お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

サマーキャンプ事情

2009-08-12 | from Silicon Valley
Source: Spruce Street School, Seattle, WA

アメリカの子どもたちが夏休みに行く『サマーキャンプ』ってどんなところ? 何をするの? とよく聞かれます。

内容はもちろん、主催者も、開催場所も、参加費用も、何もかもあまりにもバリエーションがあるので、一口で説明するのは難しいのですが、敢えて括れば、要するに「夏休みに子どもたちが、自宅から通ったり、時には泊まり込んで合宿したりして行うさまざまな活動とその活動場所」の総称がサマーキャンプです。

贅沢な方からご紹介しましょう。たとえば映画”The Parent Trap”(邦題:罠にかかったパパとママ)で、主人公の双子がそれぞれカリフォルニアとロンドンから参加したようなキャンプです。

海辺や山間のリゾート地に大型の専用宿泊施設を持ち、歴史も伝統もあるキャンプが多く、子どもたちは広い専用施設で、乗馬やヨットを習ったり、音楽や演劇を勉強したり、絵の指導を受けたり、あるいはリーダーシップ・トレーニングを受けながら夏の数週間を過ごします。参加費用は安くありません。目安は、そうですね、客船でクルーズするくらいの費用でしょうか。
こうしたキャンプの参加者にはリピーターが多く、本人が毎年参加しているだけでなく、家族何世代にもわたってリピーターで、両親や祖父母もここに来ていた、というような例が少なくありません。従い子どもたちの社交場にもなっていて、こういうキャンプでの出会いと初恋を実らせて結婚したカップルを、私も、ひと組ならず知っています。

さて一方で、はるかに身近なキャンプがたくさんあります。

どこの地域にもあるのが、夏休みになった学校の校舎を利用して学校や教育委員会などが主催し、夏休み中の先生方が教えるサマーキャンプ(先生方は自由参加。キャンプは別契約でお給料以外のエキストラ収入になります)。内容は大別すると、算数や英語の復習や強化をする"補修型”と、スポーツやアートなどで構成される”課外活動型”とがあります。いつも通っている学校という安心できる環境、ふだんから知っている友達同士誘いあって参加できる気安さ、おまけに一般に割安なので、親にも子にも人気があります。
ところが今年はリーマン・ショックの煽りで行政予算が底をついてしまい、教職員給与を1カ月分カットするために5月前早々に授業を切り上げて卒業式・終業式をする市町村が続出し、比較的安い”学校主催”のサマーキャンプもほとんどが中止になり、毎年これをあてにしてきた共働き家庭は大変困っています。

もうひとつの人気者はYMCAやYWCAのキャンプ。高校生や大学生などのカウンセラー(まとめ役はカウンセラーと呼ばれます)を雇って、スポーツやゲーム等の身体を使う遊びを中心にしたプログラムを提供し、若々しく活動的なのが特徴。YMCAやYWCAは普段からボランティア活動などで地域の人々に信頼されていますし、参加費用が低めに設定されている上に行政の補助金などを得て経済的に恵まれない子へのファイナンシャル・サポートも提供しているため、毎年、参加希望者の多いプログラムです。
これら学校やYMCAなどのキャンプは、いわゆるデイキャンプ(合宿しないで自宅から毎日通う)ですが、たいてい週1度の遠足(海岸や公園、美術館、博物館、動物園や水族館などへの日帰り旅行)と、キャンプ期間中1-2度のお泊り日があります。

さてこれら両極の間に、さまざまなバリエーションのキャンプがあります。例えば人気があるのは、農場や自然公園を利用した野外活動型のキャンプ。夏休みになった大学の教室やグラウンドや学寮を利用したキャンプです。

農場ではキャンパーの子どもたちが農作業や家畜の世話をします。小さな手でミニトマトを摘んでバスケットに詰めたり、ブルーベリーを収穫してジャムを作って瓶詰めにしたり、牛の搾乳を手伝ったり、山羊や豚や馬の世話をしたり。子どもは大喜びです。我が家の近くにも農場のデイキャンプがあるのですが、娘が通った15年くらい前は、1月に募集が出て3-4月に申し込めば大丈夫と言われていました。ところが友人の話では、今年は年明け1月の募集当日にほぼ満員になってしまい、3日目に連絡した友人は長いウェイティングリストの下の方で、とうとう入れなかったと嘆いていました。

大学の施設(教室や寮)を利用して行われるさまざまなプログラムも人気です。

大学のスポーツ施設(本格的なプロ仕様!)を使い、プロのコーチが指導する水泳、サッカー、野球、テニス、フットボール、ポロなどのスポーツキャンプは人気が高く、どこもいっぱいです。応援団のチアリーディングやバンドのキャンプもあり、演劇やダンスもあります。コンピュータのプログラミングを教えたり、物理や化学の実験をさせるキャンプもあります。
ただこれらのキャンプは大学の施設で行われるのですが、必ずしも大学または大学関係者主催というわけではなく、ほとんどは外部の団体や業者が施設を借りて運営しているので、誤解のないよう注意が必要です。

もっとテーマ性の高い、目的の明確なキャンプもあります。たとえば教会などに2-3か月カン詰めになって合宿し、朝起きてから夜寝るまで生活丸ごとフランス語漬けにして、フランス語の会話力を習得させてしまうというキャンプ。飛行機の操縦を習い、免許を取得して帰宅するキャンプ。あるいは音楽学部への進学を希望する子どもたちがプロの指導する合宿に参加して特訓を受けるキャンプもあります。

13歳までの子どもは一人でおいておけないというアメリカの法律があるかぎり、サマーキャンプの市場は不滅。内容もレベルも多彩なら、価格もピンからキリまで。数ある選択肢のなかから、子どもの希望と親のお財布との相談で決めることになります。でも参加するには、まずは申し込み期限に遅れないことが必須。来年の公募がはじまる12月から1月あたりから情報収集を始めて春には申し込み・・・やれやれ、まだ今年の夏も終わらないというのに来年の夏の話では、鬼に笑われそう。




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