ウェネトさまの館

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吹きガラス 妙なるかたち、技の妙(サントリー美術館)

2023年05月24日 20時00分40秒 | 展覧会・美術関連

前回のブログの続きでございます。

この日の午前中はまず、サントリー美術館「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」を観ましたのじゃ。
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2023_2/
(指定された一部の作品のみ写真撮影可)

1世紀から現代まで、古今東西の吹きガラスが約210件。
美しいガラス作品は大好きじゃし、この美術館所蔵の吹きガラスもお気に入りが色々あるゆえ、楽しみだったのでございます。

構成は以下の通り。写真撮影可の作品を中心に、気になった作品などもリスト順に。

【第Ⅰ章:自然な曲線美 古代ローマの吹きガラス】
ローマ時代に作られた、様々な吹きガラス作品。

《斑点文台付杯》シリア 1世紀
黄金のような黄色のガラスに、水色の斑点が散りばめられておりまする。

《把手付水注》シリア 2~3世紀


 
《水注》シリア 1~5世紀
本体と違う色のガラスを巻き付けて装飾。


 
《長頸瓶》東地中海沿岸域 1~5世紀


 
《三連瓶》東地中海沿岸域 2~3世紀
まるっとした球体に、ひょろ長い口が3つ。
内部も均等に3つの空間に分かれておるそうで、世界に3点しかない作例のひとつだそうな。

《吊手付二連瓶》と《四連瓶》(シリア 4~5世紀)は、島田守による試作品も並べて展示されておりました。

【第Ⅱ章:ホットワークの魔法 ヨーロッパの吹きガラス】
16~19世紀にかけてヴェネチアおよび周辺地域で作られた吹きガラスと、現代ガラス作家4名の作品。

《船形水差》イタリア 16~17世紀
10以上ものパーツを、2~3人の職人が息を合わせて組み立てたとか。


 
《ドラゴンステムゴブレット》イタリアもしくはネーデルラント 17世紀
1本のガラスをくにゃくにゃ曲げたようなステムの両端に、ブルーのドラゴンの頭部。

《花装飾ステムゴブレット》イタリア 19世紀
赤、青、緑の花と葉が貼り付けられて可憐じゃ。

《ダイヤモンドポイント彫り孔雀に葡萄唐草文栓付瓶》ネーデルラント 17世紀
南の島の海のような綺麗なブルーのガラスに、ダイヤモンドポイント彫りで緻密な孔雀と葡萄唐草が綺麗。栓は金色。

《レース・ガラス蓋付ゴブレット》ネーデルラント 16~17世紀 
ソフトクリームを2つ上下にくっつけたような、階段状に波打つ形のレース・ガラス。

現代作家の作品は写真撮影可じゃよ。


 
《Goblet(mezza stampatura)シリーズ》関野亮 2022年
ヴェネチアの職人の造詣に刺激を受けて生まれたシリーズだそうな。


 
《水月 ヴェネチアの夜》加倉井秀昭 2022年
ヴェトロ・ア・レティチェッロと同じ手法で作られた作品。


 
《ファイバーレースヴェロネーゼ 白龍》伊藤周作 2022年
伝統的なレース・ガラスを進化させたシリーズ。


 
《gaze 藍》《netz 藍》有永浩太 2022年
ヴェトロ・ア・レティチェッロの手法で作られた作品。


 
【第Ⅲ章:制約がもたらす情趣 東アジアの吹きガラス】
12~19世紀までの東アジアで作られた吹きガラスを、日本に伝わる作品を通して紹介。
博多遺跡群出土の品々(11~13世紀)も興味深うござります。

《藍色ちろり》18世紀
ここで何度も観た事ある、お気に入りの江戸時代のちろり。
これを元に、2022年に作られた試作品も展示されておりました。


 
《紫色ちろり》18~19世紀(桑名市博物館所蔵)


 
《ちろり》19世紀


 
《ぎやまん彫り緑色梅枝文手付水注》
綺麗なブルーグリーン。ちっちゃくて平べったい円形も、まるっとしたキノコのような栓も可愛い。

【第Ⅳ章:今に連なる手仕事 近代日本の吹きガラス】
氷コップを中心に、明治時代以降の日本で作られた吹きガラス。

《斑色筆筒》品川工作分局硝子製造所 1881年頃
1881年 第二回内国勧業博覧会に出品された筆筒。
透明な円筒形に、ローズと紺と白のリボンのようなぐるぐる模様。

《グラヴュール花縁火舎・白油壺台ランプ》竹火舎:「大阪山内製造/朝日ホヤ」19~20世紀
縁が水色ヒラヒラの金魚鉢を乗せたようなランプ。

小さくて綺麗な氷コップがずら~り並ぶコーナーは、ワクワクでございます。
特に「あぶり出し」と呼ばれる、乳白色の地に模様が影絵のように浮かび上がる技法など、ツボじゃった。

こちらの台の8点のみ写真撮影可。


 
5点載せまする。
《赤乳白花縁ラッパ形氷コップ》20世紀


 
《白に緑被せ白千筋文赤縁脚付鉢》19~20世紀


 
《吹雪文花縁碗形氷コップ》20世紀


 
《吹雪文碗形氷コップ》20世紀


 
《籠目文赤縁碗形氷コップ》20世紀


 
【第Ⅴ章:広がる可能性 現代アートとしての吹きガラス】
日本の若手作家4名の吹きガラス作品。


 
《Amorphous 21-1》横山翔平 2021年
飴細工の生き物のようで、今にも動き出しそうじゃ。


 
《Amorphous 22-5》横山翔平 2022年


 
《しろの くろの かたち 2022》小林千紗 2022年


 
《Vestige》藤掛幸智 2023年


 
《Transition '22-11》竹岡健輔 2022年
観る方向によって表情が変わりまする。


 
古今東西の様々な吹きガラス、技法などの解説も分かりやすく、観応えござりました。
会期は6月25日まで。 

この日もうひとつ観た展覧会の話は、また後日。