったからよかったものの、親としては気が気ではなかったろうと思う。
「今回だけの話じゃないんですよ」
と親御さんが言う。
「早川さんには他のお子さんも被害にあっているということじゃないですか。
 こうなると園の体制というより、早川さん自身の問題です。
 他の保護者の方を代表して、私がお話させていただくことになりました」

早川あやめは仕事を早めに切りあげて駆けつけてきた。
今の不況のご時世では、仕事を早退するのも大変だ。
それでもあやめは嫌な顔せず、保護者の前に立つなりひたすら頭を下げていた。
あやめとしては、なんとか入れた公立保育園を追い出されるのだけは避けたかった。
それに、あおいが同じように傷つけられたらと思うと、その気持ちは十分に察せられた。
「女手ひとつで、仕事もこなしていかないといけない大変さはお察ししますけれど、
 もうちょっとお子さんのことに関心を向けてあげてもいいんじゃない?」
なんて無遠慮な言葉なんだろう、と唯は思った。
それでも、あやめは表情を変えず頭を下げていた。

ある日、あおいは唯の前に言いづらそうな顔して立っていた。
「どうしたの?」
「ぼく、わるい子?」
親が怒られるシーンを目の当たりにしたから、相当こたえたのだろう。
本当に反省しているようだ。
「あおいちゃん。どうしてケンカするのか教えてくれる?」
あおいは唯の問にもじもじとして、言葉を一生懸命選んでいる。
「おかあさん、まもるの」
「おかあさんをまもる?」
あおいは2語話せるとはいえ、意味をくみ取りにくい。
唯はあおいが伝えたいことを聞き取れるように真剣に話を聞いた。

話を要約するとこう。

おかあさんが仕事が大変

私が守る。

強くならないとダメ

正義のヒーローになればいい

わるいことした人を倒す



よくもまあ、生まれてきて2年そこそこしか経っていない子が、
親の背中を見て、そこまで考えるものだと感心した。
「人を殴るのはいけないことだよね」
唯の言葉に、あおいは頷く。
「もう殴ったりしないって約束できる?」
あおいは首をかしげ悩んでいる。
正直なやつめ、と唯は笑った。
「少しずつ直していこうね。お母さんを守るんだったら、暴力じゃなくて優しさが必要になってくるんだよ」
あおいは頭にクエスチョンを浮かべながらも、頷いた。
「そのうちわかるよ」
唯はあおいの頭をなでる。
「本当に強い人っていうのは、今のあおいちゃんみたいにわるいことしたときに
 素直にあやまれる人だって先生はおもうなぁ」


唯は、園児を全部返したあと、雑務を片付けながら今回の件について思い返していた。
保護者があやめを問い詰めに来た時、
いつかこうなる日が来るんじゃないか、と思っていた部分があった。
問題児だからしょうがない。
そうあきらめてきた。
責任逃れをしている自分の心に気づき、唯は、しっかりしろ、と自分に言い聞かす。
こういう事態を防げなかったのは自分のせい。
早川さんだって、あおいちゃんだって、精一杯やっている。
人のせいにするなんて、まだまだ保母として半人前だ。
好きで選んだこの仕事、まだまだ私はがんばれる。
唯は自分に渇を入れ、この仕事が終わって家に帰ってたら部屋の掃除をしようと思った。

5夜連続!早川あおいSS No.4

2010年02月10日 | パワプロSS
祝日だからオールして遊んでいたら、気づけばお昼過ぎ。
でもまだ2月10日の夜は続いてるんだぜ!って言い張ってみる。

オールでなにやってたのかって言うと、
鍋したり、桃鉄やったり、だべったり、

そして、恒例のパワプロ勝負!


ぼく 2-4 友人

負けた…

やたらホームラン打たれるんだけど、なんで?
逆転3ランとか勘弁して
って言ったら
配球読み安すぎw、って言われたよ。
そーだったんだ!

というわけで、
就職&論文提出をあおいちゃんに祝ってもらおう企画!

