東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

『杉並清掃工場閉鎖と解体前清掃委託の報告』 /清掃技報(第13号 平成25年)

2013年07月11日 21時52分02秒 | 東京23区のごみ

連日の猛暑の中、7月11日、清掃一組と区民との意見交換会が杉並清掃工場建替工事の現場にて開催された。清掃工場解体時の「解体前清掃」がとても気になっていたのだが、すでに、杉並では解体前清掃が終了しているとのこと。「杉並清掃工場閉鎖と解体前清掃委託の報告」が清掃技報(第13号 平成25年)に掲載されていた。現在稼働中の清掃工場も、いずれ老朽化し、閉鎖なり、建替えのための解体工事が行われる。そのときのために、住民サイドでは、解体にともなう環境汚染がおきないように、可能な限りの環境負荷低減のために、どういう監視ができるのだろうか。杉並の報告を、清掃技報から、そのまま転載し記録する。(解体前清掃、30年間の積もり積もったダイオキシン類や重金属類、漠然と不安に思っていたが、この報告で、いろんな取組を行っているということがわかった。)


清掃技報(第13号 平成25年)
□ 報告 □
3-148-13

杉並清掃工場閉鎖と解体前清掃委託の報告

 

秋葉 和夫  小椋 裕
施設管理部杉並工場施設引継担当



 杉並清掃工場の建替えにともない、閉鎖までの作業をどのように行ってきたか、またごみ・薬品・備品等の残材処理の留意点を報告すると共に、解体前清掃委託の経過や発生した問題点の詳細な事例を報告する。

1. はじめに
 杉並清掃工場(以下「当工場」という。)は、昭和54年12月に着工し昭和57年12月にしゅん工した。東京二十三区清掃一部事務組合(以下「清掃一組」という。)において稼働中の清掃工場の中で一番古い工場となっていた。その間、大規模改修工事が何回か行われたが、しゅん工後30年程度経過することで、建物やプラントは老朽化が進んでいた。
 一般廃棄物処理基本計画に基づき建替えが決定し、平成24年1月31日にごみ搬入を停止、平成24年2月10日にごみ焼却を停止して、平成23年3月31日をもって閉鎖となった。本稿では主に、閉鎖前に行った閉鎖に関連する職務と、その後の当工場の引継担当7名が行った解体前清掃委託の監督業務やその他の残務処理などについて報告する。

2. 閉鎖までの概要
 平成24年9月末までの解体前清掃委託期間を含めた閉鎖計画(案)は、平成23年5月に各係から3名程度を選出して総勢10人で閉鎖計画プロジェクトチーム(以下「PT」という。)組織し、閉鎖までに行われなくてはならない業務と、閉鎖後、解体前清掃当を行い建設部に引き継ぐまでを策定したものである。
 解体前清掃までの計画は、①備品、消耗品の整理と各工場への配布、②書類の整理、③平成24年1月末日のごみ搬入停止、④2月初旬のごみ焼却停止、⑤3月末までに行わなければならないごみバンカ・灰バンカの清掃、⑥使用しなくなった機器の油抜きと薬剤処理、⑦閉鎖にともなう官庁関係書類提出の完了となっている。
 工場閉鎖までに、PTで会議を10回程度開催し、閉鎖に向けての様々な問題や工程について検討を行った。また、関係部署との協議を数回行った。

