午後8時過ぎ、大きな懐中電灯とカメラをぶら下げて家を出ました。
烏瓜の花を見に行こうというのです。
こんな蒸し暑い夜に一緒に行こうという物好きは誰も居ません。
一人で夜道を歩くのは、本当は好きではないのです。
勘所の悪い痴漢が、若い女性と見間違うかもしれないからです。
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上流では鵜飼の篝火が明々と川面を照らす渡月橋を渡り、
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夕方5時にもなると店じまいを始める嵐山界隈ですが,ここだけは不夜城かとおぼしき嵐電の嵐山駅を通り過ぎ、天竜寺をほぼ通り越した辺りの植え込みには・・・
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ありました。
烏瓜の花です。
繊細な蜘蛛の巣のようでもあり、またレースのドイリーのようでもあり・・・
大きさは8~10cmくらいでしょうか。
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寺田寅彦の随筆に「烏瓜の花と蛾」というのがあります。
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そこで彼は、烏瓜がいかに繁殖力旺盛な蔓性植物であるかを述べています。
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また、花は毎日たくさん咲き、昼間の萎んだ様子は、愛らしい夏夜の妖精の握り拳とも言っています。
太陽が没し、薄暗くなると、もう全ての花は一遍に開ききっている・・・この植物の何処かに不思議なスィッチがあって、それが光の加減で自動的に作用して一度に花を開かせるのではないか・・・
実際彼は時計を手にして開花時間を測定までしています。
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そして、全ての花が咲ききると沢山の蛾が迷うことなく一直線に何丁目・何番地の何処そこに、集まってきます。
やはり、蛾も一種の光度計を内蔵しているかのようです。
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蛾の種類はとても多くて、図鑑に写真の蛾は見当たりませんでした。
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蒼い月 白い妖精 蛾の乱舞 m(__)m
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大きな羽音を立てて、花から花へと移り飛ぶ巨大な蛾。
私にも止まったのですよ!
蛾の動きはとても素早くカメラが追いつきません。
寺田家の猫同様、うちのニャンズは見事に蛾を打ち落としては食べてしまいます。
カリカリよりも好みのようで極上のおやつですが、見ないようにしています。
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烏瓜には雄株と雌株がありますが、この株に赤い実が生っているのを見たことはありません。
今朝の新聞に、植物園の「バオバブ」の花の写真が載っていましたが、いかにも熱帯の花らしく、大きくて面白い形でした。
そして色は白。
「月下美人」といい、夜咲く花は白くて短命のようです。
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ああ、それから烏瓜の花の花言葉は・・・男ぎらい