パワプロSS
『早川あおいの一生』No.4

はじまりはじまりー(^◇^)



////////////////////////////


あおいが生まれてから2週間後、卒業式を迎えた。
出席日数もぎりぎり2/3出席でき、ゼミの教授のサポートがあって論文も提出できた。
これで私の学生生活が終わる。

卒業式は晴れやかな着物であふれかえっていた。
楽しそうにおしゃべりをして、将来にときめいて、きらきら輝いている。

私はお金も心の余裕もなかったから、入学式に着ていたスーツ。
夜中も度々授乳で起こされ睡眠不足になって目元にはクマができた。
髪の毛も肌も荒れている。

周りの友人たちがうらやましくない、って言ったらウソになるけど、後悔はしていない。
これが私の選んだ人生。
そして、これからが本当の戦いが始まる。



生後8ヶ月を過ぎたころ、他の赤ちゃんと同じようにあおいもハイハイを覚えた。
ただ、他の赤ちゃんと違うところは、やたらハイハイのスピードが速いというところ。
そのスピードを本人が制御できないらしく、よく壁とかにぶつかる。
おまえはイノシシかピンボールかというツッコミをする余裕がないくらい焦る。
鼻血が出る。女の子なのに顔がゆがんだらどうしよう。

きっと退屈しているのだろうと思って、おもちゃを買いにいくことにした。
いろんなものがあってビックリ。
パズル、ブロック、音と光がでる立体絵本。
時代の進化はすごいと思った。
昔、自分が何をして遊んだのかよく覚えていない。
ここから何を選べばいいんだろう。
とりあえず手にとって表示を見ると、対象月齢が書いてある。助かる。

一緒にいてあげる時間が少ないから、高めのおもちゃを買ってあげようと思う。
この手押し車なんか楽しそう。
押すと音が出て、ピカピカ光る。
ぶつかっても頑丈そうだし、重心が低いから転倒も少なそうだ。

値段を見たら、9500円。
え、なにこれ?
子どものおもちゃなのに、なんでこんなに高いの?

比較的値段が安めのガラガラ、積み木、太鼓の3タイプから
あおいに一通り遊んでもらってから選んでもらったら
2000円の太鼓(ドラムタイプ)になった。
これでもかなり奮発した。
1週間一人分の食事代になる…。

これもあおいのため、と思えば、なんてことはない。
おもちゃは、運動機能や感覚器官を伸ばすのに大きく役立っていいて、知育にもいいらしい。
なにより、私は子どもができたらのびのびと遊ばせてあげようと思っていた。
これであおいが楽しんでくれるならそれでいい。

…。
10分で飽きた。
太鼓はひっくりかえっていて、見向きもされていない。
育児は思い通りにいかないことの連続とはよく言ったものだと思う。
母の思惑など、これっぽちもくみ取ってくれない。

あおいはテレビの方にハイハイし始め、そのままテレビ下のビデオラックに潜り込んだ。

コロコロと野球ボールが転がり出てくる。
これは秀一さんが私にプロポーズしてくれたときにくれたホームランボール。

私はいつでも秀一さんのプロポーズを受けるつもりでいたのに、
「今日試合があるんだ。その試合でホームランを打ったらつきあって欲しい」
男の人って、こういうキッカケがいるのかな、と思って、うんってうなづいたけど、
秀一さんは一発を狙うタイプじゃなくて、カットして粘って流し方向にヒットを打ったりする巧打タイプ。
その日は一発狙いで、大きくバッドを振り、淡白なバッティングを繰り返していた。
いよいよ最終打席になって、これで打てなかったら、告白してくれないのかな、
今さら私の方から言ったらプライドが傷つくかな、どうしよう、なんてハラハラしてた。

あの人はずっと相手ピッチャーの決め球を狙っていたんだと思う。
平方カウントで追い詰められて、決め球のフォークを投げてきたところを真芯でとらえた。
あの人らしいホームラン。
そして小説でもありえないような逆転3ランホームランのボールを私にプレゼントしてくれた。
あまりにも遠くに飛ばしすぎて、拾いに行くのが大変だったって言っていた。

あおいはそのボールにじゃれついている。
うえにのったり、転がしたり、追いかけっこしたり。
この子はあの人の子なんだな、なんて今さらながら思った。

この子は私が用意したおもちゃなんか目もくれなかったし、
これからもきっと、私の考えるよりももっと違う方向に行くかもしれないけれど、
この子がどんな道を選んだとしても、私は精一杯応援してあげようと、心に固く誓った。


//////////////////////////

拍手おへんじ

☆カリートさん
>早川あおいSS期待してまっす。他の人が書く早川親子ってのも、良いものですねッ
ありがとうございます!
カリートさんみたいな文章を目指しているんですけれど、
なかなかうまくいかないものですねぇ(^^;)
でもSS楽しす!