3. ごみ焼却停止から工場閉鎖までの対応と主な留意点
3-1 主な留意点
 留意点として下記の3点が挙げられる。
(1) 焼却停止までに、ごみバンカのごみ残量をできる限り減少させること(他工場への搬出分をいかに減らせるか。)
(2) アンモニア、尿素、活性炭などの薬品類をいかに減らしていくか(汚水処理設備運転に必要な薬品は除く。)
(3) ごみ焼却停止以降使用しない備品、消耗品の整理処分をどの程度実行できるか。
3-2 ごみバンカのごみの処理
 当工場の場合、搬入停止が平成24年1月31日と決定していたため、大きなトラブルがない限り焼却停止の閉鎖計画は予定どおりに進むはずである。しかし当工場は運転管理を委託しているため、工場側と受託者の意思疎通や情報の共有という点でスムーズに作業が進行するか多少の不安があった。
 そのため、運転委託会議や引継、その他臨時の打合せを頻繁に実施して意見調整し、お互いに作業の確認をして安全確実な焼却停止に向けたごみバンカのごみ残量の調整を行った。
 ごみバンカのごみの最終処理の流れは、まず通常のごみクレーン操作方法でごみが掴めなくなるまで掴み、ごみ焼却をしていく。次にクレーンの爪に、爪の間からごみが漏れないようにかき寄せ用の鉄板を取り付けて細かいごみも焼却していく(図-1参照)。ごみクレーンで掴める最後のごみを焼却炉に投入してごみ焼却がすべて終了した後、ごみバンカ清掃委託業者がごみバンカの底部に降りて、クレーンで掴み取ることができなくなったごみをかき集め、フレキシブルコンテナバッグ(以下「フレコンバッグ」という。)に詰め込み、他工場搬出する。
 ごみバンカの清掃工程は、以下の通りである。
(1) ごみバンカ内に換気装置を設置する。
(2) ごみバンカの底部まで仮設階段を設置する。
(3) ごみかき寄せ用の小型油圧シャベルをバンカ底部に降ろす。
(4) 小型油圧シャベルや作業員のスコップなどでフレコンバッグに詰込む。
(5) フレコンバッグをバンカ底部からプラットホームにごみクレーンで運搬する。
(6) クレーン付トラックでフレコンバッグを残灰車に積み込み、他工場へ運搬する。他工場へ搬出したフレコンバッグの総数は98個にのぼった。
3-3 ごみバンカのごみの処理と灰バンカの清掃の留意点
 ごみバンカごみの処理と灰バンカの清掃のあたり、次のことがらに留意した。
(1) 焼却停止日までの焼却計画、とくに2炉運転期間をいつまで実施するか。また、1炉運転期間をどの程度見込むか、焼却計画に基づくごみ搬入量とごみバンカのごみ残量管理が必要である。
(2) ごみバンカの底のごみは、古いごみが多く燃焼が不安定になりやすい。当工場では平成23年6月、定期補修工事直前のごみバンカ残量が少ない時期にバンカ内のごみの積替えを行った。底ごみを新しいごみに入れ替えることで、最後の1炉運転時においても安定燃焼できるようにした。
(3) ごみ汚水槽の清掃を事前に行っておく。当工場では、しゅん工からいままでごみ貯水槽の清掃を行っておらず、かなりの汚泥等の堆積物が予想されたため、事前に清掃した。もし、これがごみバンカ清掃と同時に行うとなると、3月末までの工程が遅延する恐れがあった。
(4) ごみバンカだけでなく、はいばんかの清掃の工期には余裕を持つことが必要である。当工場では灰バンカ内に、炉ごとの灰冷却槽からでた灰を仕切る壁を主灰でつくっていた。しかし、この壁はコンクリートのように硬く、油圧ショベルの爪では歯が立たないため、コンクリート解体用の工具を使用して解体した。このため予定の工期より多くの時間がかかった。
3-4 薬品類の処理
 薬品の処理については、焼却炉運転中にできるだけ(汚水処理設備運転に必要な薬品は除く。)残量をゼロにするよう購入計画を立てた。しかし、薬品タンクのレベル計ゼロ点の表示部分は、タンクの底ではなくポンプ吸引下限レベルと同位置になっているため、ポンプで吸引できない部分が出てきた。当工場の場合、特にか性ソーダタンクが大きいため、合計で25m3も液が残ってしまった。残ったか性ソーダ25m3は、10tローリー車で3台分となり他工場へ運搬し再利用してもらった。ただし、硫酸等の酸の中和剤としてのか性ソーダは残しておく必要がある。
 汚水処理で使用する薬品については、解体前清掃が終了するまで使用するため注意が必要である。当工場では、か性ソーダと硫酸は余ったが、塩化第二鉄が不足してしまった。工場閉鎖直前に薬品を購入する担当者は、使用量を十分検討した上で購入することが重要である。
3-5 備品及び消耗品の整理・処分
 まだ使用可能な備品・消耗品については、PTの備品担当者がリストを作成し各工場に配布し希望を募った。
 おおよその備品、消耗品類は整理できたが、旧式の材料や部品、その他古い家電製品、ごみ箱等のプラスチック製品が残材として残ってしまった。

