天国
天国(てんごく、heaven)とは、
キリスト教における天国
キリスト教の教理では、最後の審判以前の死者がどこでどのような状態にあるのかについて、各教派間の統一見解を得るに至っていない。
ダンテの『神曲』では、地球を中心として同心円上に各遊星の取り巻くプトレマイオスの天動説宇宙を天国界とし、恒星天、原動天のさらに上にある至高天を構想していた。
イスラームにおける天国
詳細は「天国 (イスラーム)」を参照
イスラームにおける天国 (جنّة jannah) は、信教を貫いた者だけが死後に永生を得る所とされる。キリスト教と異なり、イスラム教の聖典『クルアーン』ではイスラームにおける天国の様子が具体的に綴られている。
他の宗教での類似の概念
インド発祥の宗教
ヒンドゥー教
仏教
仏教の世界観はヒンドゥー教と起源を同じくしており、デーヴァローカに対応するのは天部(神々)や天人が住む天(天道・天界)である。これは六道最上位、つまり人の住む第2位の人道の1つ上に位置する。しかし仏教では、神々すら輪廻転生に囚われた衆生の一部にすぎない。
それら全体に対し、輪廻転生を超越した高位の存在として仏陀が、仏陀の世界として浄土が存在する。この対立構造においては、天国に相当するのは浄土(浄土宗では阿弥陀仏の浄土である極楽)である。
他
比喩的用法
上記のような用法から転じて、そこで暮らす者にとって理想的な世界、何にわずらわされることもない快適な環境も指すようになった。 類義語としては楽園が挙げられる。「野鳥の天国」のように用いる。
地獄
地獄(じごく)は、宗教的死生観において、複数の霊界(死後の世界)のうち、悪行を為した者の霊魂が死後に送られ罰を受けるとされる世界。厳しい責め苦を受けるとされる。素朴な世界観では地面のはるか下に位置することが多い。
各宗教の地獄
主な宗教における地獄は、以下の通り。
- キリスト教
-
詳細は「地獄 (キリスト教)」を参照
- 一般的に、死後の刑罰の場所または状態、霊魂が神の怒りに服する場所とされる。しかし、キリスト教の教派により、地獄の概念や解釈は多少異なる。
- イスラム教
- 「ジャハンナム」と呼ばれる。世界の終末に際しての審判において、不信心者や悪事を成した者が灼熱の責め苦を受けるとされる世界。
一方、地獄がない宗教としては、以下のような事例がある。
比喩表現
宗教(主に仏教)上の地獄から派生して、非常に苦難な状況・境地・場所を地獄と例える。たとえば、「生き地獄」、「地獄の一丁目」など。
また、以下のような用法もある。
- 火山性ガスや温泉の蒸気熱などにより草木の生えない場所や、極めて高温の温泉が大量に湧出する源泉地帯。あるいは間欠泉などの一部の温泉の別名。例:「地獄温泉」、「地獄谷温泉」、「別府地獄めぐり」、「地獄釜(地獄蒸し)」、「雲仙地獄」
- 劇場において、舞台の下にある空間。奈落。
- 江戸時代において、格の低い売春婦。
- 銃・刃物といった人を死に至らしめるもの、麻薬・殺し・強盗といった人を狂気に陥れるもの、貧困・失業・汚物といった人に苦しい生活を強いるものが処理されることなく、吹き溜まり、そして蔓延るようになり、いつまでもその状態が続いている街や場所が呼ばれたりする。
- 非常な苦しみや試練が繰り返し続く状態や境遇。「試験地獄」(競争の激しい試験に合格するために大変な苦しみを味わうこと)や「今日の仕事は地獄だったよ」(その日の仕事の内容・状況が非常に苛酷であったこと)など。
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