牛熊日記

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なぜ海外投資家は日本国債を買っているのか

2012年01月23日 16時55分17秒 | 日記

日本国債に対する海外投資家の保有額が増加しつつあり、
このためいずれ海外投資家が保有する日本国債を売ることで、
日本国債が急落するとの記事があったようであるがこれは少しおかしい。

この記事を見た方から、これはどう思うかとの質問があったので
あらためてその質問に、ここでお答えしたい。

そもそも、ここにきて日本国債の海外保有が増加しているのは短期債主体である。

12月の公社債投資家別売買状況を見ると、海外投資家は11兆7291億円の買い越しとなっているが、
このうち短期債を10兆6589億円も買い越しているのである。
金額は確かに大きいが、海外投資家が日本国債を買い支えているわけではない。

この記事によると新規国債約43兆円のうち約16兆円を海外投資家が購入しているとあるようだが、
これは正しいようで正しくはない。そもそも今年度の新規財源債は44.3兆円である(細かい指摘で失礼)。
しかも新規国債ではなく、今年度の国債発行総額約182兆円(四次補正後)と比べるべきであろう。

さらに買っているのが短期国債主体であり、短期市場には確かにその影響は多少出ている。
それはあくまで日銀の基金オペに札割れが発生したり、政府短期証券が0.1%以下で入札されたりと
需給がかなりタイトになってしまっているためであるが、ここにもし外人売りが入ればむしろ需給は緩和される。

この記事では、イタリアが過去に海外保有が増加して、それがイタリアの国債売りの要因となり
あたかも海外投資家保有が増加すると危険みたいに書かれていたが、
そもそもイタリアはユーロに加盟し、ユーロ圏の国債としては発行額が大きく利回りも比較的高く
ユーロ圏の国々から実需の買いが入っていたことで、その意味ではその後の売りに繋がった。
しかし、日本国債については残念ながら、利回り等の魅力で長期債などが海外投資家に買われているわけではない。
海外保有率が高いと危険というのならば、米国債などのほうがよほど危険に見えてしまう。

少なくとも、海外投資家は日本国債を売り崩したくて買っているわけではなく
ほかに大量に購入できて流動性も高い「安全商品」があまりないので、日本国債を買っているにすぎない。
そもそも急落させるために買う投資家などがいるわけはない。

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