5夜連続!早川あおいSS No.3

2010年02月09日 | パワプロSS
なんか、あおいちゃんがメインのSSなはずなのに、
あおい母を書いてることが楽しくなっちゃって
肝心のあおいちゃんがなかなか生まれてこないトラップ。
No.3にしてようやく出産。

構成は大事だね!


というわけで今日も
就職&論文提出をあおいちゃんに祝ってもらおう企画!

パワプロSS
『早川あおいの一生』No.3

はじまりはじまりー(^◇^)



////////////////////////////



子どもが生まれる瞬間はもっとうれしいものかと思ってた。
産声を聞きながら言葉も無く、凄まじい痛みから解放されたという感じのあと、
すぐに、ああこの子を育てなくてはいけないんだ、という重圧感のようなものが、あやめの上に覆い被さってきた。
私は愛情が欠けた薄情な母親なのだろうか。冷徹な女なのだろうか。
そんな私がこの子を愛し続けることができるのか。
そんな感情があやめの中に渦巻いていた。

でも、それは杞憂だった。

1時間後、痛みが落ち着き、疲労も回復し、ようやく意識がはっきりし始めたころ、
すっかりへこんだお腹をなでて、本当に子どもを産んだんだという気持ちになった。
そしたら、急に会いたくなった。
ふらふらする足をひきずりながら、新生児室に向かい、
そこですやすや寝ている我が子の姿を見た。

愛おしい。

これが愛おしいという感情なんだ、とあやめは思った。

「あおい」
名前を呼んでみる。
「あおい、あおい、あおい、あおい…」
気がついたら涙が流れていた。
命あるものすべてに感謝したくなった。
私が守る。私が幸せにしてみせる。
月並みだけど、
生まれてきてくれてありがとう。
私のところに来てくれてありがとう。
本当にそう思えた。

「早川さん」
声がする方を向くと看護婦さんが立っていた。
加藤京子。入院してからずっとあやめのことを担当してくれた看護婦だ。
「術後直後は安静にしてないとダメですよ」
たしなめるように言う。
「あ…、すみません、どうしても会いたくなってしまって」
「お気持ちは分かりますけど、その時は付き添いますから私を呼んでくださいね」
加藤さんは微笑みながら言う。
笑顔が似合う人。若く見えるのに、とても落ち着いて見える。
「お子さん見つかりました?」
「ええ。あそこですよね」
「かわいいですね。意志の強そうなきれいな目をしている」
「そうですか?」
そう言われるとそんな気がしてくる。
自分がほめられているようなムズかゆさ。
これが母になったってことだろうか、なんて思いながら。
「本当、私のところに生まれてきてくれてうれしいです。
 目に入れても痛くない、なんて、こういう気持ちなんですね」
「あおいちゃん、うらやましいです。そんなに愛されて。きっと幸せでしょうね」
「そんな。あなたもきっとご両親に同じくらい愛されていると思いますよ」
「そうでしょうか」
そう答えた加藤京子の顔から一瞬だけ表情が消えた。
なにか、傷つけるようなことを言ってしまったのだろうか。
そんなことを思って、あやめは加藤京子の顔を見ていると、
「あ、ごめんなさい」
その視線に気づいて、加藤京子はもとの表情に戻る。
「つい昔のことを思い出してしまって。私は両親の顔、知らないんです
 物心ついたら、姉とふたりっきりでした」
「え、そうなんですか」
そんなふうには見えない。
愛情をいっぱいうけて育ったような、そんなイメージだったから。
「産婦人科にうつって、幸せそうなお母さんたちを見ていると、
 私は両親にどう思われていたんだろう、って考えてしまうんです」
「…すみません」
「とんでもない! 私の方こそ、早川さんにこんな話をしてしまうなんて…、すみません。
 きっと何かわけがあったんだと今なら思います。
 それに、私たちを預かり育ててくれた方(ダイジョーブ博士)がいるんです。
 その方のおかげで高校や大学にも行けて、今の私があります。
 本当の父は知らなくても、あの人が私の父だと思っています」

