教育
イスラム教を国教とする祭政一致国家のため宗教教育が重視されるが、自然科学や実技については不十分とされる。初等教育の段階でクルアーン(コーラン)の朗誦、講義を受ける。高等教育ではコンピューターや金融など第三次産業に関わるカリキュラムが組まれる。一方、初の工科系大学であり男女共学制のサウジアラビア王立科学技術大学 (KAUST) が、2009年9月に100億ドルの基金で設立された。
また、シーア派を邪教とする教育が、シーア派を含むすべての国民に対して長らく行われてきたとされる。
2008年10月29日、これまで女性が学ぶことが困難であった医学、経営学、外国語などを教えるサウジアラビア初の女性専用の総合大学を創設することが国王アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウードによって決定され、リヤド郊外で起工式が行われた。
女子がスポーツを行う機会は限られており、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「公教育で女子の体育を禁じている唯一の国」として批判している。サウジアラビア教育省は、2013年5月、一部私立校で女子の体育の授業を認めると発表した[25]。2012年のロンドンオリンピックに、初めて女性選手を送るなど、近年、僅かながらではあるが女子のスポーツへの門戸が徐々に開かれている[26]。
文化
スポーツ
近隣の中東諸国同様サッカーが盛んであり、実際に中東、アジア内の強豪の一国として知られている。アジアカップの上位争いの常連であるだけでなく、FIFAワールドカップの常連としても知られている。
大衆文化
近年のサウジアラビアでは宗教指導者層の見解と庶民の生活感覚の乖離が大きくなってきている。
1965年からテレビ放送が始まったが、宗教指導者がテレビに対して否定的見解を示しているため、現在でもアパートなどでテレビ不可を入居条件に明記している所がある。しかし、多くの市民は建物の隙間にアンテナを立てたり、近所からケーブルを引いたりしてこっそりと視聴していることが多く、表向きは否定されながらもテレビは広く民間に広まっている。娯楽番組の視聴には衛星放送が広く利用されており、同じアラビア語圏の番組が衛星放送を利用して視聴されている。 近年では国営放送でも日本のアニメを放送するなど非常に軟化した態度を示すようになったが、これに反発した宗教指導者が2001年にポケモン禁止令を出した。しかし、数年後に事件が鎮火すると再び放送されており、ポケモン禁止直後にデジモンアドベンチャーが放送されるなど放送業界は柔軟な態度を示している。
- ポケモン禁止令の詳細はポケットモンスター#ポケットモンスターに関する様々な逆風を参照
サウジアラビアではクリスマスやバレンタインデーなどのキリスト教など他の宗教に由来する祭日を祝うことが禁止されている。実際にバレンタインデー禁止のファトワーが出されており、バレンタインデーは非合法とされ勧善懲悪委員会による摘発も行われているが、庶民の多くはクリスマスやバレンタインデーを祝っており、クリスマスやバレンタインデーと無関係な商品だとする脱法行為に近い状態で商品販売も行われている。彼らはキリスト教を信仰しているわけではなく宗教観に無関係に祝う日本人の姿に近い。
法律で酒類全てが禁止されているにもかかわらず、一般人の飲酒は珍しくない。都市部では週末の夜になると酩酊者が路上などで倒れていることが多く、警察も日常茶飯事であるため逮捕というよりも酩酊者の保護に近い扱いになっており、飲酒罪についても刑事罰の罰金というよりも酩酊者保護費用の請求のような感覚になっている。酔って暴れたなどの問題が生じた場合は鞭打ち刑になる場合があるが、重罪になることはまれである。 バーレーンなどの周辺諸国からの酒類の輸入(建前上は密輸になる)や、国内にいる飲酒を違法とされない異教徒による酒の製造などが行われている。
また、派手なライフスタイルで知られる米国人のパリス・ヒルトンがサウジアラビアなどの中東でのみファッションブランドを展開し、その店舗はイスラム教の聖地メッカにも進出しているという事実があり、一般の欧米人よりも派手で身体の露出の大きい衣服を売り物にしたファッションブランドが女性に人気という側面がある。
ネット文化
インターネットの規制が厳しく、国内から海外のサイトへの接続は厳しく制限されている(ネット検閲)。 国内ではアラビア語の出会い系サイトやSNSなどが運営されている。家族以外の男女は会話をすることすら禁止されているが、親族男性の代理人がメールや書き込みを行っているという設定で女性が直接書き込んでいたりして、脱法行為的にネット上での男女交際が行われることも多い。
出版
厳重な報道管制と言論統制が敷かれており、当局が許可した書籍でなければ販売することが出来ない。特に王族に関する批判的な書籍は検閲で発売を禁じられ、世界の長者番付が掲載されアブドゥッラー現国王の資産が公開されたビジネス誌『フォーブス』は国内発禁となるなど不敬規定がある。内政に関する外国マスメディアの取材も大幅に制限され、日本ではNHK『クローズアップ現代』が2006年12月にようやく許された程度である[27]。
しかし、2007年にはサウジアラビアの女性を主人公にした小説「リヤドの女たち」の発禁処分が解かれ、ベストセラーになるなど少しずつ自由化してきている。 厳しい検閲が実施されているが、出版の抜け道としてメールマガジンがある。メールの送信は出版とはみなされていないため、紙に印刷されないメールマガジンによる発行は合法とされている。リヤドの女たちも元はメールマガジンで発行されていた小説だった。
出版物に関する著作権は著作権審議委員会によって管理されており、カーディ裁判は著作権問題による訴えを扱わないため、著作権侵害があった場合は民事訴訟などではなく委員会に申し立てることになっている。ただし、申し立てが出来るのは検閲による許可を受けている出版物のみで、日本や欧米のように無条件に著作物に著作権があるわけではない。
関連項目
外部リンク
- 政府
- サウジアラビア王国政府 (英語)
- 在日サウジアラビア大使館 (日本語)
- 日本政府
- サウジアラビア王国(外務省)
- 在サウジアラビア日本大使館
- 観光
- 最高観光委員会 (アラビア語)(英語)
- その他
- サウジアラビア(日本貿易振興機構) (日本語)
- サウジアラビア(財団法人中東協力センター) (日本語)
- アラブ・イスラーム学院
- Saudi Arabia entry at The World Factbook (英語)
- サウジアラビア - Open Directory Project (英語)
- サウジアラビアのウィキメディア地図 (英語)
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