お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

予防接種も公共事業

2010-01-20 | from Silicon Valley
Souce: msnbc

マーチン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther Kings Jr.)デーの休日(彼の誕生日1月15日を記念する日。今年は1月18日)の連休が明けると、冬休みも本当におしまい。一番長い年末年始の休暇をとっていた人も、この週明けからは職場や学校に復帰してきます。みんなに会うのは楽しいけれど、困るのは人が集まるとインフルエンザの流行も帰ってくること。まさにこのタイミングに合わせたかのように、街のそこここに「新型インフルエンザの予防接種できます!Flu Shot(H1N1)Available!」の立て看板が出ました。

大統領府の肝いりで優先順位が管理され、子ども、子どもに接する人、医療関係者、呼吸器系の慢性疾患のあるリスクの高い人----などの順で接種が進められてきた新型インフルエンザ(H1N1Flu)の予防接種が、ついに一般に解禁(?)され、希望者はだれでも受けられるようになったのです。病院やクリニックや日本の保健所にあたる公的機関だけでなく、街の薬局や大型量販店のウォールマートなどでも受けることができます。「新型インフルエンザの予防接種できます!(Flu Shot(H1N1)Available!)」の立て看板がているところなら、どこでも予約なしで受けられます("WalkーIn" OK)。

通常のインフルエンザ予防接種は例年秋風のたちはじめる10月ころに受けるのですが、昨年は新型インフルエンザの大流行を懸念して、例年よりも一カ月早めて9月から接種開始となりました。飛行機での旅行の多い私も、念のため、かかりつけ医のクリニックで早々に受けました。

日本のような国民皆保険制度のない米国では、なにより無保険者問題が深刻なのですが、インフルエンザの予防接種は保険の有無に関係なく一律25ドル程度でどこでも受けられます。"保険の有無に関係なく"とわざわざ特筆するのは、アメリカの医療機関では、恐ろしいことに、医療保険がないと診療どころか、受け付けさえも断られることがあるからです。"保険の有無に関係なく"というのは、要するに「予防接種したい」と言えば保険の有無を問われないでクリニックに入れてもらえるということなのです。

もちろん、ということは、一方では「保険があっても予防接種は100%私費払い」ということなので、25ドルは自前。これが支払えなければ街のクリニックや薬局に予防接種には行かれません(但しそうした人への医療扶助は別にありますので、予防接種が受けられないというわけではありません)。

さて、価格付けですが、アメリカの高い医療費、医薬品費用を考えると"$25は安い"のです。なにしろ、外来クリニックにドクターを訪ねたら、診ていいただくだけで数10ドルから数100ドル、救急車に乗ったらそれだけで1000ドルはかかると覚悟しなければならないのがアメリカですから(日本で問題になっているような"タクシー代わりに救急車をつかう”なんてことは絶対に考えられません)。

ところが、昨年暮れに日本の友人に聞いたところ、ことインフルエンザの予防接種に関しては、日本の価格付けの方が高いということでしたが・・・。

さて、新型インフルエンザの予防接種に話を戻しましょう。この予防接種が通常のインフルエンザの予防接種の値段よりもさらに安くて、誰でもどこでも約$15なのです。差額分は連邦政府が特別予算で補てんしているからで、この予防接種事業はオバマ政権になってからの最初の大型保健政策。政府も広報を重んじるアメリカのことですから「価格が安いのは連邦政府が補助しているからですよ」と、クリニックでも薬局でも、係員が予防接種を受ける人にきちんと説明しています(確かめてみませんでしたが、この"説明責任"を果たすことも補助金を受けるにあたっての医療機関の義務かもしれません)。

・・・それにしても、商品の価格を(参考商品に比べて)一挙に$10下げるというのはかなりのことです。公共事業に国がお金を出すというのはこういうことなのだなぁと、しみじみ実感しました。

翻って日本を考えると、いつか東京で"夜中に救急車でERに行って3時間もベッドを占有し、点滴までして"もらったあげくに私が受け取った請求書はわずか9000円弱でした。でも、その晩、救急車で日赤の病院に到着したとき、気分はどうかと尋ねてくれた看護婦さんへの私の最初の質問は「この病院はクレジットカードで支払いできますか?私、日本の保険を持っていないんです」だったのです。これは、すぐに笑い話にされました。でも、日本では「厚労省が価格を抑え、税金からの補助金で補てんされているから安いんですよ、安心してください」とは言われませんでした。




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