4. 解体前清掃委託の報告と問題点
4-1 清掃範囲
 解体前清掃の範囲は、大田第二・練馬両工場の解体前清掃事例を参考に、ダイオキシン類や重金属その他の有害物質に汚染された恐れのある設備とした。
(1) 焼却炉設備清掃
 ごみ投入ホッパ、各ストーカ上部及び下部、回転キルン、ストーカ下部ホッパ及びシュート、主灰シュート
(2) 灰処理設備清掃
 灰冷却槽、灰コンベヤ、オーバーフロー管、灰バンカ、灰沈殿槽、灰クレーン、灰積出場、飛灰貯槽、飛灰貯留槽、飛灰移送コンベヤ、飛灰圧送管、混練機、各環境集じん器、混練灰積出ホッパ
(3) 汚水処理設備清掃
 汚水処理設備各槽、灰汚水槽、各配管、薬液配管、汚泥圧送配管、脱水機、薬品タンク、薬注配管
(4) 煙道設備清掃
 ろ過式集じん器出口から煙突入口までの内部
(5) 集じん設備清掃
 ろ過式集じん器、飛灰圧送装置内部及び配管、減温塔内部、飛灰移送コンベヤ、ろ布撤去及びリテーナの撤去
(6) 塩化水素除去設備清掃
 吸収冷却塔、排液層、蒸気式再加熱器、循環ファン、バイパス煙道、配管
(7) 窒素酸化物除去設備清掃
 脱硝反応塔内部、触媒層、煙道
(8) 煙突清掃
 煙突内筒内部
(9) ボイラ設備清掃
 ボイラ内部水管、加熱器管、水平蒸発管、ボイラ下シュート
(10) 純水廃液層清掃
 純水廃液層内部清掃
(11) その他設備清掃
 炉内清掃用集じん器、炉内清掃用ファン、炉内清掃用ダクト
(12) 炉室等清掃
 炉室、集じん器ヤード、触媒反応塔室
4-2 解体前清掃の実施状況と留意点
(1) 焼却炉設備清掃
 焼却炉内のレンガに溶け込んだクリンカの除去は、超高圧(70MPa)洗浄でも除去できなかったため、コンクリートブレーカを使用した。超高圧洗浄は、圧力を上げると洗浄面にあたる面積が小さくなり、作業効率が低下するので工期も延びる可能性がある。高圧と超高圧の使い分けが重要である。
(2) 灰処理設備清掃
 特に苦慮したのが、灰冷却水槽の内部に長年蓄積したスケールと大量の灰汚泥がたい積していたことである。壁に付着したスケールは超高圧洗浄では除去できなかったため、電動ディスクサンダで掻き落とした。
 灰バンカの清掃は、平成24年3月に小型油圧ショベルをバンカの底部に降ろし、主灰は除去してあったため、本委託では灰バンカ内の壁全周に上部まで足場を設置し、壁の洗浄を実施した。
(3) 汚水処理設備清掃
 ① 解体前清掃での最終作業となるのが、汚水処理設備清掃である。設備を完全に停止するのは困難で、清掃完了後も汚水が流入した。その場合は、再度清掃を行った。各槽には長年のスケールと汚泥がたい積していたため、順番に清掃しながら水を送り出し、脱水を行いケーキにして埋立処分場に搬出した。沈殿槽の汚泥量が多く、作業員の手で脱水機ホッパに移送し、残灰車で埋立処分場へ約30t運搬した。
 ② 汚水処理で使用した硫酸、か性ソーダ、塩酸、塩化第二鉄の薬品タンクや配管の洗浄は、液の漏洩などが予想される危険な作業として挙げられるため、可能な限りタンク残量を少なくした。
 配管については、一部の配管の接続部を外して洗浄した。
 また、薬品タンクの清掃は、汚水処理設備を稼働させながらの清掃となるため、当該設備に精通した専門業者を配置する必要がある。当工場では他工場への薬品の移送を行ったが、漏洩等事故があってはならないため、移送の際には専門の薬品運搬業者により運搬した。
 ③ 解体前清掃での洗浄水や雨水等の汚水設備への流入量が予測できないので、薬品類の購入量を誤ると薬品の残量が大量に余るか、または不足することになる。
 ④ 汚泥等の搬出先工場は、時期によって搬出できない可能性があるので、1ヶ所でなく数か所選定してから事前調査した方がよい。
(4) 煙道設備清掃
 煙道設備の垂直部分の清掃は高さがあり危険なため、足場を設置して洗浄した。
(5) 集じん設備清掃
 ① 減温塔やろ過式集じん器などの屋外にある機器の養生は、集じん器ヤードの下部全体を養生シートで覆うため膨大な面積の養生が必要となる。そのため、養生シートの管理や洗浄排水の処理方法等においてかなりの工夫が必要であった。
 減温塔の壁に付着した灰も、長年の蓄積でコンクリート状になっていて硬く、超高圧洗浄でも除去できなかった。そのため、電動ブレーカやディスクサンダ等を使用して除去した。
 ② 過式集じん器のろ布は、特別管理廃棄物となるため、ビニール袋に入れてダンボールに梱包し、プラットホームに運搬、特別管理廃棄物の標識を提示し保管した。ろ布の処分は,建替え工事の中で適正に実施する。