幸せそうに生きている人でも、人それぞれ、なにかしら過去を乗り越えて今があるんだと思った。
私もこれから乗り越えるべき事がたくさん出てくるだろう。
そして、あおいにも。




つづく


//////////////////////////

拍手おへんじ

>全然良いですよ!僕にとってはこのwakicさんのブログだけが一日の楽しみです!
>猪狩がチョー気になりますw
ありがとー(^^)v そう言ってくれると嬉しいよ!
猪狩はこのあと出てくるのか未定(^^;)

5夜連続!早川あおいSS No.2

2010年02月08日 | パワプロSS
SS(二次小説)ってチョーむずい(- -;)
これだけの文章書くだけで、2~3時間かかるよ!
というか、SSってこんな感じでいいのかな?
書き方わからないよ!

5夜連続!とか言っちゃったけどやりとげられるかすごい心配(^^;)
でも頑張る!

こんな小説にコメントと拍手くれた方々、本当にありがとぉ(^^)/
とっても励みになるよ!



というわけで今日も
就職&論文提出をあおいちゃんに祝ってもらおう企画!

パワプロSS
『早川あおいの一生』No.2

はじまりはじまりー(^◇^)


//////////////////////////////////////////





わたあめがフワフワ空を飛んでいる。
海はブルーのゼリーで、砂糖菓子の飛行機。
そんな子供のころ思い描いていたような、お菓子の国の夢の中をたゆたってる。

目を覚ますと、白い天井、消毒臭いベッド。
夢の世界はあっという間にどっか行ってしまった。

「もっと見たかったのにな」

ここは病院だろうか。
なんでここにいるんだろう。
思い返してみるが、記憶がぼやけている。

「あやめさん」
声がする方を見ると、お義父さんがいた。
「倒れたって聞いて…、よかった」

涙目でこちらを見ている。
そうだ、私は倒れたんだ。
バイト中に、突然、気分が悪くなって。
はっと思って、お腹の方を見てみる。
本当になんともないみたい。よかった。

「すみません。ご心配をおかけしました」
起きようとするが、とめられる。
「まだ、寝てなさい。お腹の子に障るよ」
ありがたい言葉。でもそんなことを言ってられない。
今、何時だろうか。このまま一泊してしまったら入院費が高くつく。
親からの仕送りも打ち切られて、アパート代の支払いが迫っている。
バイトもつわりの時期は休みがちだったから、取り戻さないと。

「お金のことは心配しなくていい」
と私の心を見透かしたように言う。
「生まれてくる子のことだけを考えてくれればいい。妊婦が学業とバイトの両立なんて無茶だ。
 バイトは辞めなさい。授業も行ける時だけにしなさい。
 もう7ヶ月。本当なら二週間に一回は検診を受けないといけない時期じゃないか」
「でも…」
最近は安定してきたし、これからのことを考えるとまだまだ蓄えがいる。
お義父さんだって50を過ぎて仕事を見つけられず、ようやくコンビニのバイトで見つけられた。
ここからさらに仕事を増やすのは、お義父さんの身体が心配だ。
私は生活費の他に、学費、診察代がかかる。
それをすべて甘えることなんてできない。

「私は大丈夫です」
「寝なさい」
お義父さんはそんな私をベッドに戻し、布団をかけた。

「もっと俺を頼ってくれないか。
 秀一が帰ってくるまで、役不足だろうけど俺が父親の代理だ。
 君は子を産むという何より大事な仕事を抱えている。
 孫のためのお金の工面くらいさせてもらえないのかい」

涙が一筋、頬を滑って枕にしみた。
言い方が秀一さんそっくりだと思った。
会いたい気持ちがわき出てくる。一生懸命押し殺したはずなのに。

「すまない…」
お義父さんが声を絞るようにして言う。
「俺のせいでこんな、若い二人の将来を奪ってしまうなんて…
 なんて償いをしたらいいか分からない。すまない…」

そうか、と思った。
この人はずっと自分を責めていたんだ。
私はお義父さんを責める気持ちなんて、これっぽっちもないのに。
むしろ、
秀一さんがいない中、こんな状況を支えてくれる人がいるということが、
今までどれだけ心の支えになっていただろうか。

