高滝駅付近に広がる高滝湖に今春、小型旅客機の原寸大模型が浮かんだ。千葉県市原市南部で開かれた中房総国際芸術祭の作品の一つで、芸術祭の中核施設となったのが駅から徒歩20分の市原湖畔美術館だ。

 それまでの水と彫刻の丘を昨年一新。内部はコンクリートがむき出しで、鉄板を外壁に使用した。湖畔という絶好のロケーションで、「新しい感覚を味わう美術館」がコンセプトだ。

 入り口には、来場者に深呼吸してもらおうと肺胞をイメージした巨大なオブジェが。常設展示室には銅版画の第一人者として知られる市内在住の深沢幸雄さん(90)の抽象画が並ぶ。屋上は700本の細長いチューブが林立し、雑草をかきわけるように進んで遊べる。

 「都会の人に自然に囲まれた中で、現代アートを楽しんでもらえたら」と学芸員の渡辺文菜(あやな)さん(28)。年4~5回の企画展以外に、親子で参加できるイベントをほぼ毎週末開催。敷地内の菜園で野菜も育てる。

 アートを満喫した後はミュージアムショップへ。各種商品をおさえて一番の売れ筋が、エンジン音や汽笛が鳴るキハ200形「サウンドトレイン」など小湊鉄道グッズなのだそうだ。(石平道典)