約2,900本のリテーナは、1本の長さが5.5mあるため半分に切断して撤去、洗浄後プラットホームへ運搬し、金属回収業者に売却した。
(6)塩化水素除去設備清掃
 塩化水素除去設備の冷却給水器の配管内には反応生成物{塩}が大量に固着していたため、配管を切断した。一部は除去不能のため、建設部に解体時での除去を依頼した。冷却給水塔充填剤は、撤去後洗浄してフレコンバッグに詰めて、プラットホームに運搬後、建設部に処分を依頼した。
(7) 窒素酸化物除去設備清掃
 脱硝反応塔設備の触媒は、高圧洗浄すると破損してしまうため、気吹き清掃した。
(8) 煙突設備清掃
 ① 清掃を行うにあたっては、杉並区に事前に煙突清掃の方法についての概要説明を行った。3号炉の煙突ライニング材は、非飛散性ではあるがアスベストが含まれている。今回は煙突の解体ではなく、ライニング材表面を洗浄するだけであることを説明した。
 ② 垂直煙道及び煙突等の作業困難場所では、作業の安全とダイオキシン類ばく露防止のために2Dと呼ばれる特殊ノズルを使用して高圧洗浄を行った。(図-②参照)
煙突洗浄の状況と洗浄後の確認は、ビデオカメラの映像で行った。また、ダイオキシン類ばく露対策養生として、煙突頂部にカバーを据付け、下部のマンホールに高性能フィルターをつけた排気ファンを設置し、清掃中の煙突内部の空気を外部にださないように負圧に保った。洗浄した排水は、煙突最下部から汚泥吸引車で吸引して。汚水処理設備に搬送した。
 (9) ボイラ設備清掃
 ボイラ水平蒸発管や加熱器管の奥まった部分に高圧洗浄水が届かず、長いケレン棒等で固着した灰を除去したが、完全に除去するにはボイラ水管の解体が必要であり、今後の課題となった。
 (10) 純水廃液層清掃
 塩酸とか性ソーダの残液中和処理は、時間をかけて少しずつ行った。
 (11) その他設備清掃
 脱臭ダクト清掃では、ダクトにマンホール等がなく作業員が進入できないため、新たに2か所の開口部を設けて、清掃用の進入口とした。
 (12) 炉室等清掃
 気吹き清掃では、埃やごみが除去できない部分があり、一部は水洗いとした。
 (13) 機器油抜き
 計装空気圧縮機や非常用発電機の重油移送ポンプ等は、最後まで使用するため油抜きができない。そのため、仕様書の記載方法に注意が必要である。
 (14) 運転委託
 汚水処理設備の運転管理委託業者には、当該設備に精通した運転員を配置する必要がある。特に運転を継続しながらか性ソーダや硫酸、塩化第二鉄等の薬品を処理していくためには、知識と技術が必要となる。
 (15) その他
 ① 解体前清掃委託仕様書作成にあたり、平成23年8月に新宿労働基準監督署と事前打合せを行った。打合せ内容は、ダイオキシン類ばく露防止対策を念頭においた解体前清掃時に必要な保護具等及び作業方法決定に必要な、「作業開始6か月以内の清掃作業対象設備のサンプリング調査箇所について」であった。打合せのポイントは、当工場は3炉工場であるが、全炉分のサンプリングの必要性についてであった。
 打合せの結果は、1号炉は6箇所、2、3号炉はボイラとろ過式集じん器それぞれ1か所ずつと煙道・汚水処理・灰処理・混練機の全部で14箇所となった。このサンプリングは、平成23年11月に各炉の中間点検時に実施した。今回の建替えは、解体工事と建替え工事が一体で発注されるため、建設部も同席の上、解体前清掃作業と工場解体作業の全体工程について、労働基準監督署に説明を行った。
 ② 清掃委託業者との契約後は、工場入口横に掲示板を設置し委託期間中の作業予定を公表した。
 また、当工場の近隣住民にチラシを配布した結果、苦情等の発生はなかった。
 ③ 解体前清掃で使用する超高圧洗浄車や汚泥吸引車は、作業中にかなりの騒音を発生するため、できるだけ駐車位置を鉄道会社敷地側にするよう配慮した。
 ④ 解体前清掃委託業者には、ダイオキシン類ばく露防止対策要綱に基づく解体前清掃作業計画書を提出させた。計画書どおりにダイオキシン類ばく露対策養生が施工されているか、作業開始前に労働基準監督署の立会検査があった。
 以後、各設備のダイオキシン類対策養生が完成した後立会検査も行い、検査合格後に作業を開始した。
 ⑤ 解体前清掃委託が夏季であったため、ダイオキシン類ばく露対策養生がなされ、さらに密閉型化学防護服を着たうえでの清掃は、高温多湿での非常に厳しい環境下での作業となった。そのため、業務責任者には作業員の健康に配慮し、熱中症対策を十分にとるよう指示した。
 ⑥ 平成24年4月中旬の作業開始前に、安全衛生大会を行って事故の発生がないように啓発した。