「私は何も奪われていません」
お義父さんの手を握る。
「私にはこの子がいます。この子との未来がある限り、私は十分幸せです。
 それに秀一さんは、必ず帰ってきます!」



とりあえず、お医者さんが検診にくるまで病院に留まることになった。
お義父さんはバイトに行った。
一人になると急に不安がやってくる。
だいじょうぶ。乗り越えられる。
乗り越えなきゃ。

♪ねむれねむれ 母の胸に
 ねむれねむれ 母の手に
 こころよき 歌声に
 むすばずや 楽しゆめ

子守歌が聞こえる。
小鳥がさえずるような歌声。
思わず声の聞こえる方を見る。
隣のベッドで、ビーナスと見間違うほどのブロンドのきれいな髪の女性が
もうすぐ出産間近という感じのお腹をさすりながら、歌っていた。
そこだけ雰囲気が違う。
白い肌、ウェーブかかった髪、真っ白の絹のマタニティドレス。
そこだけキャンパスに描き抜けば、そのまま芸術作品になりそうな。

歌がやむ。

「あら。ごめんなさい」
その声すらも、歌っているような洗練された言葉。
「うるさかったかしら?」

「とんでもない。きれいな歌声だったので」
あわてて弁解する。
そんな気持ちで見ていたわけじゃない。むしろ逆。
「私もそんなふうに歌ってあげたいなって思いました」

「あら、ありがとう」
ふふふ、と笑う。
こんなに完成された女性が世の中にはいるのかと思った。

「この子がね、もうすぐ生まれるの。
 私が子供のころ、母が歌ってくれてた歌を、この子にも聴かせてあげようと思って」

その子はいい子に育つだろうな、と思った。

「私は猪狩静。あなたは?」
「私は、さいほう…、早川あやめです」
「名前はもう決めたの?」
そういえば、まだ決めていなかった。
「私の子供は、守っていうの。男の子だったら守にしようって二人で決めてて、検査で男の子だって分かったから。
 自分が好きになった人を護れるような、そんな優しい人になって欲しいかな、なんて。
 あなたのお子さんと、同級生になるかもしれないね。よろしくね」

「静!」
ドン、と扉が開く音とともに、男の人が静さんの名前を呼んで入ってきた。
「すまない。遅くなってしまった」
夫だろうか。
かなり高そうなスーツに、金に光る腕時計、黒く磨かれた革靴、整えられたヒゲ。
裕福さがにじみ出ている。社長か何かかな。
「あなた、ここは病室なんだから、静かにしなくちゃ」
静さんがたしなめる。
「静、今すぐ個室に移ろう。この病院で一番いい部屋をおさえてきた。
 お腹の子になにかあったら大変だ。こんな狭い部屋じゃ落ち着けないだろう」
「そんなことないわ。私はこの部屋がいいの。だって素敵なお友だちができたんですもの」
静さんは私を見てにっこりとほほえむ。


静さんの夫は帰っていった。
部屋はおさえておくから、気が変わったらいつでも部屋を移動していいんだぞ、と言い残して。
静さんは疲れたのか眠ってしまっている。
彼女の存在感で気づかなかったけれど、周りには果物や花の差し入れが多く置かれていた。
恵まれた人なんだろうな、と思った。
自然と自分と比較してしまう。
私は個室になんか移れないし、夫もやってこない。出産は一人になるだろう。

この子は私の子に生まれて、本当に幸せになれるのだろうか。



つづく


//////////////////////////

拍手おへんじ

☆ボンさん
>え?ごごごご5夜連続ということは明日も明後日も明々後日もその次もって事ですか!!!
>いやーそれにしても続きが気になります!
たぶん、明日も明後日も明明後日も更新するよ!
続きをお楽しみに~(^^)

5夜連続! 早川あおいSS

2010年02月07日 | パワプロSS
就職決まったし、論文も提出したしで、あとは卒業間近だから、
需要ないかもだけど
ずっと書きたかったパワプロの早川あおいちゃんのSSを5夜連続で書いて
就職&論文提出をあおいちゃんに祝ってもらおう企画!

