東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

平成22年度 東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第11回) 当日の発表から~

2011年02月20日 16時45分47秒 | 東京23区のごみ

※写真は町田市HP「事業系持込検査設備導入」より

いろんな発表の中から少しだけ(外部の発表者中心に)
忘れないうちにと頑張って書いてみたら、なんと6頁にもなってしまったので~

当日、参加してのあいまいな記憶と、配布された資料からのポイントのみ抜粋。それも自分が気になった部分だけ取り出しているので、どこまで正確かはわからない。感想も技術的なことがわからないど素人の独断と偏見によるもの。(感想は青字)


■平成22年度 東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第11回)
当日の発表内容と感想など~

日時:平成23年2月18日(金) 9:15~17:00
会場:東京区政会館 20階会議室
当日のプログラムは:東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第11回)へ(本ブログ2/18全体の感想も)

第1部 施設整備の取り組み
2 (仮称)新武蔵野クリーンセンター建て替え計画
 
   武蔵野市環境生活部クリーンセンター 加藤 太一郎、神谷 淳一
先ず、武蔵野市の概要。そして現在のクリーンセンターができるまでの経緯。30年前の市民委員会。用地選定から基本仕様検討にいたるまで、より良い施設と環境をつくるということで、市民参加の話し合いが続けられたという。そして、今は、運営協議会としてクリーンセンターの監視役になっているという。
武蔵野市の場合は、ごみ減量から、収集運搬、処理処分までトータルで清掃事業を行っているので、あらゆる施策が可能ということ。
今、新施設建設計画(平成29年度稼働予定)を、意識の高い市民が案の段階から参加して議論を行う(武蔵野方式)で進めているという。「新武蔵野クリーンセンター(仮称)施設基本計画策定委員会」と「新武蔵野クリーンセンター(仮称)施設・周辺整備協議会」の二本立てで、最後は合同意見交換会でまとめる。すでに、焼却施設については、ごみ減量を見込んだ焼却規模、炉の型式、酸性ガス除去装置を湿式にするか乾式にするか、煙突の高さまで協議しながら方針を取りまとめたという。
そして、「白煙防止装置」はどうするかということで、現クリーンセンターで、「白煙防止装置停止の実験」を行ったということ。その実験後のアンケートまとめなども。そのようにして、建て替え計画をつくっているのだということであった。

ほんとうにすばらしいのひと言。なんでも隣の芝生は青く見えるのかもしれないが、計画段階からの市民参加は当時としては画期的であっただろう。今では、当然のようにどこでも一応は市民参加の形式をとる。でもほとんどがかたちだけであろう。武蔵野市のように、煙突の高さ一つでも周辺地域の人の意見も加味して検討というのは珍しいのでは。「白煙防止装置停止の実験」の取組も知ってはいたが、そういう経緯の上でやっていたということを聞いて、改めてすばらしいと思った。
建て替え時、旧清掃工場のプラットホームは、防音装置もしっかりしているので、例えばバンドのスタジオのような場に再利用したいというような話しも~。武蔵野市の発表職員はまだ若く、この新施設建設計画に携わった経験を、さらに30年後の次世代施設の建設計画に生かしていきたいとも~



第2部 省エネ・リサイクルへの取組み
5 白煙防止を目的とした燃料使用量の削減について
 
   東京たま広域資源循環組合 荒井 和誠
エコセメント事業の特徴。自治体として日本で初めての事業。焼却残さを全量リサイクル。鉛、亜鉛、水銀の山本還元。その他の残さはもう一度処理工程に戻す。CO2削減対策としての「白煙防止」関連では、平成21年度は白煙発生条件を満たすために、冬期以外の時期に、昇温炉の加熱温度を変更した。平成23年2月から、白煙(水蒸気)が見えるように、昇温炉の加熱温度を変更する。運用計画の策定経緯としては、平成21年6月に環境局から「白煙防止設備の運用見直し」の指導があったから。10月、新規施設は、「白煙防止設備を設置しないよう」指導があった。(交付金が出なくなる) 白煙防止を見直すためには、地元住民、日の出町との説明会や検討を重ねた結果の取組。

環境局の指導もあるのだろうが、エコセメントの場合は、熱源がないので、その分そっくり灯油の使用量に反映するのだそうだ。だから、単にCO2削減だけよりも、踏み切りやすかったのだろうな。どちらにしても、できることはなんでもやっていこうという意気込みは感じた。武蔵野市の場合もそうだが、白煙防止設備の運用を変更するということだけでも、大変な手続き(周辺への理解など)を経ていることはわかった。何ごとも、新たな取り組みを始めるのも、実施中の施策をやめるのも大変なこと~


第3部 ごみ処理のあり方1
7 事業系一般廃棄物検査設備の導入について 

   町田市環境資源部 小山 行雄
事業系ごみの減量と資源化の推進のため、
「自走式ごみ搬入物検査機」を導入して、ごみの搬入検査を実施
手順としては、
1.プラットフォームにて検査機への誘導。
2.受け入れ基準確認書の提出。
3.搬入物を検査機に降ろす。
4.搬入物を目視等で検査。
5.搬入不適物があった場合は取り出す。
6.搬入事業者への聞き取り調査。
(不適物が入っているときは袋を破ってみる)