5. おわりに
 今回の解体前清掃では、大田第二・練馬両清掃工場の資料を参考にして業務に当たった。 今までに定期補修工事の実績や経験はあったが、解体前清掃の目的は、ダイオキシン類汚染物質除去という点にあたるため、定期補修工事の清掃とは違う経験をした。
 また、解体前清掃委託業者においても、定期補修工事の清掃では、配管やコンベヤの分解、薬品処理で入っておらず、本委託を安全・確実に実施していくためには、十分な経験や知識を必要とする。
今回、引継業務を行う上でも、現場で行き当たった様々な問題を、引継担当7人全員で、その都度一つ一つ検討し、問題解決を図っていかなければならなかった。
平成13年以降の解体前清掃については、ダイオキシン類ばく露防止対策要綱により作業員のばく露防止対策がより厳しく求められ、工場周辺環境にも考慮するよう求められた。そのため、ダイオキシン類汚染物調査に基ずく作業管理区域の選定により、保護具の決定と除去作業方法や養生区分の選定・養生設置方法等の作業計画が非常に重要となっている。
平成23年度当初から平成24年3月の工場閉鎖までにかかる業務とその後の解体前清掃等に引継業務で約1年半の期間を要した。その間直面し、解決した多くの貴重な経験の報告が、今後これから続く清掃工場閉鎖計画や清掃工場解体前清掃の参考になれば幸いである。