『早川あおいの一生』


はじまりはじまりー(^◇^)


//////////////////////////////////////////



「あ、ハムスター」
二十代になったばかりくらいの若い男女は買う気もないペットショップでぐるぐる回っていて、
女性はまるで子供のようにはしゃいで、犬をなでたり、金魚の水槽をのぞいたり、
今度はハムスターのカゴをのぞいで、かわいー触りたい!と声を上げた。
男性は温かい目で、けれどどこか寂しげな感じで、その女性の様子を見守っていた。
よく見れば、女性の方もどこか無理してはしゃいでいるように見える。

その二人の名前は、早川秀一、西芳寺あやめという。
のちに早川あおいの父と母になる人たちである。

二人は、あやめの両親に挨拶に行った帰りだった。
秀一は高卒の社会人2年目、あやめは大学3年で、あやめが1つ年上。
つきあって2年目。
あやめは親から、「もう3年だから進路について考えているんだろう。こっちに帰ってくるんだろうな?」
と言われ、実は気になる人がいる、その人と一緒になることを考えていると告げた。
それで「とりあえずその人を連れて帰ってきなさい」ということになり、二人はあやめの実家に向かった。
秀一は、手塩にかけた自分の娘をとられるのだから、嫌な顔くらいされるだろうと覚悟はできていたのだけれど、
結果としてはとりつく島もなく追い出された。おまけに塩までかけられて。
「社会人にもなって野球選手になりたいだなんて、君はいつまで夢を見ているつもりだ!」

ふぅ

ため息が出る。
あやめは良家の愛娘、秀一は傾きかけている零細会社の息子。
秀一は自分の境遇とあまりにかけ離れているあやめの家庭を目の当たりにした。
まず、門構えが違う。服装が違う。考え方まで違う。
あんなに大きな庭は初めて見たし、普段着が着物の人も初めて、
大学を出ていないと知っただけで態度を変えられたことも初めてだった。
ご両親に認められなかった自分をふがいないが、
自分という人間を見てもらえなかった悔しさとで、やるせない気持ちになった。

「ハムスター」

物思いにふけっていた秀一に、あやめはハムスターを差し出す。

「かわいいでしょ」

そうだね、と頷きながら、彼女は自分をなぐさめてくれている、と秀一は感じた。
ハムスターはあやめの手のひらでちょこまか動き回り、二足で立ったかと思うと毛つぐろいを始めた。
あやめの気が晴れるなら購入してもいいかな、と思いながら、ハムスターを見ていると、

「ごめんね…」
ハムスターを差し出したまま、顔をふせるようにして、あやめは泣き出した。
「こんなに反対されるなんて思わなかった」

あやめが言うには、親に説明するために、少し脚色をして秀一のことを伝えていたらしい。
容姿端麗、礼儀正しく、スポーツ万能、会社の息子で将来有望…

「嘘はついてないよ」
それが彼女の言い分。
彼女の言からイメージしたであろう自分の姿と、実際の姿があまりにかけ離れていることが、
今回の件で、余計に油に火を注ぐ結果になったであろうことは、秀一にも容易に推測できた。
会社の息子と言っても、その会社というのは下請けの下請けのような土方屋で、明日の身も危うく、
スポーツ万能というのも、高校野球でプロから声がかからず、
社会人になっても夢が捨てられなくて、社会人野球にせいを出しているだけ。

「でも会えば、きっと分かってくれると思ってたから…」


ペットショップを出て、さてこれからどうしたものかと思いながら、
とりあえず家に向かっていると、となりを歩いていたあやめの姿がない。
うしろを向くと、数メートル後方で立ち尽くしていた。

「どうしたんだ」

秀一はあやめの方に駆け寄る。
あやめはそんな秀一の手を取り、自分のおなかに手を当てさせる。

「本当はこんなタイミングじゃなくて、お母さんとお父さんの前で言いたかったんだけど」
秀一の手を握るあやめの手は震えている
「できたの。赤ちゃん」

秀一は驚いて声がでない。
子供? 自分が父親になる?
社会人になったばかりの半人前で、収入も少なくて、
人に誇れるようなキャリアもなく、さきほど両親に話すら満足にできずに追い返され、
なにより、まだ夢をあきらめきれない自分がいる。

「いやだった?」
「そんなことない。うれしいよ。ただ、」
心の準備が。そう言いかけたところで、
「早川君」
呼び止められる。
声がする方を向くと、ニット帽をかぶりヒゲを生やした中年男性が立っていた。
「影山さん」
スカウトの影山氏だった。
「こんなところで会えるとは。よかった。ちょうど今、君の家に向かおうとしていたところなんだよ」
「私の家にですか? それはわざわざ」
「君にしっかりこの話をしておきたくてね。今、時間いいかね」
あやめを見るが、あやめは気にしないでという感じで笑って顔を振った。
「今度のドラフトで君を指名することがほぼ内定したんだ」
「本当ですか!?」
念願の夢。
秀一はわきあがる喜びを隠せない。
「ああ。君は実に数年間で成長した。バッティングセンス、地肩の強さを持っていたが、
 それに加え、守備や走塁技術、状況に応じたバッティングができるようになった。
 君は一級品だが、知名度が低い。なるべく上位指名するように掛け合っているが、
 君の希望に添えないかもしれない。それでも我がスワロースに来てもらいたいと思っている」
「もちろんです。ありがとうございます。身に余る光栄です」
「ありがとう。そう言ってくれるとうれしいよ」
影山氏は高校時代から目をかけてくれていた。
願ってもない話だ。
「詳しい話は、もっとあとになると思う。また寄らせてもらうよ」
影山氏は去っていった。

「やったね!」
あやめは我がことのように、秀一の手をとって飛び跳ねて喜ぶ。
そんなあやめを秀一は抱き寄せた。
「ありがとう。頑張るよ。君と、生まれてくる子のために」


家に着くと、何か雰囲気が違っていた。
仕事場と家が一緒なので、建築で使う機材やらが庭を占拠していた。
トラックが何台も止まっていて、いつもと何かと騒がしいのに、それがない。
トラックが一台もない、機材や資材もない。ひと気もない。
ガランとした家。空っぽになった仕事場。
その中央にに秀一の父と、スーツの女性が立っている。

「なにごとですか?」

秀一はスーツの女性に尋ねる。女性は振り向く。
真っ赤なルージュの唇、ウェーブかかった髪、いかにも敏腕OLというイメージの人。

「早川秀一さんですね?」

ええ、と答えると、スーツの女性は名刺を差し出す。
「神高燐と申します。ちょうどよかったですわ。あなたの話をしていたところなんですよ」
父はうつむいたまま、こちらに目を合わせようとしない

「単刀直入にいいますと、あなたの会社が倒産しました」

神高の言葉に、秀一は耳を疑った。
危ないとは思っていたけれど、まさか自分がしらないところでこんなに追い込まれていたなんて。

「それで、あなたの会社には多くの負債を抱えていらっしゃいます。
 多くの所から、銀行をはじめ、ローン会社、街金…」
この女性は借金の取り立てにきたのか。
「おいくらですか」
「合わせると、一億、とんで859万円ですね」
くらっときた。
そんなに火の車だったのか。
「そんなバカな。信じられない」
「心中お察ししますわ」
「親父。どういうことだよ」
「秀一、すまない」
父親はうつむいたまま、そう言うにとどまった。
父を問い詰めてもどうにもならないことは分かっている。
けれど、秀一はあまりのことに父親に説明を求めるしかない。

「ご安心下さい」
神高は言葉を続ける。
「私どもがあなた方のの負債を全額請け負いましたから」
「は?」
秀一は狐につままれたような顔で、そう言葉を発することしかできない。
目の前にいる女性は赤の他人で、面識すらない女性が、俺達の借金を肩代わりするなんて。
「もちろんただではありません。あなたに全額返済していただきますから」
「俺に? とてもじゃないが今払う当ては」
「今はなくても、これからならありますよね? 早川秀一さん。
 社会人野球で名をはせているあなたなら、もうどこかの球団が接触しているんじゃないですか?」
その言葉を聞いてはっとする。
「野球で得た契約金や年俸で支払っていけという話ですか」

「悪い話ではないでしょう? あなたは好きな野球ができて、多額の借金が返せるのですから。
 その代わり、私がスポンサーになっている球団に入団してもらい、給与と財産は管理させてもらいますが」

あやめを見ると、震えている。
こんな状況に出くわして怯えているのだろう。
秀一は、あやめと、お腹の子を守らなくては、と思った。

一瞬、脳裏に影山氏の顔が浮かんだ。
それでも秀一は、神高の提案を受け入れた。
それが、悪魔のささやきだともしらずに…。



つづく