わたしは落語の中村仲蔵の話が好きでねえ。
たしか圓生全集かなんかに入っていた話だったと思うが……
落語というより人物伝というか人情噺で、しみじみしっとりとした味わい。
落語でこういうことも出来るんだ、と感銘を受けた記憶がある。
なので、番組タイトルに「中村仲蔵」と入っているのを見た時には
何も考えずに録画して。何も考えずに録画した分、ドラマだとは思っていなくて
(どっちかというとドラマ仕立ての教養番組だと思っていた)
始まって数分経ってようやくがっつりドラマだと気づいて驚いた。
そうしたら、これがいいドラマでしたねえ!近年一番のドラマだ。
ながら見で見始めて数分経って市村正親の舞台姿で注意を引き戻されてからは
だいぶ没頭して見てた。たっぷり見て満足。
脚本も演出も上手かった。わくわくした。
歌舞伎を上手に使っていたねえ。本職の歌舞伎役者を上手に使っていた。
近年、歌舞伎役者がドラマや映画に出ることはもちろん、
普通の役者が新作歌舞伎に出ることも増えたけど、100%歌舞伎だと少し
とっつきにくいところ、混在させることでいい味を出している。
コーヒー自体の味を楽しむならブラックコーヒーだけど、
カフェオレが飲みやすくて好き、というような。
演出・脚本は源孝志という人。知らんなあ、と思ったがwikiを見てみたら
わたしにしてはけっこう見ていたわ。
「漱石悶々 夏目漱石最後の恋 京都祇園の二十九日間」は好きだった。
「令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fear」も見た。これ七之助。
「ライジング若冲 天才 かく覚醒せり」BLみが強すぎたがまあまあ。これも七之助。
「エドガー・アラン・ポー 200年目の疑惑 ?探偵・明智小五郎の調査報告?」は
教養番組で、藤原竜也がナビゲーターというか案内役としての役者。
これは本放送でもこないだの再放送でも見た。
好きだと思える作品を3つ作っているのなら、好きな脚本家といえるのではないか。
テンポがちょうど良かった。テンポの良さ=テンポの速さになりがちだけれども、
緩急をうまくつけていた。ナレーションでバンバンバーンといっちゃうところは
気持ち良かったし、ゆっくり語るべきところは語っていて良かった。
あのナレーション誰でした?勘九郎でした?
ユーモアの加減もぴたりだった。深刻すぎず。崩しすぎず。
奥さんの造型が良かったねえ。ありがちに見えるけれども、通常ならもう少し
良妻型に作りそうなもんでしょう。そこを紋切型で励まさない。
変に元気づけない。ここは脚本的に上手いと思ったー。
それにしてもいい役者を集めたねえ。
市村正親、久々~~~~にいい役で見た。この役で光ってたねえ。良かった。
高嶋政宏。この人はちょっと脚本・演出的に若干の損があった。良かったけどね。
若村麻由美も良かった。踊りがきれいでねえ。名取ですか。いつまでも美人だね。
藤原竜也も上手いところに使われていた。だいぶおっさんになったなーと思ったが、
かなり騒がれた若い頃から、今こういう風に脇でもいい仕事が出来ているのは
なかなか珍しいかもしれないと思うよ。
元々の落語では別に因縁のある浪人ではないけど、こうしたことで面白みが出た。
上白石萌音の喉が良かったね!一驚。
吹替なんじゃないかと3回くらい凝視したけど、あれは本人ですよね?
三味線もあるのにねえ。これは役を貰ってからの付け焼刃じゃないでしょう。
江戸情緒まで感じる。この喉でドラマの格が一枚上がったと感じたほど。
そして、わたしは中村兄弟が贔屓でねえ。
今回も勘九郎を見てほくほくしていた。この人の演技は好きだ。
お父さんにそっくりな声の出し方をするシーンがあって。
わたしはお父さんはそこまで好きではなかったけど、やっぱり「ああ」と思うよね。
歌舞伎としても芯が通っている気がするし、現代劇でも実直な演技をするし、
もう本当に諸手を挙げて賛美したい。ほの見える人柄も含めて。
七之助も好きだ。わたしは当代一の女形だと思うんですがどうでしょう。
(他の歌舞伎俳優を知っているわけではないが)
声もいい。線も細い。踊りも上手い。性格がすごくいいかどうかは不明だが、
兄と家を盛り立てようという信念を感じる。
こないだの「ナウシカ歌舞伎」でのクシャナ役はほんとに良かった。
このドラマでは出番はもう少し欲しかったけど、いい役でしたね。
久々に見てうれしくなるドラマだった。
……その上で難をいうなら、
高嶋政宏の役の演出がちょっと残念だった。
癖のある人柄というのはいいとして、へそを曲げる部分が「ほんとに
面子をつぶされた」という風には見えなくて、元々含むところがあったように
見えてしまった。あれを癖のある人柄なりに仲蔵を可愛がっていて、
それが裏切られたので……と描ければよかったと思う。
居酒屋で仲蔵の心中の吐露を聞く時、べろべろ泣くのも違うと思った。
もう少ししみじみと、かそけき感情で演じて欲しかった。
終盤部分の演出が少々雑だと感じた。
一世一代の演技が失敗したと思った後の流れは、それまでの完成度に比べて
飽き足らなかった。もう少し練れたでしょう。
今一つ盛り上がらなかった気がする。
とはいってもドラマとしてすごく良かった。すごく満足。
スタッフ、キャストのみなさん、ありがとう。
たしか圓生全集かなんかに入っていた話だったと思うが……