参考
●東京都「廃棄物焼却施設の廃止又は解体に伴うダイオキシン類による汚染防止対策要綱」
平成14年11月13日 14環改規第116号 局長決定
●廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障害防止について
基発第561号 平成12年9月7日 労働省労働基準局長
●廃棄物焼却施設解体作業マニュアル
厚生労働省労働基準局化学物質調査課編纂


関連(本ブログ)
■練馬清掃工場の解体前清掃について~(2010年02月24日)
■23区 大田清掃工場(第一)ダイオキシン類〈雨水〉22ピコ環境基準超過!(2009年09月10日)
大田第二↑↑の解体前清掃の時期の大田第一の雨水ダイオキシン類基準値超過か?!

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☆先月、区政会館で「清掃技報(第13号 平成25年)」を閲覧し、気になる報告はすべて複写したのだが、手元にあると、いつでも読めると安心して、ついつい「杉並清掃工場閉鎖と解体前清掃委託の報告」も今になって読み込んでいる。

参考
東京二十三区清掃一部事務組合「清掃技報(第13号 平成25年)」
(No.13 2013)
□特別寄稿□
安全で安定的な清掃工場運営の継続
東京二十三区清掃一部事務組合 副管理者 佐藤 良美
□ 論説 □
1-13-13 分ける技術
二階堂 久和(施設管理部/大田清掃工場(兼務))
□ 報告 □
3-145-13 今後の焼却灰溶融処理施設の運営について
3-146-13 災害廃棄物の受入事業
3-147-13 事業系一般廃棄物(可燃)の搬入計画管理システムの構築について
3-148-13 杉並清掃工場閉鎖と解体前清掃委託の報告
3-149-13 杉並清掃工場併設施設地下部耐震補強工事の概要
3-150-13 清掃工場における構内道路の舗装補修について
3-151-13 清掃事業国際協力室の取組について
3-152-13 東京都廃棄物埋立処分場第三排水処理場硝化槽等散気板更新工事について
3-153-13 練馬清掃工場建替工事における土壌汚染対策の概要
3-154-13 練馬清掃工場建替工事の概要
3-155-13 灰バンカにおける焼却灰含水率の低減対策について
3-156-13 不燃ごみ処理残さの削減による最終処分場の延命化
3-157-13 ボイラ水管の内挿式超音波探傷検査及び減肉管の補修方法について
3-158-13 目黒清掃工場における主灰の含水率低下のための取組
□ 研究 □
4-10-13 焼却工程の特性量とそれらの応用例 
□ 資料 □
6-37-13 循環型社会形成推進交付金について
6-38-13 清掃工場建設工事特記仕様書の変遷について
6-39-13 清掃工場等搬入先ごみ性状調査の結果報告  
□実例紹介及び提案□
7-54-13 安全作業のための砂分級装置冷却用ダクトの設置
7-55-13 光が丘清掃工場における燃焼改善への取組
7-56-13 港清掃工場におけるCO濃度上昇時の対応について
7-57-13 ろ過式集じん器差圧低減対策
以上

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