松坂 イチロー完封!メジャーに刻んだサムライ対決
【ボストン(米マサチューセッツ州)11日(日本時間12日)】勝負に勝って、試合に負けた-。レッドソックス・松坂大輔投手(26)とマリナーズ・イチロー外野手(33)の夢対決が、約7年のときを超えてメジャーで実現した。結果は投ゴロ、中飛、三振、二ゴロの4打数無安打で松坂に軍配。怪物は7回103球を投げて、8安打4奪三振3失点の粘投を見せたが、打線の援護なく本拠地デビューでメジャー初黒星を喫した。
松坂が「聖地」と表現した本拠地、フェンウェイ・パークの夜空に無数のカメラのフラッシュがきらめく。メジャーで初めて実現した夢対決。日米のファン以上に待ちわびていたのは、ほかでもない松坂とイチローの2人だった。
イチロー 「ジーンときた」
松坂 「ずっと待ちこがれた瞬間でした」
マウンドとホームベース。18.44メートルの距離で対峙した2人が濃密な時間と空間に包まれる。スタンドの大観衆が総立ちの中で第1球。松坂があいさつ代わりに選択した初球は、試合開始直前にジェーソン・バリテック捕手(35)と話して決めた78マイル(約126キロ)のカーブだった。
「初球の見逃し方とその後の雰囲気を見て、もしかしたら(イチローは)少し怒っているかもしれない、と感じました」。想定外の球にイチローも「1球目のカーブを見たとき、ちょっと(目が)覚めました」。感慨は吹き飛んだ。
第1、2打席は直球で投ゴロ、中飛に仕留め、五回一死一塁の第3打席はフォークボールで三振。4打席目も二ゴロに打ち取った。フェンウェイ史上、第2次大戦後2位となる3万6630人の観衆は1球に興奮した。
松坂は99年のプロ入団以降、兄貴分としてイチローを慕ってきた。自宅には本人からもらったマ軍のユニホーム、バット、スパイクが大事に飾られていた。メジャー移籍で日本の家を手放し、居をボストンに移したが、それらの“イチローグッズ”を米国に持ち込むことはなかった。
「いつも見るものではないから。日本に倉庫を借りておいてきました」。尊敬する選手も、今は敵。いつまでもあこがれのままではない。そんな夫を一番近くで見ている夫人の倫世さん(31)も、スタンドで手を合わせていた。
周囲も熱狂した。スポーツ専門テレビ局のESPNなど、米国内のテレビ3局が生中継。球場にはレ軍の広報部長が「聞いたことがない…」と絶句した日米360人のメディアが集結。「1億ドルの怪物」Vs「メジャー6年連続200安打の天才」の注目度の高さをうかがわせた。
勝負には勝ったが、試合に負けた怪物は唇をかんだ。次回登板は16日(日本時間17日)のエンゼルス戦(ボストン)。順調にいけば6月27日、今度はシアトルでイチローとの再戦が実現する。「すべて(の球種)を使ってでも抑えてやろう、という気持ちが強いです」。
試合には勝ったが、勝負に敗れた天才は苦笑いした。「(松坂は)いつだって僕を奮い立たせてくれると思うけど、僕がこのざまじゃね」。ともにリベンジを誓う。
00年8月4日の最後の対戦から2441日。7年近い歳月とともに、怪物Vs天才の名勝負は再び動き出した。
松坂イチローに勝ってイチローに負けた
スポーツニッポン
松坂、イチロー完全封じ込めも初黒星
松坂、イチローを抑える 7回3失点で降板
日刊スポーツ
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