検査設備設置費用としては、
自走式ごみ搬入物検査機1台 19,950千円
接続コンベアー1台 2,310千円
電気設備工事費1式 4,473千円
合 計  26,733千円
(町田市の検査機は4トン ロングボディー用)

ベルトコンベアーの速度は1分間に6~10メートル。
不適物の指導等がなければ、1台に係る検査時間は10分~15分程度。
検査状況:検査員4名(うち2名が警察OB) 
2009年度実績(2009年4月導入、6月から本格実施):検査機による検査468台。日数106日。
検査機以外による目視検査4,598台。日数157日。

結論、2009年度の事業系ごみ搬入量は2007年度比で約19%減少した。
検査の評価はA~Dの4段階評価だが、持ち帰りになるような不適物混入のC・Dはこれまでない。


※写真は町田市HP「事業系持込検査設備導入」より

淡淡と説明をしてくれて、パワポが追っついていなかったけど、機械を使った検査の様子は写真で何となく理解はできた。それにしても、なんだかな~。あんな垣根(柵)があって、目視でどこまで見えるか。町田市の場合は、透明もしくは半透明の袋が持込み条件なので、色つき袋だとその時点で不適物ということになるそうだ。それでも人員が極端に割けるわけでもなく4名必要。検査の所要時間が極端に短縮できるわけでもなさそう。
メリットはなんなのか~検査員の距離がある分が身の安全確保? 平場でごみを直に突っつくより見た目小綺麗? 終了後ごみバンカに投入するのが簡単なのか? 検査機械メーカーを喜ばせるのか。
後の質疑で、一組も機械導入に向け前向きに検討中。すでにパンフレットも取り寄せとか。やはり、プラットホームに広げて検査するのも、ダンピングボックスで数回に分けて検査するのも大変ではあろうが、しっかりとメリットデメリットを十分に考えて検討してほしい。間違っても、一気にまとめて購入などしないこと。
大阪市では、検査装置を全9工場に設置したが、多くの収集車とサイズが合わず、予定通りの作業が行えなかったという事例もある。■2億円廃棄物検査装置使えない 収集車「規格外」多く…大阪市お粗末

ごみ搬入物検査機の話とは別に、事前の施設の説明で、これもまた、一組への皮肉でも何でもないのだが、淡々と話されたのは~ 町田清掃工場は1982年(昭和57年)稼働なのだが、廃掃法改正で、ダイオキシン類対策の改良工事をしなければならなかった平成14年に、4炉あった施設の1号炉の1炉を休止にしたそうだ。それにより改造費を10億円削減したとか。そしてごみの減量にも精をだしたのだろう。

今回の発表事項とは全く別に、前々から気になっていたのは、以前、「清掃工場におけるダイオキシン類の排出と移動」化学物質排出量届出制度(PRTR) で東京都のデータを調べた時に、町田が異常に高い数値であったこと。2007年でダイオキシン類の総排出量が110mg-TEQ、2008年は90mg-TEQ。ちなみに23区は全ての清掃工場を合計しても10mg-TEQ(内大半が大田清掃工場の8.3mg-TEQ)今回改めて、町田清掃工場の排ガス中ダイオキシン類をみてみたら、やはり23区と比較すると驚くほど高い数値なのである。とはいえ、もちろん法規制値はクリアしているが。(町田市 環境報告書2009
改造工事はしているとはいえ、築29年になるという流動床炉、この先どう維持していくのか。町田市はプラスチックの問題もいろいろあるので。「プラスチックごみ資源化実験」もどうなったのか~



9 水銀混入ごみによる清掃工場の停止・復旧及び再発防止対策について 
   施設管理部管理課 保木本 正憲、施設管理部技術課 入江 貴弘
一組HPで公表されていることや、区民との意見交換会で報告されたような内容
その他、4工場の水銀「大気拡散シミュレーション」と「触媒・飛灰の水銀濃度分析結果」もあり。



※表の真ん中部分は資料からは読み取れず~

ほとんど目新しいことは話されなかった。質疑応答から↓↓
水銀濃度分析結果:水銀濃度主灰はどうだったのか?→主灰への影響は少なかった。
大気拡散シミュレーション:板橋、光が丘の煙突水銀濃度が自己管理値※(0.05mg/m³N)より低い値はなぜなのか?自己管理値をオーバーする恐れがあってその前に緊急停止したということなのか?→発表者返答できず。シミュレーションの試算のもとになる数値、即答できないのはおかしい。低い数値で拡散倍率を低く抑える何らかのトリックなのか。一組HP上で公開していることは、光が丘2炉とも「、自己規制値※(0.05mg/m³N)を超えたため」となっている。練馬区議会などには、水銀計が示したかなり超過した数値を報告しているようだが、それらとの整合性はどうなるのか。水銀計自体の信憑性が疑われるのか。発表するからには納得のいく説明をしてほしい。
再発防止の搬入物検査:一組でも町田市のような検査機導入の考えは?→横浜、川崎、千葉、相模原、大阪市で導入済み。一組でも前向きに検討中。パンフレットも取り寄せしているとか~ 慎重に検討してほしいものだ。間違っても一気にまとめて購入などしないように~



■平成22年度 東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第11回)
当日の発表内容と感想など~
(PDFファイル)なんと6頁にもなってしまった。

関連(本ブログ)2011年02月18日
■東京二十三区清掃一部事務組合 職員技術発表会(第11回)

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