落語というより人物伝というか人情噺で、しみじみしっとりとした味わい。
落語でこういうことも出来るんだ、と感銘を受けた記憶がある。
なので、番組タイトルに「中村仲蔵」と入っているのを見た時には
何も考えずに録画して。何も考えずに録画した分、ドラマだとは思っていなくて
(どっちかというとドラマ仕立ての教養番組だと思っていた)
始まって数分経ってようやくがっつりドラマだと気づいて驚いた。
そうしたら、これがいいドラマでしたねえ!近年一番のドラマだ。
ながら見で見始めて数分経って市村正親の舞台姿で注意を引き戻されてからは
だいぶ没頭して見てた。たっぷり見て満足。
脚本も演出も上手かった。わくわくした。
歌舞伎を上手に使っていたねえ。本職の歌舞伎役者を上手に使っていた。
近年、歌舞伎役者がドラマや映画に出ることはもちろん、
普通の役者が新作歌舞伎に出ることも増えたけど、100%歌舞伎だと少し
とっつきにくいところ、混在させることでいい味を出している。
コーヒー自体の味を楽しむならブラックコーヒーだけど、
カフェオレが飲みやすくて好き、というような。
演出・脚本は源孝志という人。知らんなあ、と思ったがwikiを見てみたら
わたしにしてはけっこう見ていたわ。
「漱石悶々 夏目漱石最後の恋 京都祇園の二十九日間」は好きだった。
「令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fear」も見た。これ七之助。
「ライジング若冲 天才 かく覚醒せり」BLみが強すぎたがまあまあ。これも七之助。
「エドガー・アラン・ポー 200年目の疑惑 ?探偵・明智小五郎の調査報告?」は
教養番組で、藤原竜也がナビゲーターというか案内役としての役者。
これは本放送でもこないだの再放送でも見た。
好きだと思える作品を3つ作っているのなら、好きな脚本家といえるのではないか。
テンポがちょうど良かった。テンポの良さ=テンポの速さになりがちだけれども、
緩急をうまくつけていた。ナレーションでバンバンバーンといっちゃうところは
気持ち良かったし、ゆっくり語るべきところは語っていて良かった。
あのナレーション誰でした?勘九郎でした?
ユーモアの加減もぴたりだった。深刻すぎず。崩しすぎず。
奥さんの造型が良かったねえ。ありがちに見えるけれども、通常ならもう少し
良妻型に作りそうなもんでしょう。そこを紋切型で励まさない。
変に元気づけない。ここは脚本的に上手いと思ったー。
それにしてもいい役者を集めたねえ。
市村正親、久々~~~~にいい役で見た。この役で光ってたねえ。良かった。
高嶋政宏。この人はちょっと脚本・演出的に若干の損があった。良かったけどね。
若村麻由美も良かった。踊りがきれいでねえ。名取ですか。いつまでも美人だね。
藤原竜也も上手いところに使われていた。だいぶおっさんになったなーと思ったが、
かなり騒がれた若い頃から、今こういう風に脇でもいい仕事が出来ているのは
なかなか珍しいかもしれないと思うよ。
元々の落語では別に因縁のある浪人ではないけど、こうしたことで面白みが出た。
上白石萌音の喉が良かったね!一驚。
吹替なんじゃないかと3回くらい凝視したけど、あれは本人ですよね?
三味線もあるのにねえ。これは役を貰ってからの付け焼刃じゃないでしょう。
江戸情緒まで感じる。この喉でドラマの格が一枚上がったと感じたほど。
そして、わたしは中村兄弟が贔屓でねえ。
今回も勘九郎を見てほくほくしていた。この人の演技は好きだ。
お父さんにそっくりな声の出し方をするシーンがあって。
わたしはお父さんはそこまで好きではなかったけど、やっぱり「ああ」と思うよね。
歌舞伎としても芯が通っている気がするし、現代劇でも実直な演技をするし、
もう本当に諸手を挙げて賛美したい。ほの見える人柄も含めて。
七之助も好きだ。わたしは当代一の女形だと思うんですがどうでしょう。
(他の歌舞伎俳優を知っているわけではないが)
声もいい。線も細い。踊りも上手い。性格がすごくいいかどうかは不明だが、
兄と家を盛り立てようという信念を感じる。
こないだの「ナウシカ歌舞伎」でのクシャナ役はほんとに良かった。
このドラマでは出番はもう少し欲しかったけど、いい役でしたね。
久々に見てうれしくなるドラマだった。
……その上で難をいうなら、
高嶋政宏の役の演出がちょっと残念だった。
癖のある人柄というのはいいとして、へそを曲げる部分が「ほんとに
面子をつぶされた」という風には見えなくて、元々含むところがあったように
見えてしまった。あれを癖のある人柄なりに仲蔵を可愛がっていて、
それが裏切られたので……と描ければよかったと思う。
居酒屋で仲蔵の心中の吐露を聞く時、べろべろ泣くのも違うと思った。
もう少ししみじみと、かそけき感情で演じて欲しかった。
終盤部分の演出が少々雑だと感じた。
一世一代の演技が失敗したと思った後の流れは、それまでの完成度に比べて
飽き足らなかった。もう少し練れたでしょう。
今一つ盛り上がらなかった気がする。
とはいってもドラマとしてすごく良かった。すごく満足。
スタッフ、キャストのみなさん、ありがとう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます