ソプラノ和泉聰子の『おんがくのいずみ』~うたの心をあなたに~

ソプラノ歌手・ボイストレーナーの和泉聰子のブログ。HPは http://lulu-hikichan.jimdo.com

昨日は童謡の日:童謡100年コンサート

2018-07-02 23:20:11 | 演奏会レビュー
昨日は文京シビック大ホールに
童謡誕生100年記念コンサートへ行ってきました。



1918年7月1日、
鈴木三重吉により

赤い鳥

という子供向けの雑誌が創刊。

夏目漱石の弟子で小説家であった鈴木三重吉に子供が生まれた時、おとぎ話やわらべ歌はあったけれど、子供向けの質の高い童話や童謡が無いことに愕然とした三重吉が小説家をやめ、児童文学家に転向してこの赤い鳥を創刊したのだ、と司会者が話していました。


愕然としたかはともかくとして
童話や童謡という言葉は
この赤い鳥以後の言葉であるという事。


赤い鳥が大人気となり、
金の船など他の童謡雑誌も出版されて
野口雨情、中山晋平コンビも
こちらでたくさん作品を発表したようです。

レコードの普及により
童謡人気が高まり、
レコード会社はこぞって
童謡のレコードを発売したり、
少女歌手が誕生して、
さらに広まったとか。


昭和の童謡も
戦前戦後とラジオ、テレビで
子供向けの童謡が流れて
みんなに広まっていきました。



だから私が知っているのは戦後間もなくから作られた童謡やおかあさんといっしょやみんなのうたでかかっていたものまででした。



平成の今も詩人と作曲家が新しい童謡を作り続けているけれど、知らないものばかり。聞いてみるとどの曲も素敵な曲ですが知られていません。



いろんな音楽のジャンルが増え
テレビやインターネットで他の娯楽も増えて
レコード業界も衰退している中で
童謡が新しくヒットするのも難しいことは
想像に難くありません。


それでも、
子供たちに真に質の高い文学や音楽を、
という理念に基づき始まった童謡の数々は
今でも子供たちに聞かせてあげたい、
普遍的な美しさ、温かさに満ちています。



大ホールを埋め尽くした人々と
赤とんぼ、そして最後にふるさとを歌った時、
100年の時を感じて、
感慨深く涙が浮かびました。



やっぱり童謡っていいなあ。

みんなと歌って心が通じ合う、文化なのだなと。